英警察、首相と財務相に罰金 官邸パーティー問題

Boris Johnson and Rishi Sunak

画像提供, No 10

画像説明, ボリス・ジョンソン首相(左)とリシ・スーナク財務相

イギリスの警察は12日、新型コロナウイルス対策のロックダウン中に首相官邸などの政府機関で数々のパーティーが開催されていた問題に絡み、ボリス・ジョンソン首相とリシ・スーナク財務相に罰金を科すと発表した。ジョンソン氏は違法行為で処罰される同国初の現職首相となった。

罰金の対象となったのは、2020年6月にジョンソン首相の誕生日を祝うために首相官邸で開かれた集まり。ジョンソン氏の妻のキャリー氏も参加しており、やはり罰金を科された。

3人はこの件について謝罪したが、ジョンソン氏とスーナク氏は辞任を求める声には応じなかった。

ジョンソン氏は、「イギリス国民の優先事項を実現する責務をさらに重く感じた」と発言。スーナク氏も、「国民のための政策実現に注力していきたい」と語った。

しかし、COVID-19で亡くなった人の遺族は、「首相も財務相も職務を続けていいわけがない」と述べ、パンデミックの制限を破ってパーティーを行ったことは「本当に恥知らず」だと批判した。

野党側は、ジョンソン氏とスーナク氏が首相官邸での集まりへの参加について国民にうそをついていたと非難。最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首や、スコットランドのニコラ・スタージョン第一首相、ウェールズのマーク・ドレイクフォード第一首相は2人に辞任を要求した。

スタージョン氏率いるスコットランド国民党(SNP)や野党・自由民主党は、下院のイースター休暇を切り上げ、首相と財務相への質疑を行うよう議会に求めている。

一方、リズ・トラス外相をはじめとする閣僚は、ジョンソン氏とスーナク氏を擁護している。

<関連記事>

ジョンソン政権は昨年末以降、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。「ウォーターゲート」事件をもじって「パーティーゲート」と呼ばれている。

ジョンソン氏は当初、「ガイドラインは常に守られていた」と主張。スーナク氏も「どんなパーティーにも参加していない」と発言していた。

一連の疑惑をめぐっては今年1月、グレイ第二事務次官が2020年5月から2021年4月までを対象とした調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘した。

また、グレイ第二事務次官からの情報提供を受け、ロンドン警視庁が16件中12件について捜査を開始している。

ジョンソン首相は、警察による報告書が完成次第、グレイ氏の報告書の最新版を発表する予定だと述べている。

「10分以内だった」と弁明

ジョンソン氏は12日、「私に対して多くの人がより良いふるまいを求める権利があることを心から認める」と述べた。

一方で、罰金の対象となった集まりについては、「短いもの」で、「10分以内に終わった」と主張した。

「率直に言えば、当時はこの集まりがルール違反になるとは思っていもいなかった」

「しかしもちろん、警察はそのようには結論付けなかったし、私は捜査結果を全面的に尊重する」

スーナク財務相は声明を発表し、「政府に属する者として、世間の信頼を維持するにはルールを厳しく守る必要があることは理解している。今回の判断を尊重し、罰金を支払う」と述べた。

野党からは辞任を求める声

しかし、首相と財務相の「全面的な」謝罪では、批判の声は収まらなかったようだ。

労働党のアンジェラ・レイナー副党首は、「ルールを作ったのはあなたたちだ。自分たちの法律を破ったのなら辞任しなさい」とツイートした。

SNPのイアン・ブラックフォード議員は、保守党の2人が「ルールを一心に守った200万人を侮辱した」と批判した。

自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首は、「これは、危機にある国を軽視する危機的な政府だ」と述べた。

プライド・カムリ(ウェールズ党)のリズ・サヴィル=ロバーツ議員は、ジョンソン氏とスーナク氏は「自分たちは特別だという傲慢(ごうまん)さがあり、特権を信じているようだ」と指摘。「少しでも道義心があるなら辞任するはずだ」と話した。

緑の党のエイドリアン・ラムゼイ共同党首は、首相と財務相は「この国をパンデミック下で安全にするための法律を破ったのだから、辞任するべきだ」と語った。

「解任」のタイミングではない

一方、以前はジョンソン首相の辞任を求めていた保守党のサー・ロジャー・ゲイル議員は、首相が「下院で実質的にうそをついていたことは深刻な状況」だと述べたが、ロシアのウクライナ侵攻が続く現在は「解任」のタイミングではないとの考えを示した。

保守党元党首のイアン・ダンカン・スミス議員も、閣僚の違法行為発覚は「驚くべきことで、怒りを覚える」が、「この国はウクライナでの戦争と物価危機という2つの災難に見舞われている」と指摘。

「これらの問題の規模や緊急性はリーダーシップの評価につながる。(中略)だからこそ、イギリスの首脳は職務継続を許されるべきだ」と語った。

テリーザ・コフィー労働・年金相は、「首相と財務相には、選挙で国民から負託された仕事を続けてもらうことがイギリスには重要だ」と述べた。