国連、ガザでトラック90台分の援助物資の受け取りを発表 搬入開始から3日

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イスラエルがパレスチナ・ガザ地区に対する11週間にわたる封鎖を一部緩和してから3日後の22日、地区内の国連のチームが、トラック90台分以上の人道支援物資を受け取った。
支援物資には、小麦粉、乳児用食品、医療機器などが含まれており、21日夜にケレム・シャローム検問所から搬入された後、配布のために倉庫へと運ばれた。22日には、複数のパン店がこの小麦粉を使ってパンの製造を開始した。
国連は、支援物資の搬入が遅れている理由として、イスラエル軍が承認した唯一の通行ルートにおいて安全が確保されていないことを挙げている。
一方、イスラエル当局は21日、追加で100台分のトラックがケレム・シャローム検問所からガザに入るのを認めたと発表した。しかし、国連は「ガザ地区の膨大なニーズを満たすには到底足りない」との見解を示している。
国連によると、戦争が始まる前には、1日平均で約500台のトラックがガザに物資を搬入していたという。

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人道支援団体は、人口約210万人のガザで、基本的な食料の深刻な不足と物価の高騰により、極度の飢餓状態が広がっていると警鐘を鳴らしている。
ロイター通信によると、イスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸地区に拠点を置くパレスチナ自治政府のマジェド・アブ・ラマダン保健相は23日、過去数日間で子どもと高齢者あわせて29人が、「飢餓に関連する原因」で死亡したと記者団に語った。
国連が支援する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の評価では、今後数カ月以内に約50万人が飢餓に直面する恐れがあるとされている。
また、国連世界食糧計画(WFP)の担当者は、国連とそのパートナー団体が14万トン以上の食料を支援ルート上に準備していると明らかにした。これは約6000台分のトラックに相当し、ガザの全人口を2カ月間養うのに十分な量だという。
イスラエルは3月2日にガザ地区への人道支援物資および商業物資の搬入を全面的に停止し、その2週間後に軍事作戦を再開した。これにより、イスラム組織ハマスとの2カ月間にわたる停戦は事実上終了した。
イスラエル当局は、ガザに残る58人の人質の解放をハマスに迫るための圧力だと説明している。人質のうち最大で23人が生存しているとみられている。
イスラエル側は、支援物資の不足は発生していないと主張し、ハマスが物資を戦闘員に供給したり、資金調達のために販売したりしていると非難している。ハマスはこうした見方は間違っているとし、国連も支援物資の横流しは確認されていないとしている。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は22日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、カナダのマーク・カーニー首相、イギリスのキア・スターマー首相に対し、「集団殺害者、レイプ犯、乳児殺害者、誘拐犯があなたたちに感謝しているなら、あなたたちは正義の側にいないということだ」と非難した。
これら3カ国は19日、イスラエルの軍事行動を非難する強い調子の共同声明に署名。ガザの人道状況が改善されなければ「さらなる具体的措置」を取ると警告していた。
ネタニヤフ首相は、3カ国の首脳が「イスラエルがパレスチナの子どもたちを飢えさせている」とするハマスのプロパガンダを信じ込んでいると主張した。
また、イスラエルとアメリカが国連や他の支援団体を介さず、アメリカの民間企業を通じて独自にガザへ人道支援物資を搬入する計画を進めていることを改めて表明した。
ネタニヤフ首相はこれまで、イスラエル軍が地上作戦を拡大し、パレスチナ自治区全域の掌握を進めるため、限定的に食料の搬入を認めていると述べていた。
22日の声明では、同計画に基づく最初の配布拠点の建設が「今後数日以内に完了する」と明らかにした。
一方、国連および複数の人道支援機関は、アメリカとイスラエルによるこの計画について「人道支援を兵器化するものであり、基本的な人道原則に反する」と批判。計画に協力しない方針を示している。
イスラエルの指定ルートは「危険」と支援団体
国際赤十字委員会(ICRC)は、南部ラファに設置された赤十字の野戦病院向けに医療物資をトラック1台分搬入したと発表した。しかし、同委員会は「さらなる支援が必要だ」と強調している。
ICRCは声明で「わずかなトラックの流入では到底足りない。迅速で妨害されない、継続的な支援物資の搬入だけが、現地の膨大なニーズに対応する第一歩となる」と訴えた。
イギリスの慈善団体「UK-Med」が南部アル・マワシに設置した野戦病院の運営を任されている看護師のマンディー・ブラックマン氏は、BBCの取材に対し、ガザの状況に「胸が張り裂ける思いだ」と語った。現地では食料が極端に不足しているという。
ブラックマン氏によると、病院に運ばれてくる患者は、同氏の過去2回の現地派遣時と比べて「目に見えてやせ細っている」という。また、スタッフから患者に提供できる食事は1日1回、米と豆類のみだと語った。
「人々は常に移動を強いられ、子どもに食事を与えることもできない。あす何が起きるか誰にも分からない。苦しみと不安が絶え間なく続いている」と、ブラックマン氏は話した。
物資の搬入が困難となっている背景について、国連世界食糧計画(WFP)の幹部であるアントワン・ルナール氏は、イスラエル軍が指定した輸送ルートが危険だと人道支援団体が判断しているためだとBBCに語った。
ルナール氏によると、このルートでは、極度の飢餓状態にある市民や武装した犯罪集団による襲撃のリスクがあるという。
「現在のガザの市場価格では、小麦粉を満載したトラック1台の価値は約40万ドル(約6200万円)に相当する」とルナール氏は説明した。
同氏は、解決策として「安全なルートを通じて、毎日数百台規模のトラックを倉庫まで搬入することが必要だ」と述べ、「支援が少なければ少ないほど、住民の不安とリスクは高まる」と指摘した。
また、ガザ側の支援団体が、護衛のための武装警備員を同行させていないのは、あまりに危険だからだと説明。現在実施されている5日間の支援搬入期間を延長し、長期的な停戦を実現することが早急に必要だと述べた。
ルナール氏は、1日あたり少なくとも100台の支援トラックを搬入しても、住民の「最低限の食料ニーズ」にしか対応できないと述べている。
過去24時間で100人以上が死亡

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イスラエルによるガザへの空爆および地上作戦が継続する中、ハマスが運営するガザの保健省は22日、過去24時間で107人が死亡したと発表した。
ハマスが運営する民間防衛隊は、同日の夜明け以降だけで少なくとも52人が死亡したとした。パレスチナのメディアによると、北部ジャバリアで住宅が攻撃を受け、16人が死亡した。その多くは同一家族の人たちだったという。
イスラエル軍は22日、ジャバリアを含む北部の13地区に対し避難命令を出し、「テロ組織が活動を継続しているため、当該地域で強力な軍事作戦を実施している」と住民に警告した。
国連の報告によると、ガザ地区の約81%が現在、イスラエルによる避難命令の対象地域、または軍事的に立ち入りが制限された「立入禁止区域」となっている。
今年3月以降、再び避難を強いられた住民は推定で約60万人に上り、そのうち過去1週間だけで16万1000人が新たに避難を余儀なくされた。
イスラエルは、2023年10月7日に発生したハマスによる越境攻撃により約1200人が死亡、251人が人質として連れ去られたことへの報復として、ガザ地区での軍事作戦を開始した。
ガザの保健省によると、これまでに少なくとも5万3762人が殺されており、そのうち約1万6500人が子どもだとしている。











