イスラエル軍、ヨルダン川西岸で外交団の近くに「警告射撃」 各国が非難
パレスチナ・ヨルダン川西岸地区で21日、訪問中の外交団の近くで、同地区を占領するイスラエル軍が警告射撃を行った。複数の国が同軍の行動を非難している。
イスラエル軍は、外交団が許可されたルートを逸脱したと主張。「距離を取らせるため」に空中に向けて発砲したと説明した。また、「不便をかけたことを遺憾に思う」と述べた。
この一件は、イスラエルの治安部隊が1月以降、パレスチナの武装組織に対する大規模な作戦を展開している北部ジェニンで発生した。負傷者は報告されていない。
これまでに、スペイン、エジプト、フランス、トルコ、アイルランド、イタリア、日本などが、イスラエル軍の行動に対して非難や抗議をしている。これらの国の一部は、現地に外交官を派遣していた。
また、いくつかの関係国が自国でイスラエル大使を呼び出し、説明と調査を求める方針を明らかにしている。
占領下のヨルダン川西岸地区の一部を統治するパレスチナ自治政府は、イスラエルの治安部隊が外交団を意図的に標的にしたと非難し、「凶悪な犯罪」だと述べた。
自治政府によると、外交団は公式訪問の一環としてパレスチナ当局と現地を訪れていた。「人道状況を視察・評価し、イスラエル占領軍によるパレスチナ人への継続的な違反行為を記録する」ことが目的だったという。
一方、イスラエル国防軍(IDF)は声明で、ジェニンにおいて外交団が「許可されていない区域」に立ち入らないよう、「警告射撃」を行ったと説明した。
IDFは、外交団が「承認されたルートから逸脱した」と述べ、今回の出来事によって「不便をかけたことを遺憾に思う」と付け加えた。
そのうえで、関係国の代表と協議を行い、今回の件に関する内部調査の結果について説明する意向を示した。

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あるヨーロッパの外交官は、数カ月にわたるイスラエルの作戦によってもたらされた「破壊の状況を確認するため」に、外交団が現地を訪れたと述べた。
パレスチナ自治政府によると、エジプト、ヨルダン、スペイン、トルコ、フランス、アイルランド、イギリスを含む多数の国が今回の訪問に関与していたという。
ヨーロッパ諸国および中東地域の広範な国々から非難の声が上がっており、特に外交官の生命を危険にさらした点について強い批判が寄せられている。
スペインとイタリア、フランスは、イスラエル大使を呼び出して事実関係の説明を求める意向を示している。欧州連合(EU)の外交政策責任者は、外交官の生命に対するいかなる脅威も「容認できない」と述べ、関係者の責任追及を求めた。
アイルランド政府は、ラマラに駐在する外交官2人が外交団に参加していたと発表。ミホル・マーティン首相は、「このような事態がどのようにして発生したのか、イスラエルに対して説明を強く求める」と述べた。
エジプトは、外交団に対する発砲は「すべての外交的慣例に反する」と非難。トルコも、「国際法および人権を体系的に無視するイスラエルの姿勢を改めて示すものだ」と批判した。
両国は、イスラエルに対して即時の調査と説明を求めている。
日本の外務省は22日、政府が「事案の発生は遺憾だ。説明と再発防止を求める」とイスラエル側に抗議したと明らかにした。
ヨルダン川西岸地区の状況
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、1月にジェニンで「テロの打倒」を目的とした大規模作戦の開始を発表した。この作戦はその後、トゥルカレムとトゥバスにも拡大された。
国連によると、これらの地域にあるパレスチナ難民キャンプの住民約4万人が、イスラエル当局から退去を命じられた。1年間は戻ることができないと通告されたうえで、強制的に移動させられたという。
イスラエル軍は2月、作戦の中でパレスチナ側の戦闘員60人を殺害し、280人を拘束したと発表した。一方、国連は先週、今年に入ってから西岸地区全体でイスラエル軍により124人が殺害されたと報告している。
2023年10月7日にガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエル南部を攻撃したことをきっかけに戦争が始まって以降、西岸地区では暴力の激化により、数百人のパレスチナ人と数十人のイスラエル人が命を落としている。
イスラエルは、1967年の中東戦争で西岸地区と東エルサレムを占領して以降、そこに約160カ所の入植地を建設し、約70万人のユダヤ人が居住している。
国際社会の大半は、こうした入植地を国際法に違反すると見なしており、昨年の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見もこの立場を支持している。ただし、イスラエルはこの見解に異議を唱えている。












