ジョンソン英首相の側近が相次ぎ辞任 圧力強まる

画像提供, PA Media
イギリスのボリス・ジョンソン首相の側近4人が3日にかけ、相次いで辞任した。ジョンソン首相に対してはこのところ、新型コロナウイルスのロックダウン中に官邸でパーティーが行われていた問題や、下院での発言などをめぐり、与野党双方から圧力が強まっている。さらに4日には教育政策顧問が辞任した。
パーティー疑惑をめぐっては先月31日、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官が調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘している。
また12の会合については、ロンドン警視庁が新型ウイルス対策のルール違反容疑で捜査を進めている。
最大野党・労働党のアンジェラ・レイナー副党首は、「側近や顧問が辞任する中、ついにジョンソン氏も鏡を見て、自分が問題なのかもしれないと考える時が来たのではないか」と辞任を求めた。
一方で、ジョンソン首相を支持する保守党議員からは、パーティー疑惑を受けて官邸の人事刷新が必要だとして、4人の辞任を歓迎する声もあがっている。
<関連記事>
辞任したのはムニラ・ミルザ政策主任、ジャック・ドイル広報部長、ダン・ローゼンフィールド首席補佐官、マーティン・レノルズ首席秘書官の4人。4日には、教育政策顧問のエレナ・ナロザンスキ氏も辞任した。
2日夜に辞任を発表したミルザ政策主任は、ジョンソン氏のロンドン市長時代を含め14年間にわたって同氏を補佐。最も信頼されている側近の1人とみられていた。
ミルザ氏は辞任の理由として、ジョンソン首相の1月31日の議会における、労働党のサー・キア・スターマー党首に関する発言をあげている。
ミルザ氏の辞任の直後には、ドイル広報部長が辞任を発表。「ここ数週間で家族の生活にひどい被害があった」と述べた一方、元々2年で辞めるつもりだったと話した。
ドイル氏は、タブロイド紙デイリー・メイルの記者を経て首相官邸入りしていた。2020年のクリスマスに官邸で開催されたパーティーにも出席していたと報じられている。
3人はパーティー疑惑に関与
財務省の公務員から首席補佐官となったローゼンフィールド氏は、3日午前に首相に辞意を伝えた。ただし、後任が決まるまでは職務を続けると、官邸の報道官は説明した。
公務員のレノルズ秘書官も引き継ぎを待っての退任となるが、その後は外務省での職務に戻るとしている。レノルズ氏は、2020年5月に官邸の庭で行われた「ソーシャルディスタンスを取った飲み会」について、官邸職員に招待メールを送っていた。
BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、ミルザ氏と他の3人の辞任は全く意味の異なるものだと指摘。3人はパーティー疑惑に直接関わり、ジョンソン首相の疑惑対応を補佐していたため、その代償を支払った形だと述べた。
一方で、10年以上にわたってジョンソン氏に忠実で、「ボリスのブレイン」とも称されていたミルザ氏の辞任は、大きく明確なメッセージを投げかけていると解説した。

画像提供, PA Media
サー・キアめぐる発言
ジョンソン首相は31日の議会で、没後に数々の性犯罪が明るみに出たテレビ司会者ジミー・サヴィル氏を、サー・キアが検察庁長官時代に起訴しなかったと、証拠を示さずに発言。与野党から発言を撤回し謝罪するべきだとの声が上がっていた。
イングランド南部のサリー警察は2009年、サヴィル氏に事情聴取を行なったが、検察庁は起訴するには証拠不十分だと結論付けた。サー・キアは当時の検察庁長官だった。
検察庁は、サー・キアはこの件を担当しておらず、2013年に再検討された際にも関わっていないと述べている。
ジョンソン氏は3日までに、この発言について「サー・キアの個人的な履歴」について話したわけではないと弁明。「彼が個人的にこうした決断をする立場になかったことはよくわかっている」と、語調をやわらげた。
一方で、ミルザ氏がこの発言を「不適切で党派的」だと述べたことには、「同意できない」と述べた。
この件についてはリシ・スーナク財務相が、「正直に言えば、自分はこういうことは言わない」と、首相から距離を取る発言をした。
ジョンソン首相は謝罪するべきかと質問されると、スーナク氏は、「それは首相が決めることだ」と答えた。
不信任表明の書簡
側近の相次ぐ辞任は、保守党内でジョンソン氏への不信任を問う動きが高まる中での出来事だった。
BBCの取材では、これまでに17人の保守党議員が、首相への不信任を表明する書簡を、保守党の党首選を実施する権限をもつ「1922年委員会」に提出したことが分かっている。その多くが、ロックダウン中にジョンソン首相が官邸での集まりに参加していたことを理由に挙げている。
また、先に書簡提出を明らかにした閣僚経験者のトバイアス・エルウッド議員は、サー・キアをめぐる発言が不信任を表明する書簡を提出する理由の一つになったと述べた。
書簡が54人分集まると党内で不信任投票が行われ、不信任案が可決されれば保守党の党首選が開かれる。
マルコム・リフキンド元外相はBBCニューズナイトに出演し、ジョンソン首相の政治的判断は「実に空虚なものになった」と批判。現在の状況は「始まりの終わりというよりは、終わりの始まり」のようだと語った。











