トランプ氏、自らの「政敵」を訴追するよう司法長官に迫る

青いジャケットを身に着けたボンディ氏。目線を落としている

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画像説明, アメリカのボンディ司法長官。トランプ大統領の「政敵」を訴追するよう、大統領本人から求められた

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、自分の「政敵」に対する調査をもっと積極的に進めるよう、パム・ボンディ司法長官に求めている。

トランプ氏は20日のソーシャルメディアへの投稿で、直接ボンディ氏に向け、「これ以上遅らせることはできない。私たちの評判と信頼性が損なわれている」と書いた。

トランプ氏はさらに、「この前と同じで口先だけで行動が伴っていない、といったことが書かれている声明や投稿を30件以上読んだ。何も行われていない」と不満を表明。連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー元長官、ニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官、民主党のアダム・シフ上院議員について、「全員完全に有罪だ。なのに何もされない」とし、調査を求めた。

民主党員のジェイムズ氏は、トランプ氏が経営する企業が不正に利益を得ていたとして訴えた民事裁判で、2023年にトランプ氏に勝訴した。シフ氏は、トランプ氏の最初の弾劾裁判で主導的な役割を務めた。

この投稿のすぐあと、トランプ氏は再び投稿し、ボンディ氏を「素晴らしい仕事をしている」と称賛した。

トランプ氏は昨年の大統領選挙で、ジョー・バイデン前大統領をはじめとする政敵や、自分に反対の立場の人たちへの報復を誓っていた。

大統領に復帰すると実際に、ジェイムズ氏や、ポルノ俳優への口止め事件でトランプ氏を起訴したアルヴィン・ブラッグ・マンハッタン地区検事らから、セキュリティークリアランス(機密情報へのアクセス権)を取り上げるなどしてきた。

また、自分に対する2件の刑事捜査を担当したジャック・スミス特別検察官(今年1月に辞任)の下で働いていた複数の検事を解任。さらに、自らに関する疑惑の調査に関与した法律家らを抱える法律事務所にも対応を取っている。対象となった事務所には、ロバート・ムラー元特別検察官を雇っていた事務所が含まれている。

「独裁への道」と非難

トランプ氏の今回の発信は、野党・民主党から一斉に批判された。チャック・シューマー上院少数党院内総務は、「これは独裁への道だ」と述べた。

シューマー氏は21日の米CNNの番組で、「司法省は常に非常に強力な公的組織であり、トップが民主党か共和党かを問わず、恐れも偏りもなく法に違反した人を追及してきた」と主張。トランプ氏がその司法省を、「敵を追及するための道具に変えようとしている。有罪か無罪かに関係なくだ」と述べた。

トランプ氏は同日、この発言について尋ねられると、「(司法省は)行動を起こさなくてはならない。迅速に行動しなくてはならない」と返答。「パム・ボンディは、史上最高の司法長官の1人として名を残すだろう」と述べた。

司法の独立を試す

今回の投稿の前日には、連邦検察官のエリック・シーバート氏が辞任した。同氏に対しては、ニューヨーク州のジェイムズ司法長官を住宅ローン詐欺疑惑に絡んで起訴できなかったとして、トランプ氏が辞任を求めていた。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、シーバート氏は司法省幹部らに、ジェイムズ氏を起訴できるだけの証拠が見つからなかったと伝えていたという。

ジェイムズ氏は、自らの住宅ローン詐欺疑惑について、「根拠がなく」、「報復」が目的だとしている。

これに関してトランプ氏は20日、シーバート氏は辞任ではなく解任だったと主張。「私が解任した。大きな事件が存在しており、多くの法律家や専門家らもそう言っている」と述べた。また、シーバート氏の後任を指名したとした。

司法省は1970年代以降、大統領から独立した立場を維持しようとしてきた。

しかしトランプ氏は、それを試す行動を取ってきた。1期目には、2016年大統領選にロシアが干渉した疑惑に関する捜査をめぐり、自らは関わらないと距離を置いたジェフ・セッションズ司法長官(当時)更迭した。2020年大統領選では、多くの不正があったと誤った主張を展開。それを押し戻したウィリアム・バー司法長官(同)が辞任した