ブラジル上院委、ボルソナロ大統領の訴追を支持 新型ウイルス対策めぐり

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ブラジルの上院特別委員会は27日、ジャイル・ボルソナロ大統領が新型コロナウイルスの流行への対応を誤ったとして、大統領を訴追するべきとする報告書を承認した。
ブラジルの新型ウイルスによる死者は、アメリカに次いで世界で2番目に多い。この報告書は、同国で60万人以上の死者が出たことについて、ボルソナロ大統領の過失を指摘。人道に対する罪を含む複数の罪状で起訴すべきだと結論付けている。
ボルソナロ氏は「まったくの無実」だとの主張を貫いているが、パンデミックによる危機で、支持率は下がっている。
特別委の承認が実際の刑事訴追につながる保証はないものの、報告書と共にアウグスト・アラス検察長官に送られた。
ただし、アラス長官はボルソナロ氏が任命しており、大統領を擁護するとみられている。

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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、人口2億800万人ブラジルで、新型ウイルスの感染報告件数は少なくとも2170万件、死者は60万6000人に上っている。
ボルソナロ大統領はパンデミックが始まって以来、新型ウイルス対策のロックダウンやマスク着用、ワクチンなどに否定的な発言を繰り返している。
2月には国民に対し、新型ウイルスのパンデミックについて「泣き言を言うな」と発言して大きな批判を浴びた。
また、ソーシャルメディアで新型ウイルスに関する誤情報を発信し続けており、先にはCOVID-19ワクチンとエイズに関する間違った情報を含む動画を投稿。フェイスブックとユーチューブがこの動画を削除した。
ユーチューブはさらに、大統領のアカウントを1週間凍結している。
「失敗の責任を負う中心人物」
ブラジルの議会は今年4月、政府の新型コロナウイルス対策について調査を開始。半年にわたる調査の結果、1300ページの報告書を発表した。
報告書では、ボルソナロ政権が新型ウイルスを全土に広め、集団免疫を獲得する政策を進めた疑いがあると指摘している。
また、ボルソナロ氏は「パンデミック中に連邦政府がおかした失敗の責任を負う中心人物」だと述べている。
その上で、人道に対する罪や犯罪の扇動、文書偽造、公民権侵害、公的資金の悪用、フェイクニュースの拡散など計9件の罪で、大統領を起訴するべきだと推奨。
さらに、企業2社と大統領の成人の息子3人を含む77人も訴追するべきだと結論付けた。
この報告書を取りまとめたレナン・カレイロス議員は、「ジャイル・ボルソナロ政権の生み出した混乱は、最悪の困窮として歴史に残るだろう」と述べ、大統領を人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)に提訴するよう求めた。
トランプ前大統領が擁護
ボルソナロ氏は調査開始から一貫して、自身の政権は「パンデミックの最初の瞬間から正しいことをしてきた」と主張している。ボルソナロ氏の支持者も、報告書は完全に「政治的かつ、選挙を見据えて」書かれたものだと一蹴している。
報告書内で非難された大統領の息子の1人、フラヴィオ・ボルソナロ氏は、「全く法的根拠のない、政治的な報告書」だと発言。「調査委員会の上院議員の意図に、大統領はとても疲弊し、涙を流している」と話した。
ボルソナロ氏を支持しているドナルド・トランプ前米大統領も、「彼は愛するブラジル国民のために一生懸命に闘っている」とする声明を出し、擁護の姿勢を見せた。










