ルビオ米長官、ガザの人道状況「懸念」 ガザ保健省はイスラエルの空爆で114人死亡と

画像提供, HAITHAM IMAD/EPA-EFE/Shutterstock
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は15日、パレスチナ・ガザ地区における人道状況を「懸念している」と述べた。
イスラム組織ハマスが運営するガザ地区の保健省はこの日、イスラエルの空爆で少なくとも114人のパレスチナ人が殺されたと発表した。
BBCの記者が、最近のイスラエルによる攻撃の規模や病院への爆撃を踏まえてもなお、トランプ政権はイスラエルの軍事行動の性質を全面的に支持しているのかと質問すると、ルビオ国務長官は、あらためてハマスに対して降伏と人質の解放を求め、「この組織が存在する限り平和はあり得ない」と述べた。
一方で、「とはいえ、我々はガザの人々の苦しみに無関心でも鈍感でもない。彼らに支援を提供する機会がここにあることは、承知している」とも話した。
イスラエルはガザを過去10週間にわたって封鎖しており、食料やその他の人道支援物資が運び込まれていない。イスラエル軍は、ガザでの地上作戦の拡大を前に、ハマス戦闘員およびそのインフラとされる標的への爆撃を強化している。
ルビオ氏の発言は、トルコで開かれた北大西洋条約機構(NATO)外相会合後のもの。イスラエルとアメリカによる、民間業者を活用してガザに支援物資の集積拠点を設けるという案に言及したものとみられる。異論や批判の多いこの計画について、国連は「非倫理的かつ実行不可能」として、支援しない方針を示している。
ドナルド・トランプ米大統領は現在、中東各国を訪問している。また、ハマスとイスラエルの間では、停戦および人質解放に向けた間接交渉が継続している状況にある。
一方ハマスは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が「意図的な軍事的エスカレーションによって仲介努力を損なっている」と非難した。
イスラエル政府の報道官は、イスラエルは人質解放に関する交渉の成功を望んでいるが、それはハマスに対する「軍事的圧力」の下で行われると述べた。
住宅や難民キャンプ、診療所などに爆撃
ガザ南部ハンユニスでは13日にイスラエルの空爆があり、犠牲者数はイスラエルが約2カ月前に攻勢を再開して以来で最多だった。14日朝の通りでは葬列が続き、悲しみに暮れる家族の姿があふれた。
現地のナセル病院によると、市内で避難民が身を寄せていた住宅やテントが夜間に爆撃され、女性や子どもを含むおよそ56人が死亡した。
イスラエル軍は、ガザ南部でハマスおよびパレスチナ・イスラム聖戦の戦闘員を攻撃したと発表している。
BBCアラビア語の番組「ミドル・イースト・デイリー」の取材に応じた男性は、ナセル病院の遺体安置所が「収容能力を超えて満杯」になっており、埋葬までの間、複数の遺体が廊下に安置されていたと語った。
また、ベッドが不足していることから、やけどや手足の切断、内出血などさまざまな症状の負傷者を、医師たちは担架やベンチや床の上で治療せざるを得なかったと語った。
「今日亡くなった人の中には、子ども36人が含まれていた(中略)市民登録簿から一家まるごと消えた家族もある」
「悲しいことに、こうした破壊の光景が日常の一部となっている」
地元の活動家が共有した映像には、医療従事者たちが地元の墓地で多数の遺体を地面に並べる様子が映っていた。近くにはイスラム教指導者(イマーム)が立ち、整然と居並ぶ数百人の参列者を前に祈りを捧げていた。
6人の子供を持つサファー・アル・バユークさん(42)は、空爆で生後6週間の息子ムアーズちゃんと1歳4カ月の息子ムアタズちゃんを失ったと語った。
「夕食を食べさせて、寝かしつけた。普通の日だった(中略)それが突然、世界がひっくり返った」と、アル・バユークさんはロイター通信に語った。
13歳のリーム・アル・ザナティさんは、自分と親類の家が爆撃され、おじの家族が空爆で死亡したと話した。犠牲者には12歳のいとこメンナさんも含まれるという。
「何も感じなかったし、何も聞こえなかった。ただ、意識が戻るとがれきに埋もれていた」と、アル・ザナティさんは語った。
「民間防衛隊は来なかった。本当のところ、自力ではい出た。父が助けてくれた」
また、医療関係者の話によると、ハマス系のアル・アクサ・ラジオに勤務していた地元ジャーナリスト、ハッサン・サムール氏が、東部バニ・スヘイラ地区の自宅が攻撃された際、家族11人と共に死亡したという。

