英官邸パーティー疑惑で高官辞任 罰金対象は今後も拡大か

画像提供, House of Lords
イギリスの首相官邸などの政府機関で新型コロナウイルス対策のロックダウン中に数々のパーティーが開催されていた問題に絡み、政府高官が辞任した。法務次官を務めるデイヴィッド・ウルフソン卿は13日、「繰り返される違法行為」への「政府の対応」を批判するとして、辞表を提出した。
この問題を捜査している警察は12日、閣議室でのCOVID-19対策に違反した集まりに参加したとして、ボリス・ジョンソン首相とリシ・スーナク財務相に罰金を科した。
野党側は首相と財務相の辞任を求めているが、大半の閣僚や与党・保守党議員は2人を支持しており、ジョンソン氏とスーナク氏も職務を継続する意向を示している。
「法律家としての義務感」
弁護士でもあるウルフソン卿は2020年12月から法務次官を務め、人権と憲法を担当していた。
辞表の中でウルフソン卿は、政府がおかした新型ウイルス対策違反の「規模や文脈、性質」は、法の支配の原則と一致しないと述べた。
その上で、「政府の一員としての、そして法律家としての責任感」から、辞任以外の「選択肢はなかった」と説明した。
「これは首相官邸で何が起こったかや、首相の振る舞いの問題ではない。起こったことへの政府としての対応の問題という側面の方が大きいのかもしれない」
ジョンソン首相は、ウルフソン卿の辞任を「残念に思う」と述べ、その功績をたたえた。
ドミニク・ラーブ法務相は、ウルフソン卿は「世界クラスの弁護士」であり、政府を去ることは「本当に残念だ」と述べた。
一方、最大野党・労働党のスティーヴ・リード影の法務相は、ウルフソン卿は「規範を示した」とツイート。ウルフソン卿の上司に当たるラーブ法務相について、「法を守るべき立場にあるのに、違法行為を見逃している」と指摘した。
主要閣僚らは首相を支持
ラーブ氏は、罰金を課されたジョンソン首相とスーナク財務相を擁護する姿勢を示している。
閣僚ではこのほか、グラント・シャップス運輸相も首相と財務相を支持している。
BBCのテレビ番組に出演したシャップス氏は、「(パーティーへの参加は)間違っていた。首相は謝罪し、責任を認めた」と述べた一方で、「そこに悪意や意図はなかった」と擁護した。
イギリスで首相がその職を失うのは、議会で不信任決議案が可決された場合か、与党内での党首選で敗北した場合に限られる。しかし、ロシアのウクライナ侵攻や国内の物価危機などから、現段階でジョンソン首相を排除する動きが起こる可能性は低いと考えられている。
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ジョンソン政権は昨年末以降、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。「ウォーターゲート」事件をもじって「パーティーゲート」と呼ばれている。
ジョンソン氏は当初、「ガイドラインは常に守られていた」と主張。スーナク氏も「どんなパーティーにも参加していない」と発言していた。
一連の疑惑をめぐっては今年1月、グレイ第二事務次官が2020年5月から2021年4月までを対象とした調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘した。
また、グレイ第二事務次官からの情報提供を受け、ロンドン警視庁が16件中12件について捜査を開始している。
ジョンソン首相は、警察による報告書が完成次第、グレイ氏の報告書の最新版を発表する予定だと述べている。
首相にさらなる罰金も
BBCの取材では、警察はこれまでに以下の3つの集まりの参加者に、50件以上の「罰金通告(FPN)」を出している。うち2件は公式に発表されており、最後の1件は関係筋からの情報によるものだ。
- 2020年6月19日:閣議室で行われたジョンソン首相の誕生日を祝う集まり
- 2020年6月18日:職員の送別会。内閣府の前倫理局長であるヘレン・マクナマラ氏が、この件で罰金を科されたと認めている
- 2021年4月16日:当時の首相報道官ジェイムズ・スラック氏のための送別会。関係筋によると、警察は罰金通知書を電子メールで発行している
ジョンソン首相と妻のキャリー氏、スーナク財務相は、首相の誕生日パーティーに参加したかどで50ポンド(約8000円)の罰金を支払った。この当時、屋内での2人以上の集まりが法律で禁止されていた。
一方、警察が捜査している残りの9件のうち、ジョンソン氏が参加していたことが分かっているのは少なくとも2件。BBCのデイヴィッド・ロックハート政治担当編集委員は、ジョンソン氏がさらに罰金を科される可能性は高まっていると報じた。
また、ロックハート編集委員が取材した首相官邸関係者によると、今回ジョンソン氏が罰金を支払った誕生日の集まりは、捜査対象となっているパーティーの中でも最も深刻さの低いものだという。
警察は罰金を科した人物の身元は明かさないが、首相官邸は今回のように、ジョンソン氏が罰金の対象となった場合には発表するとしている。











