ツイッターが認証マークを削除、ヒラリー・クリントン氏や準軍事組織の偽アカウントが出現

マリアナ・スプリングローラ・ゴッジ、BBCニュース

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画像提供, PA Media

画像説明, ツイッターがこれまでの認証マークを削除した後、同プラットフォーム上には多くのヒラリー・クリントン元米国務長官のなりすましアカウントが出現した

米ツイッターはこのほど、アカウントが本物だと示す認証マークを有料化し、料金を支払っていないアカウントからマークを削除した。なりすましアカウントへの懸念が高まっており、多くのユーザーが自分のアカウントを本物と示す方法を模索している。

BBCを含む報道機関を示す黄色の認証マークも、削除された。

一方で、ツイッターを所有するイーロン・マスク氏は、人気作家のスティーヴン・キング氏など数人の著名人の認証マーク料金を自ら支払った。

ツイッターの関係者は、マスク氏による買収後のツイッターの混乱がさらに高まっていると話している。

政治家や軍事組織の偽アカウントが出現

これまではステータスシンボルで本人・本物だと証明されている証だった青いチェックマークがなくなった後、ツイッターは模倣アカウントを停止するために、対応を急いでいる。

現在、スーダンで国軍と衝突している準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の偽アカウントは、指導者のモハメド・ハムダン・ダガロ司令官が死亡したとツイートした。

このアカウントは偽物だが、有料の認証マークを付けていた。一方、RSFの公式アカウントには認証マークが付いていない。ツイッター独自の統計によると、この偽ツイートは100万回以上、閲覧されている。

認証マークが消えてから数時間で、ヒラリー・クリントン元米国務長官の偽アカウントが、大統領選への出馬を表明する投稿をした。このアカウントは、クリントン氏の公式アカウントと全く同じプロフィール写真を使っていた。このアカウントはすでに凍結されている。

米ニューヨークでも、市政府の「本物のツイッターアカウント」を名乗るアカウントが現れた。このアカウントも凍結されたが、ニューヨーク市は声明を出すはめになった

マスク氏が個人的に支払い

作家のキング氏は、「私のアカウントに、ツイッター・ブルー(有料サービス)に登録していると書かれている。私は登録していない」とツイートすると、マスク氏は「どういたしまして、ナマステ」と返信した。

米バスケットボールのスター選手、レブロン・ジェイムズ氏も、ツイッターには料金を支払わないとしていたが、同氏のアカウントにも引き続き青い認証マークが付いている。

マスク氏は21日朝、キング氏とジェイムズ氏、そして「スター・トレック」シリーズで有名な俳優ウィリアム・シャトナー氏のアカウントについて、ツイッター・ブルー料金を自分が払ったのだと明らかにした。

しかし、それ以外の多くの著名人は認証マークを失った。

こうした中、青いチェックマークがついているのは恥ずかしいことだと言うようになった人たちもいる。米コーネル大学のコーシク・バス教授は、「ツイッターに料金を払っているという証だからだ」と説明した。

パキスタンのクリケット選手ババル・アザム氏を応援するアカウントは、「ファンページが認証マークを付けて、ババル・アザム本人が付けていない」なんて、ツイッターは「おかしな場所」になったとツイートした。

ほかにも、俳優のジェイソン・サダイキス氏のアカウントから認証マークが消えたのに、サダイキス氏が演じた役名「テッド・ラッソ」を名乗るアカウントがマークを付けているのは皮肉なことだと指摘するユーザーもいた。

ユーザーに被害をおよぼすリスク

ツイッター社内の関係者はBBCに対し、この混乱がユーザーに被害をおよぼすリスクがあると話した。

認証マークを有料化したことで、本物となりすましの区別がつきにくくなる。ツイッターでは長年、アカウントが本人かどうかを伝えるための言語として、青い認証マークが使われてきたからだ。

信頼できるニュースメディアには、以前は黄色のチェックマークが付いていたが、それも今は消えている。教皇フランシスコなどの著名なアカウントには灰色のチェックマークが付いているが、そうでないアカウントもある。

ツイッターは、灰色のチェックマークは政府や多国間組織、その職員などのものだと説明している。

一方で、荒らし目的のアカウントや、偽情報を拡散していた履歴のあるアカウントが、料金を支払って青色の認証マークを付けている実態もある。ユーザーは、認証マークを付けているアカウントは信頼できるもので、そのツイートも認可されたものだという印象を受けやすいが、今後は必ずしもそうではなくなってしまうだろう。

ニューヨーク市の偽アカウントの例のように、認証制度がなくなることで、少なくとも混乱を招くだろうし、最悪の場合は危険を伴う。

たとえば、この偽アカウントが緊急事態に関する偽情報や誤ったニュース、さらには異常気象への警報を出した場合、人々を危険にさらす可能性がある。

そのため、ユーザーは今後、どのアカウントが本物なのかを知るために、過去のツイートやフォロワー数といった他の証拠を慎重に調べる必要があるかもしれない。

ツイッターは、元プロ野球選手がなりすましアカウントをめぐって同社を提訴したことを受け、2009年に認証制度を導入した。

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2022年10月にツイッターを買収して以来、マスク氏は収益化を図るためにさまざまな改革を進めている。

認証マークの有料化という決定は、ツイッター上の風習と力関係を大きく変化させる可能性がある。

マスク氏は、認証を廃止する決定を、ツイッター上のコンテンツを民主化するための方法と位置付けようとしている。しかし、ツイッター・ブルー登録者の投稿などは優先して表示されるため、この動きは偽情報を増幅するものだとの批判もある。マスク氏は、ツイッター上の「おすすめ」欄には、認証されたアカウントのみが表示されるようになると述べている。

ソーシャルメディアをモニターしている人たちや専門家は、有料認証の増加により、ツイッター上で偽情報が増幅されることを懸念している。そうなれば、さらに多くの広告主がツイッターを忌避し、同社が認証有料化モデルで得ている追加収益が失われるかもしれない。

だがマスク氏は、痛みは変化につきものだと話している。

マスク氏はBBCの単独インタビューで、「我々は良い方向に向かっている気がする」、「全体としては、流れはとても良い」と語っていた。