ハマスが「人質4人」の遺体を返還 1人は予定されていた母親とは別人とイスラエル

イスラエル国旗がかけられた棺を運ぶイスラエル兵

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画像説明, イスラエル国旗がかけられた棺(ひつぎ)を運ぶイスラエル兵

イスラム組織ハマスは20日、パレスチナ・ガザ地区で拘束していた人質4人だとする遺体をイスラエルに返還した。イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は、「全国民の心はずたずただ」と述べた。

ハマスは、返還した遺体には、2023年10月7日のイスラエル南部奇襲で連れ去ったクフィルちゃん(当時生後9カ月)と兄のアリエルちゃん(当時4)、母親のシリ・ビバスさん(当時32)が含まれるとした。

しかし、イスラエル軍は、返還された遺体の中にシリさんのものはなかったと、20日発表した。

「識別中に、新たに引き取った遺体がシリ・ビバス氏のものではないことが確認された。ほかの人質とも一致しなかった」と、イスラエル軍はソーシャルメディアに投稿した。

「これはテロ組織ハマスによる極めて重大な合意違反だ。ハマスは合意に基づいて、死亡した人質4人を返還する義務を負っている。我々は、シリ氏をほかのすべての人質と共に帰還させるよう、ハマスに求める」

2遺体については、クフィルちゃんとアリエルちゃんだと確認し、遺族に伝えたという。

また、平和活動家で知られるオデッド・リフシッツさん(84)の遺体も、法医学的検査で確認された。

動画説明, クフィルちゃんやアリエルちゃんが元気だった時の様子を紹介した、2023年11月の動画。「明日は私たちの番」と願うも……神経すり減らすハマス人質の親族

「言葉もない」とイスラエル大統領

ヘルツォグ大統領は、遺体が返還されたことに「言葉もない」とソーシャルメディアに投稿。4人に対し、「あなたたちを無事に帰国させられなかった」ことへの許しを求めるとした。

ハマスが人質の遺体を返還したのは、先月19日に停戦合意が発効してから初めて。

返還を受け、テルアヴィヴの「人質広場」には数千人のイスラエル市民が集まり、1分間の黙とうをささげた。

22日には新たに6人の人質が解放される予定。

シリさん親子が死亡していたとの知らせに、イスラエル全土が悲しみに包まれた。

ハマスは2023年11月、3人がイスラエルの空爆で死亡したと主張したが、証拠は示さなかった。イスラエル政府はこれまで、この主張が正しいとは認めていない。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相は国民向けのビデオ声明で、イスラエルは「耐えがたい苦しみによって団結している。今日、イスラエルのすべての世帯がうつむいている」とのべた。

「私たちは皆、ハマスの怪物に怒り狂っている」

リフシッツさんの娘でイギリス在住のシャローン・リフシッツさんの弁護人は、今日は「計り知れない悲しみと失敗の日」だと述べた。

テルアヴィヴの「人質広場」に集まった人々

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画像説明, テルアヴィヴの「人質広場」に集まった人々

遺体の引き渡し

ハマスはガザで、人質解放に際して武力を誇示する行事を繰り返している。20日朝も、ガザ南部ハンユニスで、それと同様の演出がみられた。プロパガンダのメッセージが掲げられたステージに、四つの黒い棺(ひつぎ)が並べられ、観衆が集まった。

背景には、生前の4人の写真の上で牙をむくネタニヤフ氏の顔の絵があった。「戦争から戻ってくるもの=棺に入った囚人の帰還」との文字が書かれたものもあった。

観衆の1人は、遺体の引き渡しには反対だとBBCに語った。「(イスラエルは)がれきを撤去していない。自分の子供や家族がどこにいるかさえわからない」。

遺体の引き渡しにあたり、赤十字国際委員会の職員は武装したハマスの戦闘員との署名に応じたとみられる。その後、四つの棺が赤十字の車両に移された。

国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は、遺体の引き渡しについて、「いまわしく、残忍で、国際法に反している」と述べた。

「我々は、すべての人質の帰還が、プライバシーが保護され、敬意と配慮をもって行われることを強く求める」

赤十字国際委員会も同調し、「このような手続きは死者や悲しみに暮れる人々に対する最大限の敬意から、非公開で行われるべきだ」とした。

遺体はイスラエル軍に引き渡され、イスラエルへと運ばれた。

クフィルちゃんと母シリ・ビバスさん(右)

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画像説明, シリ・ビバスさん親子は2023年10月7日、イスラエル南部から連れ去られた

ビバスさん一家とリフシッツさん夫妻は、2023年10月7日のハマスの奇襲で、イスラエル南部のニル・オズから連れ去られた。

シリ・ビバスさんの夫ヤルデンさんは今月1日、ほかの2人の人質と共に解放された。イスラエルはその見返りとして、パレスチナ人囚人183人を釈放した。

リフシッツさんの妻ヨケヴェドさんは、2023年10月23日に解放された。

人質の遺体の返還は、先月に発効した停戦合意の一環。イスラエルは、人質8人の死亡が確認されているとしている。

停戦合意の第1段階では、イスラエルは約1900人のパレスチナ人収監者を釈放し、ハマスは約33人のイスラエル人質を解放する予定になっている。

第2段階に向けた交渉は今月初めに開始される予定だったが、いまのところ始まっていない。

この停戦で、これまでに人質28人とパレスチナ人囚人1000人以上が解放されている。

ハマスのイスラエル奇襲では、約1200人が殺害され、251人がガザへ連れ去られた。イスラエルは直後にハマス壊滅を掲げて、ガザでの大規模な軍事作戦を開始した。ハマス運営のガザ保健省によると、ガザではこれまでに少なくとも4万8297人が死亡している。死者の大半は民間人だとしている。

ガザでは今も、66人の人質が拘束されたままだ。このほか、10年以上前からガザで拘束されている人質が3人いる。ガザに残る人質の約半数は生存しているとみられている。