牛が道具を使用、世界で初めて確認 科学界に衝撃

画像提供, Antonio J Osuna Mascaró
オーストリアでこのほど、家畜の牛が道具を器用に使用していることが確認された。これをきっかけに、牛の能力に対する科学者たちの評価が変わりつつある。
ウィーンの研究者たちが報告したこの発見は、牛の認知能力が、これまで考えられていたよりもはるかに高い可能性を示している。
道具を使う様子が確認されたのは、オーストリアの山間部の村で育てられている牛のヴェロニカ。数年にわたり、棒や熊手、ほうきを使って自分の体をかく技術を磨いてきたという。
ヴェロニカのこうした行動を耳にしたウィーンの動物知能の専門家たちは、調査を実施。その結果、ヴェロニカが用途によって、同じ道具の両端を使い分けていることが判明した。
背中など強くかく必要がある部分には、ほうきの毛先を使い、腹部などの敏感な部分には、なめらかな柄を使っていた。
このような道具の使い分けは動物界でも極めてまれで、牛で確認されたのは初めてという。
「牛が道具を使えるとは予想していなかった。ましてや、一つの道具を複数の用途で使い分けるとは思ってもいなかった。こうした行動が一貫して報告されてきたのは、これまでチンパンジーしかいなかった」と、ウィーン獣医大学のアントニオ・オスナ=マスカロ博士は語った。

画像提供, Getty Images
人間以外で最も多様な道具を使用するのはチンパンジーで、棒を使ってアリやシロアリを捕獲したり、石でナッツを割ったりすることが確認されている。
一方で、約1万年にわたり人間と共存してきた牛が道具を使うことを、科学者が記録したのは今回が初めて。
研究者たちは、牛が一般的に考えられているよりも賢く、環境さえ整えばほかの牛も同様の技術を身につける可能性があることが、今回の発見で示されたとしている。
ヴェロニカの飼い主である有機農家のヴィトガー・ヴィゲレ氏は、ヴェロニカの意外な才能が自然界の価値を見いだすきっかけになってほしいと話す。
「自然を守ることは、自分自身を守ることになる。自然の多様性こそがこの地球で生き延びるカギだ」
この研究結果は、生物学誌「カレント・バイオロジー」に掲載された。








