英官邸、ジョンソン首相の指導力健在と 側近辞任相次ぎ不信任の与党議員増える

画像提供, No 10 Downing Street
首相側近の辞任が相次ぐ英首相官邸で報道官は4日、ボリス・ジョンソン首相の指導力は健在だと述べた。一方で、与党・保守党に首相不信任の書状を提出する保守党下院議員の数が少しずつ増えている。
首相報道官によると、ジョンソン首相は4日、官邸スタッフを集めてミーティングを開き、ミュージカル「ライオンキング」から引用して「変化は良いこと」だと残るスタッフを励まそうとしたという。加えて、「首相官邸で働くのがいかに光栄なことか」に触れ、「官邸を去る人たちの貢献と、官邸のチーム全体の働き」に感謝したのだと報道官は話した。
官邸では3日から4日にかけて、側近5人が相次ぎ辞任したが、報道官はこれ以上の辞任は「今のところ」当面予想していないと述べた。
一方で、英紙デイリー・テレグラフによると、かつて学校担当閣外相を長年務めた保守党のニック・ギブ下院議員は、保守党内の「1922年委員会」に首相不信任の書簡を提出したという。同様の書簡が下院議員54人から集まると、党首選が実施される。
ギブ議員はテレグラフ紙に寄稿し、感染対策のため必要な厳しい制限を国民に課しつつ、「首相官邸内ではそのルールをはなはだしく無視」していたという「二重基準に、私の選挙区の有権者は激怒している」と書いた。また、ジョンソン首相の下院発言が「不正確」だったと批判した。
さらに、「本人が出席しなかったクリスマス・パーティーについて冗談を口にした、(当時の報道官)アレグラ・ストラットンの辞任を首相は受理した。しかし、自分が出席したパーティーについては、首相は責任をとらない」、「首相が真実を語ったとはとても考えられない」と議員は書いた。
これに先立ち、下院審議でロックダウン中のパーティーについて首相を批判した保守党のアーロン・ベル下院議員も、1922年委員会に首相不信任の書簡を提出し、ルール違反による「背信」と、その後の対応によって、首相の地位は「維持しがたい」ものになったと批判した。
これまでに十数人の下院議員が、不信任の書簡提出を公表している。提出を公表していない議員も複数いるとみられている。
相次ぐ側近の辞任
新型コロナウイルスの感染対策ルールに触れる形で、首相官邸で飲食を伴うパーティーが相次ぎ開かれていたとされる問題に加え、ジョンソン首相は31日の議会で、没後に数々の性犯罪が明るみに出たテレビ司会者ジミー・サヴィル氏を、野党・労働党党首のサー・キア・スターマーが検察庁長官時代に起訴しなかったと、証拠を示さずに発言した。
スターマー党首に関するこの根拠のないうわさは、右派系陰謀論としてオンラインに出回っているもの。検察庁は、スターマー党首は検察庁長官としてこの件を担当しておらず、2013年に再検討された際にも関わっていないと述べている。
このため、与野党から首相は発言を撤回し謝罪するべきだとの声が上がり、ジョンソン氏は3日までに、「(スターマー党首が)個人的にこうした決断をする立場になかったことはよくわかっている」と、語調をやわらげた。
しかし、ジョンソン氏の側近をロンドン市長時代から14年間務めたムニラ・ミルザ政策主任は3日、31日の当初の首相発言を「下品な中傷」だと厳しく批判し、辞任した。続いて、ジャック・ドイル広報部長、ダン・ローゼンフィールド首席補佐官、マーティン・レノルズ首席秘書官が辞任し、4日には教育政策顧問のエレナ・ナロザンスキ氏も辞任した。ナロザンスキ氏は、ミルザ氏と親しく、近い立場をとっていたとされている。
首相報道官は、ドイル、ローゼンフィールド、レノルズ各氏の辞任は「あらかじめ相談し、お互いに納得して」のことだったと説明。ただし、ミルザ氏とナロザンスキ氏の辞任は想定外だったという。
与野党内の反応は
保守党議員のヒュー・メリマン氏はBBCラジオに対して、首相は「しゃんとするか、さっさと(官邸を)出るか」どちらかだと話した。
一方で、レベルアップ・住宅・コミュニティー相のマイケル・ゴーヴ氏は、政府が混乱状態にあることを否定し、ジョンソン首相がこのまま留まることが「国にとって最善」だと述べた。
2016年の保守党党首選ではジョンソン氏が首相の職責にふさわしくないと発言したこともあるゴーヴ氏は、「首相は変化を求めていて、これから変化が始まると言っていた。まさにその変化が起きているわけだ」と述べた。
リシ・スーナク財務相は、スターマー党首に関する当初の首相発言について、「正直に言えば、自分だったらあの発言はしない」と述べた。ジョンソン首相が謝罪すべきかと問われると、「それを決めるのは首相自身だ」と距離を置いていた。
他方で、労働党のアリソン・マクガヴァン影の雇用担当相は、首相官邸の様子は「まったくの滑稽劇」に見えると述べ、「誰より辞任すべきはボリス・ジョンソンだが、最後にあそこから出ていくのも本人になるのだろう」と批判。「これだけ大勢が官邸を去っている様子は、とても信頼できるものとは言えない」とした。
BBCのジェシカ・パーカー政治担当編集委員は、保守党議員の話として、抗議辞任したミルザ政策主任の後任アンドリュー・グリフィス氏について、ジョンソン氏の議員秘書だっただけに、官邸に抜本的な変化は期待できないという見方を伝えた。「まるでボリスの古い仲間の代わりに、それより少し新しい仲間をもってくるだけのようだ」と、保守党議員の1人はパーカー記者に話したという。














