ブラジル大統領選、左派のルラ元大統領が勝利 現職ボルソナロ氏破る

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ブラジルで30日、大統領選の決選投票があり、左派のルイス・イナシオ・「ルラ」・ダ・シルヴァ元大統領(77)が勝利した。現職で極右のジャイル・ボルソナロ大統領(67)は再選を果たせなかった。
政治的に正反対の立場にある宿敵同士が、国を二分して戦った。開票の結果、ルラ氏が50.9%の票を獲得した。
新大統領は来年1月1日に就任する。
労働者党のルラ氏は、2003年から2期8年大統領を務めた。通算3期目となる政権運営を担う。2017年に汚職で有罪となり、前回2018年の大統領選は服役中のため立候補を禁止されていた同氏にとって、驚異的な復活となった。
大統領選は今月2日に最初の投開票があったが、当選に必要な有効票の50%以上を獲得した候補者がいなかった。そのため、最多得票を得た2候補の間で、30日に決選投票が行われた。
飢餓撲滅や差別解消を約束
勝利を決めたルラ氏は、支持者に向かって演説し、「まず、神に感謝したい」と述べた。
そして、今回の選挙はブラジルの非常に異なる2つのビジョンの激突だったが、勝ったのはブラジル国民だとした。
ルラ氏はまた、ブラジル国民はよい暮らし、よい食事、仕事、教育を望んでいると主張。
「ブラジル国民が欲しいのは銃ではなく本だ」、「銃を置く時だ。そもそも銃を抜いてはならなかった」と訴えた。
ボルソナロ政権は、全国で銃規制法を緩和し、国民の銃の所有率が上昇している。
ルラ氏は、国民が望んでいるのは再び希望を持つことだと付け加えた。
ルラ氏はさらに、人種差別に取り組むと表明。白人、黒人、先住民が、同じ権利と機会を持てるようにするとした。
そして、「平和、民主主義、尊厳」をブラジルに望むとした。また、「2つのブラジル」など存在しないとし、「私たちは1つの国民だ」と強調した。
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ルラ氏は、最も喫緊な目標に「もう一度」飢餓撲滅を挙げると述べた。前回のルラ政権と、その後継のジルマ・ルセフ政権(労働者党)は、飢餓撲滅を最優先の課題にしていた。
ルラ氏は、ブラジルの何百万人もが十分な食事をしていないか、必要なカロリーやタンパク質を摂取できていないと指摘。そうした状況を普通のこととして受け入れてはいけないと主張した。
その上で、飢餓撲滅はとてつもない挑戦で、あらゆる次元で国の再建が必要だとした。
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ルラ氏はまた、アマゾン熱帯雨林での森林伐採を無くすことを目指し、政府として戦うと表明した。
違法行為を取り締まると誓い、「ブラジルと地球には、生きて呼吸するアマゾンが必要だ。まだ立っている1本の木は、違法に伐採された1トンの木材以上の価値がある」と述べた。

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ルラ氏はどんな人なのか
ルラ氏は、金属関連の労働者として働き、労働組合の指導者を務めた。1970年代に、労働者が賃上げを求め、軍事政権に異議を唱えたストライキが続くと、その存在が広く知られるようになった。
そして20年前、変革を約束して大統領選に立候補。初当選を果たした。
商品価格の上昇で国の収入が増え、それを高等教育や福祉などの分野に使い、何百万人もの国民を貧困からの脱出につなげた。
しかし近年、ルラ氏率いる労働者党と同氏自身の汚職スキャンダルが浮上。評価が損なわれた。ルラ氏は2017年、禁錮9年の有罪判決を受けた。
判決は4年後に取り消されたが、多くの国民がルラ氏を、公職にふさわしくない腐敗した政治家とみなすことになった。
各国首脳が祝福
ルラ氏の当選を、世界各国の首脳が祝福している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ツイッターでルラ氏の勝利を祝い、2人で「両国の友好の絆を新たにしていく」とした。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、当選が発表された直後、「自由、公正かつ信頼できる選挙」だったとし、ルラ氏に祝辞を送った。
カナダのジャスティン・トルドー首相も、ツイッターでルラ氏の当選を祝福。選挙で最大の争点の1つとなった環境保護についても言及した。









