バイデン氏、AIの安全性に関する大統領令に署名 「国民の安全守りながら活用」

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アメリカのジョー・バイデン大統領は30日、人工知能(AI)の安全性に関する大統領令に署名した。AI開発者に安全性の結果を政府に共有することを義務付けるもので、米ホワイトハウスは「AIの安全性分野を発展させるために、政府がこれまでに取った最も重要な動き」だとしている。
バイデン大統領は、「アメリカ国民の安全を守りながら、AIの力を活用する」と約束した。
AIの安全性に関しては、11月1日からイギリス・ブレッチリーパークで首脳会議(サミット)が開かれる予定。だがアナリストらは、バイデン政権の今回の大統領令によってAIをめぐる世界的な議論の中心にアメリカが立ったとみている。
今回の大統領令の主な内容は以下の通り。
- AIの新しい安全・セキュリティー基準を作成する。AI企業は安全性テストの結果を、連邦政府と共有することが義務付けられる
- AIで使用されるプライバシー技術を評価するためのガイドラインを当局が作成し、消費者のプライバシーを保護する
- AIアルゴリズムによる差別の阻止を支援するとともに、司法制度におけるAIの適切な役割に関するベストプラクティス(最善慣行)を作成する
- AI関連の医療行為のうち、危険性のあるものを判定する取り組みを立ち上げる。また、教育者が責任を持ってAIツールを使用するためのリソースを作成する
- 国際社会のさまざまなパートナーと協力し、AIの基準を世界中で実行する
バイデン大統領は、「AIが人類の境界を拡大する一方で、人類の理解の限界を試しているなか、この画期的な大統領令は、我々が何を目指しているのかを証明するものだ」と説明。
「安全性、セキュリティー、信頼、オープンであること、アメリカの指導力、そしていかなる創造物も奪うことのできない、創造主によって与えられた紛れもない権利だ」と述べた。
バイデン政権はまた、AI労働力を強化するための措置を講じている。30日には、AIの専門知識を持つ労働者がウエブサイト「AI.gov」を通じて、連邦政府の関連する募集を探せるようになった。
誰がリーダーシップを取るのか
イギリスでのサミットは、AIシステムの急速な発展により、致死性の高い生物兵器の開発や、影響力の大きなサイバー攻撃といった問題につながる懸念から開催が決まった。リシ・スーナク首相が主催し、ロンドンで2日にわたって行われる。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長や、アントニオ・グテーレス国連事務総長も出席する。
サミットでは、いわゆる「フロンティアAI」の影響に対する懸念の高まりに焦点が当てられるという。イギリス政府は、さまざまなタスクをこなし、現在の最先端モデルと同等かそれ以上の能力を持つ非常に高性能な汎用AIモデルを「フロンティアAI」と定義している。
イギリスは、この強力なテクノロジーがもたらすリスクを最小限に抑えようとする世界的リーダーとしての地位を確立しようとしている。
しかし、EUは独自のAI法の制定を進めているほか、中国はすでに多くの厳格なAI規則を策定している。こうしたなかで、アメリカの大統領令が発表された。
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AIに詳しいギャリー・マーカス氏はBBCの取材で、アメリカの大統領令はその規模において、先行のものより野心的な内容に見えると話した。
「バイデン氏の大統領令は、最初のハードルを高く設定した。現在のリスクと長期的なリスクの両方に焦点を当てた幅広いもので、十分ではないだろうが、ある程度の強制力がある」
「イギリスでのサミットは焦点を大きく絞り、主に長期的なリスクに注目し、『今、ここ』への注目が不足しているようだ。どれだけ強制力のある対策が決まるのか、どれだけの権限が実際にあるのか、まったくはっきりしない」
英シンクタンク「王立国際問題研究所(チャタムハウス)」のアレックス・クラソドムスキ上級研究員も、アメリカはAIの脅威に対処する方法について、自らをリーダーだと位置づけていると指摘。一方で、「それは「サミットにおけるイギリスの目的や目標とは必ずしも一致しない」と述べた。
「イギリスでのサミットは大統領令でも言及されているが、『海外におけるアメリカのリーダーシップの推進』という見出しの中だ。これはアメリカが自らを中国と並ぶビッグプレーヤーだと明確に認識していることを示している。だがより正確には、本当に前進しているのはアメリカ企業だ」
「小規模で高度な技術を要するサミットを開催するのは難しいが、この技術が世界的に大きな影響を与えるようになるには、世界各国との協力や関与が大々的に必要になるのは明らかだ」
ロイター通信は先に、主要7カ国(G7)が高度なAIシステムを開発する企業についての行動規範に合意したと報じている。