画像提供, Reuters
ハマスが運営する民間防衛隊は、イスラエルによる空爆の後、北部ベイト・ラヒヤで4人、中部デイル・アル・バラフで2人の遺体を収容したと発表した。
その後、マフムード・バサル報道官は、ジャバリアでも住宅が攻撃され、シハーブ一家の5人全員が死亡したと報告した。
パレスチナのワファ通信は、ジャバリア難民キャンプのアル・ファフーリ地区にあるアル・トウバ診療所と礼拝所が爆撃され、子ども11人を含む15人が死亡したと伝えた。
現場の様子だとしてインターネットに投稿された映像には、甚大な損傷を受けた建物のそばの通りに、がれきに覆われた2体の遺体が横たわっている様子が映っていた。
住民のイェヒヤ・アブ・ジャルフームさんはロイター通信に、「あらゆる意味で、言語道断の犯罪だ。(被害者は)医療クリニックの中にいて、安全だった。民間人、子ども、女性、男性たちだ。軍用ミサイルを医療クリニックに、そこにいた人々や通行人に向けて撃つなんて、人間には理解できないことだ」と述べた。
ガザ北部に住むアミール・セルハさん(43)もAFP通信に対し、「戦車の砲撃が昼夜を問わず続いていて、この地域は人とテントであふれている」と述べた。
また、イスラエル軍のドローン(無人機)が自分の住む地域の上空から、住民に南部への移動を促すビラを投下したとも語った。
イスラエル軍は過去2日間で、戦闘員の拠点、ロケット発射装置、インフラ施設などを含む130の「テロ目標」をガザ全域で攻撃したと発表している。

画像提供, AFP
ガザの病院および民間防衛局によると、14日にはイスラエルによる空爆で少なくとも80人が殺された。そのうち59人はジャバリアの町および難民キャンプでの犠牲だった。
イスラエル軍は、13日の夜に北部でハマスおよびパレスチナ・イスラム聖戦の戦闘員を攻撃したと発表している。この日には、イスラエルに向けてロケット弾が発射されたことを受け、ジャバリアおよび周辺地域の住民に避難を呼びかけていた。
イスラエルが14日午後に新しく避難命令を出すと、北部ガザ市の人口密集地域に住む住民の間に混乱が生じた。
イスラエル軍は、リマール地区にある病院、大学、避難民を受け入れていた複数の学校が「テロリストの拠点」と化していると主張し、近く「強い力で」攻撃を行うと警告した。
米団体、2週間以内に支援物資配布を開始と
こうした中、アメリカの支援を受けた団体が、異論の多いアメリカ・イスラエル共同の支援物資配布計画の一環として、今後2週間以内にガザでの活動を開始すると発表した。
「ガザ人道財団」は、活動開始までの間、国連やその他の団体が支援物資の配送を再開できるようイスラエルに要請したと述べ、また、南部だけでなく北部にも支援配布拠点を設ける許可を求めていると明らかにした。
イスラエルのダニー・ダノン国連大使は、一連の要請について「把握していない」と述べたが、「大規模な作戦」がまもなく開始されることを認めた。
一方、国連のファルハン・ハク報道官は、同計画には参加しない方針を改めて表明し、「中立性、公平性、独立性といった基本原則に反する」と述べた。
イスラエルは過去10週間にわたり、ガザへの支援物資やその他の物資搬入を一切認めていない。国連が支援する「統合食料安全保障段階分類(IPC)」の評価によると、約50万人が飢餓の危機に直面していると警告されている。
イスラエルは3月2日に封鎖を開始し、その2週間後にはハマスに対する攻勢を再開して、2カ月間続いた停戦を打ち切った。イスラエルは、ハマスに残る58人の人質の解放を促すための圧力だとしている。人質のうち、最多で23人が生存しているとみられている。
国連は、イスラエルには国際法の下でガザの住民に対し食料や医療物資を確保する義務があると指摘している。これに対しイスラエルは、自分たちは国際法を順守しており、食料の不足はないと主張している。
イスラエル軍は、2023年10月7日のハマスによる越境攻撃を受けて、ハマス壊滅作戦を始めた。ハマスによる攻撃では、イスラエルの約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。
ハマス運営のガザ保健省によると、イスラエルが作戦を開始して以降、ガザで少なくとも5万3010人が殺された。そのうち2876人は、イスラエルが今年3月18日に攻勢を再開して以降に死亡したという。












