イスラエル、「基本的な量」の食料搬入を認めると発表 10週間のガザ封鎖解除へ

パレスチナ・ガザ地区で病院に運ばれた負傷者

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画像説明, パレスチナ・ガザ地区で病院に運ばれた負傷者

イスラエルは18日、パレスチナ・ガザ地区に「基本的な量の食料」が搬入されるのを認めると発表した。イスラエルは10週間にわたってガザを封鎖しており、「飢餓の危機を生じさせない」ためだとしている。この発表の少し前には、イスラエル軍がガザ全域で「大規模な地上作戦」を開始したと明らかにした。

イスラエルの首相官邸は声明で、「飢餓の危機を生じさせない」ために、ガザの「住民のために基本的な量の食料を運び入れる」ことを認めるとした。ガザで住民が飢えるような事態になれば、イスラエル軍の新しい攻勢「ギデオンの戦車」作戦を危険にさらすことになるとも説明した。

さらに、「(ガザのイスラム組織)ハマスが人道支援物資の分配をコントロールできないようにするために(イスラエルは)行動する」と付け加えた。

ガザではイスラエルによる封鎖のため、食料、燃料、医薬品が地区内に届かなくなっている。そのためイスラエルに対し、封鎖解除を求める圧力が強まっている。

支援機関は、人口210万人のガザで飢餓のリスクが高まっていると警告している。現地からは、栄養失調に苦しむ、やせ細った子どもたちの映像や証言が発信されている。

攻撃強めるイスラエル

イスラエルはこの日、発表に先立ち、ガザ北部の病院などを空爆した。ガザで拘束されている人質の解放とハマスの打倒が目的だと説明した。

ガザの救助隊によると、北部のベイトラヒア、ジャバリア難民キャンプ、南部ハンユニスなどで空爆があった。

ハマスが運営するガザ保健当局は、過去24時間でガザで少なくとも67人が殺害され、361人が負傷したと発表した。

また、ベイトラヒアのインドネシアン病院で、スタッフや患者が「激しい銃撃」を受けたと説明。イスラエル軍が病院を包囲して封鎖し、「実質的に機能停止へ追い込んでいる」と非難した。

イスラエル軍は、ガザ北部の「テロリストのインフラ拠点」を相手に戦っているのだとして、インドネシアン病院の隣接地域もそれに含まれるとしている。

一方、同病院の関係者はBBCに、病院内にはいかなる軍事目標もないとし、攻撃前に避難命令や警告は出されなかったと話した。

南部ハンユニスでは女性がBBCの取材に、状況は「非常に困難」で、爆撃音のせいで眠れないと話した。また、「小麦粉、ガス、食料の深刻な不足」に耐えているとした。

ガザの主要な緊急対応機関の民間防衛隊によると、南部のアルマワシ難民キャンプでも夜間に攻撃があり、22人が殺害され、100人が負傷した。同キャンプは以前、「安全地帯」に指定されていた。

イスラエル軍は18日、ガザ住民らに向けた「最終警告」とする避難命令で、「ロケット弾の発射に使われた地域に強力な攻撃を加える」と予告。「アルマワシにある避難所に移動」するよう呼びかけていた。

停戦に向けた協議

こうしたなか、イスラエルとハマスはカタールで、停戦合意に向けた協議を続けている。

ネタニヤフ首相は声明で、合意には「すべての人質の解放、ハマスのテロリストの追放、ガザ地区の武装解除が含まれる」とした。

一方、ハマス幹部はBBCに、「イスラエルが強硬な態度を取り続けているため、ドーハで続く交渉に今のところ打開策や進展は見られない」と話した。

この幹部によると、ハマスは「包括的かつ永続的な停戦合意に達することを条件」に、イスラエル人の人質全員を一気に解放する意向を表明している。しかしイスラエルは、一時停戦と引き換えに人質が1、2回に分けて解放されることを望んでいるという。

殺害されたハマス指導者の弟が標的か

イスラエル軍はこのところ、立て続けに病院を攻撃している。ハンユニスでは、地域最大規模のナセル病院とヨーロピアン病院を攻撃した。

イスラエルのメディアは、ヨーロピアン病院への攻撃は、ハマス幹部モハメド・シンワル氏を狙ったものだったと報じた。同氏は、昨年10月にイスラエル軍に殺害されたハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏の弟。

動画説明, イスラエルがガザの病院空爆、現場の様子をイギリス人医師が撮影

ガザでは、今年1月19日から約2カ月続いた停戦が崩壊し、イスラエルが3月18日に空爆を再開。以来、数千人が殺害されている。

イスラエル軍は、作戦の拡大について、人質の解放や「ハマスの打倒」を含む「すべての戦争目的の達成」が目的だとしている。

だが、人質の家族団体はこの作戦が、ガザで拘束されている人質に「重大かつ拡大する危険」をもたらしていると訴えている。

ガザには現在、58人ほどの人質が残されており、うち最大23人が生存しているとみられている。