ガザに11週間ぶり物資搬入も「まだ配給されず」と国連、イスラエルへの国際的圧力高まる

支援物資を載せたトラック(ガザ南部ケレム・シャローム検問所近く)

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画像説明, 支援物資を載せたトラック(ガザ南部ケレム・シャローム検問所近く)

国連は20日、前日にパレスチナ・ガザ地区への支援物資の搬入が11週間ぶりに再開されたものの、同地区でまだ物資が配給されていないと発表した。

イスラエル当局によると、20日には小麦粉やベビーフード、医療機器、医薬品などの支援物資を積んだトラック93台がガザに入った。

しかし、国連は、トラックはガザ側のケレム・シャローム検問所に到着したものの、これまでのところ支援物資は配給されていないとしている。

国連のステファン・デュジャリック報道官は、イスラエルがガザへの立ち入りを許可するのを「数時間待った」ものの、「残念ながら、物資を国連の倉庫に届けることができなかった」チームもいたと述べた。

イスラエルは19日、「基本的な量の食料」をガザに入れるのを認めた。

それでも、イスラエルに対する国際的圧力は高まり続けている。

イギリス政府は、イスラエルがガザで「道徳的に正当化できない」軍事的エスカレーションを行っているとして、通商協議を中断する方針を示した。キア・スターマー首相は、ガザの状況は「耐え難い」ものだと下院で述べた。

欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、EUはガザでのイスラエルの行動を踏まえて、イスラエルとの貿易協定を見直すつもりだと述べた。

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イスラエルが支援を「複雑に」

国連のデュジャリック報道官によると、イスラエルは「ケレム・シャローム検問所のガザ側で物資を降ろし、国連のチームがガザ地区内からのアクセスを確保した後に物資を積み直す」ことを要求。これが援助活動を「複雑」なものにしているという。

また、物資がガザに到着するようになったのは前向きな進展だとしつつ、その量は「必要な物資のうちの、大海の一滴」にすぎないと、デュジャリック氏は付け加えた。

ガザの慢性的な人道危機に対処するには、1日あたりトラック600台分の物資が必要だと、国連機関は推定している。

国連の人道問題担当トップのトム・フレッチャー事務次長は先に、イスラエルがガザへの援助の流入を直ちに認めなければ、多くの乳児が死亡する可能性があるとBBCに語った。

フレッチャー氏はBBCのラジオ番組「トゥデイ」に対し、「我々の援助が届かなければ、今後48時間で1万4000人の赤ちゃんが死ぬだろう」と述べた。

この数字をどのように算出したのか問われると、医療センターや学校で活動する「協力なチームが現地にいる」と答えたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

BBCはその後、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)にこの人数について説明を求めた。UNOCHAは「IPC(国連が支援する『総合的食料安全保障レベル分類』)が警告しているように、ガザで重度の急性栄養失調に苦しむ推定1万4000人の赤ちゃんを救うには、物資の供給が不可欠だ。我々は一刻も早く、理想的には48時間以内に、物資を確保する必要がある」とした。

IPCの報告書は、2025年4月から2026年3月までの間に、生後6カ月から59カ月の子供たちの間で、約1万4100件の深刻な急性栄養失調が発生すると予想している。

同報告書は、こうした急性栄養失調が、今後48時間ではなく、今後1年の間に起こる可能性があると指摘している。

UNOCHAのイエンス・ラーケ報道官は記者会見でこの数字について質問されると、「現時点で、母親自身が食事をとることができず、命を救うための栄養補助食品を緊急に必要としている赤ちゃんがいることは事実だ」と説明。「それらが手に入らなければ、赤ちゃんは命の危険にさらされることになる」と述べた。

イスラム組織ハマスが運営するガザ保健省は先週、過去11週間で子供57人が栄養失調の影響で死亡したと報告した。

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アメリカは搬入再開を歓迎、欧州は軍事行動の停止求める

マルコ・ルビオ米国務長官は20日、イスラエルがガザへの支援物資の搬入を一部認めたことを歓迎。米上院外交委員会で、「援助が(ガザに)再び流入し始めているのを確認できてうれしい」と述べた。

イスラエルがガザへの物資搬入を許可したトラックの台数が少なすぎると、民主党議員が指摘していることについては、「十分な量ではないとの指摘は理解できるが、我々は、その(物資の搬入再開)決定をうれしく思う」と、ルビオ氏は述べた。

19日にはイギリス、フランス、カナダの首脳が声明で、イスラエル政府に対し、「軍事行動を停止」し、「人道援助がガザに入ることを直ちに許可」するよう求めた。

パレスチナをめぐっては20日、イギリスが、イスラエル人入植者と入植者とつながりのある団体に対する制裁措置を発表した。

ハマスは2023年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、251人を人質としてガザに連れ去った。これを受けてイスラエル軍はガザでハマス壊滅作戦を開始した。