トラス英首相、「次の総選挙へ党を率いる」 BBCインタビュー
クリス・メイソン政治編集長、ポール・セドン政治記者、BBCニュース
経済政策を相次ぎUターンさせ、指導力への信頼が低下しているイギリスのリズ・トラス首相が17日、BBCのインタビューに応じ、次の総選挙へ向けて保守党の党首を続けると強調した。
トラス氏は、自らが打ち出した減税策が内外で批判されたのを受け、財務相をクワジ・クワーテング氏からジェレミー・ハント氏に交代させた。ハント新財務相は、混乱した市場を安定させるため、減税策のほとんどを撤回した。
BBCのクリス・メイソン記者のインタビューでトラス氏は、「間違いについて申し訳なく思う」と謝罪した。
また、首相就任からの1カ月は「完璧ではなかった」が、犯した間違いは「正した」と付け加えた。
そして、軌道修正しなかったならば、それは「無責任」だと述べた。
「別の方法で実現させる」
トラス氏は、イギリスの経済成長を促進させるため努力を続けていると説明。ただ、実現には長い時間がかかるとした。
その上で、「私のビジョンに変わりはないが、結果を出すためには別の方法が必要になる」と述べた。
トラス政権が先月発表した「ミニ・バジェット」(小さな予算)で打ち出した減税策をめぐっては、ハント氏が17日、ほぼすべてを撤回すると発表した。
この決定を投資家らは歓迎した。だが、トラス氏の経済政策は、首相就任からわずか数週間でぼろぼろになった。
トラス氏はまた、「あまりにたくさん、あまりに速く」政策を進めようとしたとし、その責任は自分にあるとした。
トラス政権は、通常の予算発表の際には必ず事前の行われる予算責任局(OBR)の評価を経ないまま、今回の減税策を発表していた。
首相はその上で、「低税率、高成長の経済」を目指すことに変わりはないと主張。だが、経済の安定を保つことが「優先事項」だとし、次のように述べた。
「『はい、確かに私は間違えました』と言えるのは、正直な政治家のしるしだと思う。私は自分の間違いを正した。そして今、私たちは国民のために結果を出さなくてはならない」
「国益のために私が取ったような行動をしなかったとしたら、まったく無責任だっただろう」
「謝罪しても変わらない」と野党
野党・労働党のジェイムズ・マリー影の財務相は、首相が「何週間も他人のせいにしてきた後に」謝罪しても、ミニ・バジェットがもたらした「損害を元に戻す」ことにはならないと批判。
「この危機がダウニング街(首相官邸)で作られ、その代償を労働者が払っているという事実は、どう謝罪しても変わらない」と付け加えた。

画像提供, Jessica Taylor/UK Parliament
トラス氏のインタビューに先立ち、議会下院ではハント財務相が、先月クワーテング氏が打ち出した経済戦略をなぜ中止するのか議員たちに説明。その様子を首相は、見守っていた。
ハント氏は、今月31日にイギリスの債務負担を軽減するための計画の詳細を説明する声明を出す前に、税金と支出に関して「非常に厳しい決定」をしなくてはならないと警告した。
同氏はまた、トラス氏が党首選で繰り返し非難したエネルギー企業への一時的な課税や、年金の「トリプル・ロック」に対する変更も排除しないとした。トリプル・ロックとは、年金支給額の伸び率をインフレ率、賃金上昇率、もしくは2.5%の3つの指標のうち、最も高いものとするもの。
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労働党はトラス氏に対し、ハント氏が声明を出す前に、経済策のUターンについて自ら説明するよう求めた。しかし、トラス氏はこの要求を拒否。保守党のペニー・モーダント下院院内総務は、「緊急の仕事で拘束されていた」ためだと述べた。
労働党のキア・スターマー党首は、トラス氏が政府に「完全な空白」を作り出したと非難。別の同党議員は、トラス氏が「机の下で身を縮めていた」と批判した。
ミニ・バジェットで打ち出された減税策450億ポンド分のうち、これまでに計320億ポンド分が撤回されている。その中には、所得税の基本税率を4月以降、1ポンド当たり20ペンスから19ペンスに引き下げる計画も含まれている。
配当税の軽減や、外国人観光客の付加価値税(VAT)なしでの買い物、酒税の凍結などの計画も撤回された。

首相の座が揺らぐ
トラス氏が繰り返し主張してきたエネルギー支援策も、6カ月後には縮小される予定となった。
こうした方針転換を受け、保守党の一部では内々に、トラス氏を退陣させる方法が話し合われている。同党の規則では、新たな党首が就任して1年間は、正式に辞任を求めることはできないとされているにもかかわらずだ。
検討中だとされる戦術には、党規則の変更を党有力者らに迫るために、不信任状を出すというものがある。また、党員による投票を省いて、国会議員だけで新たな党首を選出できるようにルールを変更するというものもある。
しかし、トラス氏を辞任に追い込んだ場合に、誰が後を継ぐべきかについては、ほとんど合意が形成されていない。
保守党議員の5人は、公にトラス氏の辞任を求めている。他の同党議員らも、トラス氏の任期は終わったとの考えを記者らに語っている。
トラス氏は、政権をしっかり握っていることを党内で示そうと、閣僚や無役の議員らと会合を開いている。
また、党の規則を決める委員会のグレアム・ブレディ委員長とも会った。
同委員会の会計責任者は、規則の変更は可能だとしたが、党議員の「おそらく60~70%」が支持する必要があるとの見方を示した。











