ブラジル各地でデモ、政府の新型ウイルス対策に抗議

A protest against Jair Bolsonaro in Brasilia, Brazil, 29 May 2021

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画像説明, 首都ブラジリアのデモには、巨大なボルソナロ大統領の人形が登場した

ブラジル各地で29日、ジャイル・ボルソナロ大統領率いる政府の新型コロナウイルス対策に抗議するデモが行われた。

首都ブラジリアでは多くのデモ参加者が議会前に集まり、大統領の弾劾(だんがい)を訴えると共に、ワクチン接種を急ぐよう求めた。デモはこのほか、リオデジャネイロなどでも発生した。

ボルソナロ大統領は、パンデミック当初から新型ウイルスを軽視する発言を繰り返し、マスク着用やロックダウンなどの感染対策にも反対している。

ブラジルでの新型ウイルスによる死者は、アメリカに次いで世界で2番目に多く、46万人近くに上っている。感染者数も160万人超と、世界3位。

ブラジル議会は4月末から、政府のパンデミック対策とワクチン接種事業について調査を開始しているが、今回のデモにより、政府への圧力がさらに高まった。

野党や労働組合、社会問題の活動家などは、ボルソナロ大統領がワクチン接種事業を遅らせ、その結果を無視していると批判している。

A protest against Jair Bolsonaro in Rio, Brazil, 29 May 2021

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画像説明, 野党などは、ボルソナロ大統領がワクチン接種事業を遅らせ
Protest against the government in Rio de Janeiro

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画像説明, リオデジャネイロでのデモの様子

感染者の急増で、ブラジルの医療システムは崩壊寸前に追い込まれている。

極右指導者のボルソナロ氏はかねて、ロックダウンによる経済への打撃は新型ウイルスの被害を上回ってしまうと主張。2月には国民に対し、新型ウイルスのパンデミックについて「泣き言を言うな」と発言した。

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ブラジリアのデモでは、巨大なボルソナロ大統領の人形が登場。参加者は大統領の弾劾要求に加え、ワクチンや緊急補償を求めるプラカードを掲げて行進した。また、ボルソナロ大統領が推進しているアマゾン熱帯雨林の伐採を中止し、先住民を保護するよう求める声もあった。

東部レシフェでは、警察がゴム弾や催涙ガスを使ってデモ参加者に対応していると報じられている。

また複数の都市では、人々が大通りの交差点に寝そべって、パンデミックの犠牲者を追悼するパフォーマンスも行われた。

Demonstrators hold signs during a protest against President Jair Bolsonaro in Brasilia on May 29, 2021

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画像説明, ブラジリアのデモでは、新型ウイルス対策のほかにも、政府の政策に反発する声があがった

ブラジルでこのワクチンの治験を行っているブタンタン研究所は27日、議会の調査委員会に対し、ボルソナロ大統領がワクチン接種事業を遅らせたと述べた。

ディマス・​コバス所長によると、ブタンタン研究所は昨年8月に政府に対し、1億回分のワクチンを供給できると打診。これは中国シノヴァクとライセンス契約し、同研究所で製造するもので、12月初めには最初の500万回分を供給できる内容だった。

しかしコバス所長によると、この提案の翌日、ボルソナロ大統領は中国製のワクチンは「絶対に」購入しないと発表した。

「ブラジルは世界で最初にワクチン接種を始められる可能性があった」と、​コバス所長は説明。その上で、もしこの提案が受け入れられていれば、今年3月までに1億回分のワクチンが供給できていたはずだと述べた。

ブラジルが現在受け取っているワクチンは約4600万回分。世界中がワクチンを求める中で原材料不足に見舞われているという。これまでに2回のワクチン接種を終えた成人は、全体のわずか10%だ。

調査委員会には、米ファイザーの中南米トップ、カルロス・ムリリョ氏も召喚され、昨年12月にファイザーが提示した150万回分の供給案に、ボルソナロ政権は一度も返答していないと述べた。