イギリスの次の首相は誰に? BBC政治編集長が解説
クリス・メイソン BBC政治編集長

画像提供, Reuters
いったいぜんたい誰が、今から10日もしないうちにこの国の次の首相になるのか。
またしても、新しい首相だ。
またたく間に。
国民がこれっぽっちも何ひとつ言う機会のないまま。
ちなみにこれは議会制民主主義ではまったく憲法にのっとった適正な手続きだ。
議会下院の多数党の党首が、総理大臣になるのだ。
そしてリズ・トラス氏が、本人が願ったよりも早く発見したように、党内の大多数の支持が得られなくなったら、首相はおしまいだ。
しかし、たとえ憲法に沿った適正手続きだとしても、政治的に厄介なことは厄介なのだ。
誰が次の首相になるにしても、総選挙をやるよう求める野党の声高な要求に直面することになる。ただし、とある約1名が勝った場合は、野党のその要求もさほど響かないかもしれない。
そしてそう、今のイギリス政界では、おなじみの疑問がひっきりなしにとりざたされている。
「ボリス・ジョンソンは何を、どうやって、するつもりか」
ほんの数週間前に自分の政党によって失脚させられた男が、驚異的なカムバックを果たすなど、あり得るのだろうか。
しかし、驚異的なことをありえないと決めつけてはならないというのが、この数週間で得た教訓だ。
保守党の議員や党員やイギリス全体は、こんなにたちまち彼を許すのか。
ジョンソン氏は、トラス政権下で支持率が急落した保守党を自分こそが救えると主張するかもしれない。前回の総選挙では自分が保守党を圧勝へと導いたのだから、自分は有権者の信任を得ているとも言うかもしれない。
新首相の候補にはリシ・スーナク元財務相もいる。
9月の党首選で2位になった候補が10月には総理大臣になるなど、めったにないことだ。しかし、忘れないで。ありきたりの展開など今では流行遅れなのだ。
前回の党首選に次点で敗れたスーナク氏は、経済政策については主張が正しかったことを証明され、溜飲が下ったかもしれない。彼は今年の夏中ずっと、トラス氏の計画では悲惨なことになると警告し続けていた。
スーナク氏はすぐには出馬を宣言しないだろうが、候補にならないままだとしたら意外だ。
続いて、ペニー・モーダント下院院内総務がいる。
夏の党首選では多くの支持を集め、大勢を驚かせた。結果は3位だった。
ほかにも、スエラ・ブラヴァマン前内相などの名前も挙がっている。
こうしてあちこちで、あらゆる懐柔と電話のかけまくりとスプレッドシートへの記入しまくりが始まった。
まずは身内で、ビジョンの提示と約束が飛び交い、それが後に公表される。
保守党の人気コンテストは加速している。そこで保守党にとっての新しいビジョンが、これから次々と示されるわけだ。
リズ・トラス首相は歴史を作った。悪い意味で。
イギリスの政治史で最速の、最も効率的で屈辱的な辞任に伴い、この国はまたしても政府がゾンビと化し、総理大臣は次の首相が決まるまでの留守役に過ぎない。
トラス首相は後任に、党の大混乱、物価と金利の急騰、緊縮予算を託すことになった。
とんでもない負の遺産だが、それでも絶好の機会には違いない。
なので、レースは始まった。またしても。










