ガザに支援物資入る、イスラエルが11週間ぶり容認 「大海の一滴」と国連

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イスラエルは19日、ベビーフードなどの人道支援物資を積んだ国連のトラック5台が、パレスチナ・ガザ地区に入るのを認めたと発表した。イスラエルは11週間にわたり、ガザを封鎖してきた。
イスラエルの軍事組織で、ガザでの人道問題を担当しているイスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)が発表した。トラックは「イスラエル国防軍(IDF)当局の勧告と、政治上層部の指示に従い」、南部ケレム・シャローム検問所からガザに入ったという。
国連の人道問題担当トップのトム・フレッチャー事務次長は、イスラエル当局が限定した支援物資について搬入再開を認めたことは「歓迎すべき進展」だとコメントした。また、ケレム・シャローム検問所からは、トラック9台がガザ入りを認められているとした。
「だが、緊急に必要とされている量を考えれば、大海の一滴に過ぎない」とフレッチャー氏は警告。もっと多くの支援物資がガザに搬入されなくてはならない。明日の朝からただちに」と強調した。
同氏はまた、イスラエルが国連に対し、物資の搬入は既存の仕組みを通して行われると確約したと説明。「私たちの支援が必ず、それを最も必要としている人に届き、(イスラム組織)ハマスなど武装集団に強奪されるリスクが最小限に抑えられるようにする」と述べた。
AFP通信が国連のステファン・デュジャリック報道官の話として報じたところでは、この日は「すでに暗く」なっていて、「安全面の懸念」もあったことから、ガザの指定区域での物資受け取りはなかったという。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「最小限の」食料の一時的な運び入れを認めたのは、イスラエルを支援する米上院関係者たちから圧力を受けたからだと話した。
イスラエル国内では、「ハマスに燃料を与える」などとして、この決定を批判する声も出ている。ネタニヤフ氏は動画メッセージで、「飢饉(ききん)の状況に達してはならない。現実的な観点からも、外交的な観点からもだ」と反論した。
ネタニヤフ氏はまた、食料の搬入が継続されるのは、イスラエルの軍と民間企業が、アメリカの支援する計画によって配給センターを設置した場合に限られると述べた。この計画に、国連は反対している。
国連や支援機関は、人道支援物資を積んだトラック8900台近くがガザに入る準備ができているとしている。また、「大規模に人命を助うための、明確で原則に基づいた実際的な計画」(フレッチャー国連報道官)があるとしている。

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国連や支援機関は、ガザ南部の拠点を中心に支援物資を分配するというイスラエルとアメリカの計画には協力しないとしている。公平性、独立性、中立性という人道支援の基本原則に反するというのが理由。この計画は、移動が困難な障がい者や高齢者が実質的に分配から排除されるなど、世界中の支援活動にとって受け入れがたい悪例につながると批判している。
イスラエルは3月2日、ガザへの人道支援物資と商業物資の搬入をすべて停止させた。その2週間後、約2カ月続いた停戦を終わらせ、軍事攻撃を再開した。
再開後、ガザでは3000人以上が殺害され、40万人が避難を余儀なくされているとされる。国連は、イスラエルの封鎖によって、食料、医薬品、燃料が深刻に不足しているとしている。
ハマスが運営するガザ保健当局は先週、過去11週間で子ども57人が栄養不良の影響で死亡したと報告した。国連が支援する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は、ガザで50万人が飢餓に直面していると警告した。
英仏カナダがイスラエル批判
イギリスのキア・スターマー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、カナダのマーク・カーニー首相は19日、基本的な量の食料をガザに入れるというイスラエルの決定は「まったく不十分だ」と訴えた。
3首脳は共同声明を発表し、「イスラエルが新たな軍事攻撃をやめ、人道支援に対する制限を解除しないなら、私たちは対応としてさらに具体的な行動を取る」とした。
これに対しネタニヤフ氏は声明で、3首脳がイスラエルに「生存をかけた防衛戦争を終わらせる」よう求めていると声明で非難。「境界にいるハマス・テロリストを破壊するより前に、我々の生存をかけた防衛戦争を終わらせるようイスラエルに求め、そしてパレスチナ国家を要求することで、ロンドンとオタワとパリの指導者たちは、(2023年)10月7日のジェノサイド的攻撃に大きいほうびを与えているし、それによって同じような残虐行為をさらに招いている」と主張した。
そして、「イスラエルはトランプ大統領のビジョンを受け入れている。すべての欧州指導者にも同じことを求める」と付け加えた。
ガザの「全域を掌握する」
ネタニヤフ氏はまた、イスラエル軍がガザの「全域を掌握する」と宣言した。同軍は18日、ハマスに対する地上攻撃の拡大を開始している。
ガザの救助隊や病院関係者は、ガザ各地で19日、イスラエル軍の空爆によって少なくとも40人が殺害されたとした。
空爆の一つでは、ガザ中部ヌセイラート難民キャンプの避難所となっている学校が攻撃され、5人が殺害されたとされる。
イスラエル軍は、地域の指揮統制センターで活動していた「ハマスのテロリスト」を攻撃したと主張した。また、南部ハンユニスとその東側の郊外にいる人々に対し、近く「前例のない攻撃」が始まるとして避難するよう指示した。
イスラエル軍報道官のエフィー・デフリン准将は18日、「(ガザの)領土を分割し、住民を安全のために移動させる」ことを含めた作戦に、5個師団が関わっていると説明。「私たちを制止できるのは人質の帰還だけだ」と付け加えた。
イスラエルとハマスは、停戦と人質解放の合意に向けた新たな間接協議のため、それぞれ交渉団をカタールにとどめている。ただ、双方とも協議の突破口は開かれていないとしている。











