スーナク氏が英首相目指すと表明、英与党議員の支持数で優勢 ジョンソン前首相は不出馬表明

画像提供, Reuters
イギリスでリズ・トラス首相の辞意表明を受けて与党・保守党の新党首、つまり次期首相を選ぶ作業が本格化する中、保守党議員の間では優勢とされるリシ・スーナク元財務相が23日、出馬を表明した。動向が注目されていたボリス・ジョンソン前首相は同日夜、不出馬を表明した。
スーナク元財務相は、「イギリスは偉大な国ですが、深刻な経済危機に直面しています。そのため私は、保守党の党首、そして皆さんの次の総理大臣になるため、立候補します。私はこの国の経済を立て直し、この党を一致団結させ、国のために結果を実現したい」として、出馬を発表した。
スーナク氏はさらに、「私が先頭に立つ政府はあらゆるレベルで、誠実に、プロフェッショナルらしく、説明責任を伴って動く。私はやるべき職務を果たすため、連日連夜、精一杯働く」と書いた。

ジョンソン前首相はこの後、自分は出馬に必要な支持を得ているものの、国を統治するには党の統一が必要だとして、そのために自分は出馬しないことを決めたと発表した。
日本時間24日朝までのBBC集計で、スーナク氏はすでに155人の保守党下院議員の支持を得ている。ジョンソン氏については54人が支持を公表しているものの、ジョンソン氏自身は102人の支持を得たと述べた。
夏の党首選で3位になったペニー・モーダント下院院内総務は21日、先頭を切って出馬の意向を正式表明したが、保守党議員の支持者は25人にとどまっている。
今回の党首選の候補になるには、24日午後2時(日本時間同10時)までに、保守党下院議員100人の推薦を得なくてはならない。定数650議席の英下院で、保守党の議員は現在357人。
24日の時点で保守党の下院議員たちが1人の候補のもとでまとまれば、同日午後には新党首が決まる。下院で保守党は安定多数を得ているため、新党首が自動的に新首相になる。
24日午後2時の時点で候補2人が支持者100人のラインに達した場合、下院議員たちが「参考」投票を行ったのち、全国の保守党員がオンラインで投票し、28日に新しい党首を決める。保守党員全員が投票する決選投票になった場合、これまでは世論調査によるとジョンソン氏が優勢とされていた。
BBCの前政治編集長で現在は日曜朝の番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」の司会者、ローラ・クンスバーグ記者は、スーナク氏とジョンソン氏は22日夜に会談したものの、「今晩中に何か結論やニュースがそこから出てくるかはわからない」としていた。
23日朝の番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」でモーダント氏は、閣僚ポストと引き換えにジョンソン氏を支持すると約束したといううわさについて質問され、これをきっぱり否定。自分はジョンソン陣営と連絡を取り合ってなどいないと述べた。

画像提供, Reuters
ジョンソン氏は相次ぐ不祥事をめぐり、スーナク財務相(当時)をはじめとする政府要人が一斉辞任したのを受けて、今年7月に党首を辞任したばかり。ジョンソン氏辞任を受けた党首選でトラス氏が勝利し、9月6日に首相に就任したものの、経済政策に伴う混乱から史上最短の在任45日目で辞意を発表した。
ジョンソン氏については、新型コロナウイルス対策に違反して首相官邸でパーティーがたびたび開かれたことについて、下院に事実と異なる報告をしたのかどうか、議会の調査が続いている。
スーナク氏支持の議員増える
スーナク元財務相は、ジョンソン氏の首相辞任に伴う今年夏の党首選で決選投票まで残った。22日から23日にかけて、多数の保守党下院議員が相次いで支持を表明した。
内相になって間もないグラント・シャップス氏はツイッターでスーナク氏への支持を表明し、「この大変な時に、安定をもたらすことのできる人、経済政策において優秀だと実証済みの人が必要だ」と、その理由を説明した。
夏の党首選に出馬して注目されたケミ・ベイドノック国際貿易相は、今回は自分は不出馬だとして、スーナク氏を支持。英タイムズ紙に、スーナク氏こそ「私たちが必要としているまじめで正直なリーダーだ」と書いた。
スーナク氏については早くから、財務相と保健相を経験したサジド・ジャヴィド氏をはじめ、トム・トゥーゲンハート安全保障担当閣外相、マット・ハンコック元保健相などが、スーナク氏を支持している。
ジャヴィド氏は、「リシ・スーナクなら今の難局に取り組める。それは十分に明白だ。党を率いて国を前進させるには、彼が適している」と述べた。
トバイアス・エルウッド下院議員は、自分がスーナク氏を支持する100人目の下院議員だと表明。「中道派で安定して、責任ある財政を維持する政府が、内外で信用される指導力を示すべき時がきた」と述べた。
ジョンソン政権でブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)交渉を担当したデイヴィッド・フロスト上院議員も、スーナク氏支持を表明。下院議員ではないためフロスト氏自身は党首選の候補を推挙できないものの、ジョンソン氏の復権を認める前に保守党議員は「じっくり熟慮する必要がある」と呼びかけた。「昨年の混沌(こんとん)と混乱を繰り返すリスクを呼び込むのは、まったく正しくない」と強調し、党は「有能なリーダーのもとでまとまらなくてはならない」と述べた。
ジョンソン氏の首席補佐官だったスティーヴ・バークリー下院議員も、スーナク氏を党首として支持すると表明した。
ジョンソン政権の副首相だったドミニク・ラーブ下院議員も、スーナク氏を支持。「今夏のリシの計画が正しかったし、今も正しいと思う。安定をもたらし、国中の何百万の勤労者や企業のために信用を実現するには、彼が最適の候補だと思う」と述べたほか、「もう後戻りはできない。パーティーゲート騒ぎの二の舞はもうあってはならない」と強調した。
ジョンソン氏については、ブレグジット推進派のジェイコブ・リース=モグ・ビジネス相や、アンマリー・トレヴェリヤン運輸相らが、ジョンソン氏を支持すると表明している。
ジョンソン政権の内相だったプリティ・パテル氏は、ジョンソン氏が保守党をまとめ、イギリスをいっそう強くできるし、より豊かな将来を実現できると述べた。
リース=モグ氏は23日朝、ジョンソン氏が立候補するのは確かだと述べ、現代の保守党にとってジョンソン氏ほど選挙に強い優れた人材はいないと強調した。

画像提供, Reuters
他方、2016年夏の党首選でテリーザ・メイ氏と争ったものの最後に撤退したアンドレア・レッドソム元ビジネス相は、モーダント氏を支持すると表明。モーダント氏は閣僚経験が豊富で「精力的なブレグジット派」だとした。
夏の党首選では、トラス氏とスーナク氏に次いで3位だったモーダント氏は、今回の出馬を正式表明するにあたり、仲間の議員からの応援を得たとして、「この国をまとめ、公約を実現し、次の(総選挙に)勝つ」と約束した。
モーダント氏は英紙デイリー・テレグラフに対して、「どうやって公約を実現するのか、詳細な計画を持っていなくてはならない。それは国に対しての責務だ。何が問題かわかっていると国民に言うだけでは足りない。私たちなら国民を支えられると、国民が実感できるかどうかで、私たちの成功は測られるべきだ。私は保守党のすべてと国中の才能を活用し、これを実現する」と話した。
モーダント氏を支持する保守党のボブ・シーリー議員は、「我々(保守党)はまとまって国に謝罪する責任があると思う」として、党を「まとめて指導力を発揮する」にはモーダント氏が最適だと話した。











