ガザの栄養不良による死者、過去48時間で33人 保健当局が発表

白い布でくるまれたアブドゥル・ハミド・アル・ガルバンさんの遺体を、黒い帽子をかぶりひげを果たした男性が両手で持ち、葬儀のために運んでいる

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画像説明, 13歳のアブドゥル・ハミド・アル・ガルバンさんの遺体が、白い布に覆われて運ばれている。過去24時間で栄養失調で死亡したとされる4人の子どものうちの一人(22日、パレスチナ・ガザ南部ハンユニスのナセル病院)

イスラム組織ハマスが運営するパレスチナ・ガザ地区の保健省は22日、過去48時間で33人のパレスチナ人が栄養不良によって死亡したと発表した。うち12人は子どもだという。

保健省の報道官は、過去1日間では成人11人と子ども4人の死亡が報告されたとBBCに話した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は22日の国連安全保障理事会で、ガザで「栄養不良が急増」しており、「飢餓があらゆる場所で生じている」と警告。210万人の住民が基本物資の深刻な不足に直面しており、イスラエルには国連とそのパートナーによる人道支援を促進する義務があると述べた。

ガザで人道問題を担当するイスラエルの軍事組織、イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)は、ハマスが「人道状況に関する虚偽のキャンペーンを実施している」と非難。イスラエルは国際法に従って行動しており、支援物資をハマスの手に渡らないようにしながらガザ地区内に運び込まれるのを促進していると主張した。

飢えに関する報告

BBCなど外国報道機関の記者らは、ガザに独自に入るのをイスラエルに阻止されている。そのため、栄養不良によるとされる死者数の検証は難しい。

それでも、そうした死者がガザ各地で出ていることを示す情報は確認できている。

現地でBBCの仕事をしているパレスチナ人ジャーナリストが、中部デイル・アル・バラフのアル・アクサ殉教者病院で撮影した映像には、22日に栄養不良で死亡したと医師が説明した男性アフメド・アル・ハサナットさんのやせ細った遺体が映っていた。

現地保健当局は、南部ハンユニスで13歳の少年アブドゥル・ハミド・アル・ガルバンさんが死亡したと発表した。AFP通信とトルコのアナドル通信が配信した写真には、ナセル病院でこの少年の遺体の埋葬準備が進められ、白い布に包まれて運ばれる様子が写っている。

パレスチナのメディアは、北部ガザ市のアル・シファ病院で栄養不良で死亡したと保健当局が発表した、生後6週間の男児ユセフ・アル・サファディちゃんの遺体とされる映像を投稿した。

アメリカを拠点とする医療人道団体「MedGlobal」は声明で、ガザにいる栄養管理チームが、過去3日間に生後3カ月から4歳の子ども5人が、重度の栄養不良で死亡するのを目にしたと説明。同団体のジョセフ・ベリヴォー事務局長は、「これは意図的かつ人為的な大惨事だ」、「ガザには十分な食料がなく、回復に使う点滴や粉ミルクといった医薬品も不足しているために、子どもたちは死亡した」とした。

MedGlobalによると、7月に入ってから子どもを中心とした急性栄養不良の患者が3倍近くに増えており、食料危機の広がりがうかがえるという。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)も、ガザのスタッフから「SOS」のメッセージを受け取っているとし、食料が切実に不足しているとしている。UNRWAの医師や支援職員の中には、空腹と疲労のため職務中に気を失う人もいるという。

ガザの住民もBBCの取材に、現在の飢餓の危機は、記憶している中で最悪だと話している。

アル・シファ病院のベテラン職員オサマ・タウフィクさんは、「お腹をすかせた子供6人を置いて、自分も空腹のまま仕事に行く」と話した。

また、「患者も食べ物がない。病院内で子どもたちが飢えで死んでいる。ここで20年働いているが、今まで餓死で誰かが死ぬのを見たことはなかった」と語った。

4人の子どもの父親のモハメド・マフムードさんは、「この2日間、レンズ豆以外は何も食べていない」、「コップ一杯の水に食塩を少し混ぜて飲む。そうやって電解質を取っている」と話した。

3人に1人は何日も食事せず

世界食糧計画(WFP)は今週初め、ガザで栄養不良が急増しており、成人女性や子どもら9万人が緊急に治療が必要な状態だと報告。約3人に1人は何日も食事をしていないと説明した。

WFPは、ほとんどの人にとって食料支援が唯一の食料入手方法だと説明。「食料支援の配給を大幅に拡大」するよう求め、ガザの近くに食料と現地対応チームを準備させているとした。

国連は、1日最低600台の支援物資輸送車がガザに入る必要があるとしている。しかし、 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、5~7月にガザに入ることが許可されたのは計1600台(1日平均27台)程度だったという。

イスラエル軍の報道官を務めるナダヴ・ショシャニ中佐は、ソーシャルメディアに動画を投稿し、トラック950台の支援物資が「現在ガザで、国際機関による引き取りと、ガザ住民らへの配給を待っている」と主張。「これは、イスラエルが支援物資のガザ搬入を促進した後の状況だ」とした。

国連は、敵対行為の継続や、イスラエルによる人道活動の制限、燃料不足などによって、物資の引き取りと配給に困難が生じているとしている。

支援物資を積んだトラックの列ができている。写真手前のトラックの前部バンパーに、2人の人が腰かけている。1人は携帯電話を右耳に当てている

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画像説明, イスラエルがガザへの物資搬入を停止したあと、検問所の近くでは、支援物資を満載したトラックの列がよく見られた

イスラエルは3月初めにガザへの支援物資の搬入ルートを全面的に封鎖し、その2週間後にハマスに対する軍事攻撃を再開した。イスラエルは、ハマスに圧力をかけ、残りのイスラエル人人質を解放させるのが狙いだとした。

世界中の専門家が飢餓の発生を警告するなか、封鎖は5月下旬に部分的に緩和された。だが、食料、医薬品、燃料の不足は、一段と深刻化している。