スーナク氏が党首選の先頭に、ジョンソン氏も必要な推薦獲得と陣営 英首相選び

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イギリスでリズ・トラス首相の辞意表明を受けて、与党・保守党の党首選び、つまり次期首相選びが本格化している。リシ・スーナク元財務相はすでに、党首選出馬に必要な保守党議員100人以上の推薦を集めた様子。
今年夏の党首選で決選投票までトラス氏と争ったスーナク氏について、スーナク氏の選対関係者によると、今回の党首選の候補になるために必要な下院議員100人の推薦が集まっているという。BBCの集計では、スーナク氏はすでに114人の支持を得ている。
BBCのクリス・メイソン政治編集長によると、ジョンソン氏も22日午後の時点で出馬に必要な100人の推薦を集めたと、ジョンソン氏の選対担当は話している。他方、BBCの集計では、公にジョンソン氏支持を表明している保守党の下院議員は50人。カリブ海のドミニカ共和国で家族と休暇中だったジョンソン氏は、急きょ帰国し、22日午前にロンドンに到着した。
夏の党首選で3位になったペニー・モーダント下院院内総務は21日、先頭を切って出馬の意向を正式表明した。これまでに保守党議員22人の支持を得ている。
スーナク氏とジョンソン氏は、まだ正式には出馬を表明していない。
定数650議席の英下院で、保守党の議員は現在357人。
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党首選の候補になるには24日午後2時(日本時間同10時)までに、保守党下院議員100人の推薦を得なくてはならない。3人がこのラインに達した場合、議員たちは同日中に投票し、得票の最も少ない1人が脱落することになる。
残った2人について下院議員たちが「参考」投票を行ったのち、全国の保守党員がオンラインで投票し、28日に新しい党首を決める。下院で保守党は安定多数を得ているため、新党首が自動的に新首相になる。

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ジョンソン氏は相次ぐ不祥事をめぐり、スーナク財務相(当時)をはじめとする政府要人が一斉辞任したのを受けて、今年7月に党首を辞任したばかり。ジョンソン氏辞任を受けた党首選でトラス氏が勝利し、9月6日に首相に就任したものの、経済政策に伴う混乱から史上最短の在任45日目で辞意を発表した。
ジョンソン氏については、新型コロナウイルス対策に違反して首相官邸でパーティーがたびたび開かれたことについて、下院に事実と異なる報告をしたのかどうか、議会の調査が続いている。


スーナク氏とジョンソン氏
スーナク氏もジョンソン氏もまだ正式には出馬を表明していないが、支持者たちは次々と応援を表明している。
ジョンソン氏を支持するジェイムズ・ダドリッジ貿易担当閣外相はBBCに対して、「(ジョンソン氏は)帰国するし、やる気だ」と話した。ダドリッジ氏は前首相には「勢いと支持」があるとして、「総選挙で勝利した(首相経験者は)彼だけだ。ロンドンで、そしてブレグジットについて、確かな結果を出してきたし、保守党が現在得ている信任を得たのは彼のおかげだ」と述べた。
ダドリッジ氏は英PA通信に、ジョンソン氏からのメッセージだという内容を読み上げた。それによると、「飛行機で戻るよ、ダダース。みんなでやってやろう。僕はその気だ」とジョンソン氏は書き送ってきたという。
このほか、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)推進派のジェイコブ・リース=モグ・ビジネス相や、アンマリー・トレヴェリヤン運輸相、ジョンソン政権の内相だったプリティ・パテル氏らが、ジョンソン氏を支持すると表明している。
ベン・ウォレス国防相は、ジョンソン氏支持に「傾いている」という。
他方、保守党重鎮の間では、閣僚ら政府要人の大量辞任によって政権を追われて間もないジョンソン氏が、このような形で党首と首相の座に復活するようなことになれば、保守党の自滅につながると危ぶむ声も出ている。元外相のウィリアム・ヘイグ卿は、党が「死のスパイラル」に陥ると警告している。


スーナク氏については、複数の主要閣僚経験者が支持を表明。財務相と保健相を経験したサジド・ジャヴィド氏をはじめ、トム・トゥーゲンダート安全保障担当閣外相、マット・ハンコック元保健相などが、スーナク氏を支持している。
ジャヴィド氏は、「リシ・スーナクなら今の難局に取り組める。それは十分に明白だ。党を率いて国を前進させるには、彼が適している」と述べた。
トバイアス・エルウッド下院議員は、自分がスーナク氏を支持する100人目の下院議員だと表明。「中道派で安定して、責任ある財政を維持する政府が、内外で信用される指導力を示すべき時がきた」と述べた。
ジョンソン政権でブレグジット交渉を担当したデイヴィッド・フロスト上院議員も、スーナク氏支持を表明。下院議員ではないためフロスト氏自身は党首選の候補を推挙できないものの、ジョンソン氏の復権を認める前に保守党議員は「じっくり熟慮する必要がある」と呼びかけた。「昨年の混沌(こんとん)と混乱を繰り返すリスクを呼び込むのは、まったく正しくない」と強調し、党は「有能なリーダーのもとでまとまらなくてはならない」と述べた。
ジョンソン氏の首席補佐官だったスティーヴ・バークリー下院議員も、スーナク氏を党首として支持すると表明した。
ジョンソン政権の副首相だったドミニク・ラーブ下院議員も、スーナク氏を支持。「今夏のリシの計画が正しかったし、今も正しいと思う。安定をもたらし、国中の何百万の勤労者や企業のために信用を実現するには、彼が最適の候補だと思う」と述べたほか、「生活費対策だろうが犯罪対策だろうが教育だろうが国民健康サービス(NHS)だろうが、ひたすらイギリスの人たちのために結果を出す、あらゆる才能を集めた政府実現のため、党をひとつにまとめる」には、スーナク氏が正しい候補だとも話した。
モーダント氏は正式表明

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夏の党首選では、トラス氏とスーナク氏に次いで3位だったモーダント氏は、今回の出馬を正式表明するにあたり、仲間の議員からの応援を得たとして、「この国をまとめ、公約を実現し、次の(総選挙に)勝つ」と約束した。
モーダント氏は英紙デイリー・テレグラフに対して、「どうやって公約を実現するのか、詳細な計画を持っていなくてはならない。それは国に対しての責務だ。何が問題かわかっていると国民に言うだけでは足りない。私たちなら国民を支えられると、国民が実感できるかどうかで、私たちの成功は測られるべきだ。私は保守党のすべてと国中の才能を活用し、これを実現する」と話した。
モーダント氏を支持する保守党のボブ・シーリー議員は、「我々(保守党)はまとまって国に謝罪する責任があると思う」として、党を「まとめて指導力を発揮する」にはモーダント氏が最適だと話した。










