ジョンソン首相不信任、保守党議員がさらに表明 官邸パーティー疑惑

画像提供, Jessica Taylor/UK Parliament
イギリスの首相官邸で新型コロナウイルス対策のロックダウン中に複数のパーティーが開かれていた問題をめぐり、与党・保守党内からボリス・ジョンソン首相の辞任を求める声が一段と高まっている。
2日には、閣僚経験者のトバイアス・エルウッド議員を含む3人の議員が、首相への不信任を表明する書簡を、保守党の党首選を実施する権限をもつ「1922年委員会」に提出したと発表した。
BBCの取材では、これまでに17人の保守党議員が、同様の書簡を提出したとみられる。うち、提出を公表しているのは9人。正確な数は、1922年委員会のサー・グレアム・ブレイディー委員長だけが把握している。
書簡が54人分集まると党内で不信任投票が行われ、不信任案が可決されれば保守党の党首選が開かれる。
一方、ナディーン・ドリス文化相は、不信任を表明した議員らを批判し、「自己中心的な一部の議員が、この問題を自分ごとにしようとしている」と述べた。
「自己中心的で、(最大野党の)労働党の仕事をしていて、自分たちの選挙区のためになっているとは思えない行動だ」
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この問題をめぐっては1月31日、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官が調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とした。
一方で、12の会合については、ロンドン警視庁が新型ウイルス対策のルール違反容疑で捜査を進めていることを明らかにし、現在公表できる範囲は「極めて限定されている」と述べた。
与野党の議員は当初、報告書の全面開示を求めていた。
首相質疑で言明避ける
ジョンソン氏は2日の首相質疑で、2020年11月13日に首相公邸で開かれたパーティーに参加していたと報じられていることについて追及されたが、それが正確なのか言明しなかった。
このパーティーは、警察が捜査している12会合のうちの1つ。
スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード院内総務は、ジョンソン氏が昨年12月の議会でこのパーティーへの参加を否定し、事実と異なる説明をしたと主張。
ブラックフォード氏は、「自分がどこにいたのかを言うのに、彼は捜査を待つ必要などない」と述べた。
これに対しジョンソン氏は、手続きに従う必要があると答えた。
与党幹部からも非難
保守党の国防委員長を務めるエルウッド議員は、ジョンソン首相に「本題に入り、自身のための信任投票を求めるべきだ」と要求。保守党は「非常に暗い場所へと下降してしまっている」と述べた。
エルウッド氏はBBCのインタビューで、ジョンソン氏が下院でグレイ氏の報告内容について十分な「後悔の念」を示さなかったばかりか、約束した改革についてもすでに十分な時間があったはずなのに実現できていないと非難した。
ボリス・ジョンソン首相は31日の下院で、質問と批判を浴びる中、「平たく言って私たちがきちんと対応できなかった事柄について、申し訳なく思う。この問題への対応についても申し訳なく思う」と話し、官邸の仕事のやり方を改革すると約束した。
与党・保守党の多くの議員は、ジョンソン氏に辞任を求めるかどうか、報告書の内容で判断するとしている。
保守党3人が不信任を表明
2日の首相質疑の後には、アンソニー・マンナール議員やサー・ギャリー・ストリーター議員も、不信任を表明する書簡を提出したことを明らかにした。
ある閣僚経験者も、書簡の提出を決めたとBBCに話した。ただし、ジョンソン氏が投票で負けることが確実になるまで待つと述べている。
保守党の党則では、首相への不信任決議が可決されなかった場合、次の不信任投票を実施するには最短で1年待たなくてはならない。
労働党党首への発言でも紛糾
ジョンソン首相は31日の議会で、労働党のサー・キア・スターマー党首が検察庁長官時代、没後に数々の性犯罪が明るみに出たテレビ司会者ジミー・サヴィル氏を起訴しなかったと発言。与野党から発言を撤回するべきだとの声が上がっている。
エルウッド議員は、この発言が不信任を表明する書簡を提出する理由の一つになったと述べた。ベテランのサー・ボブ・ニール議員も、「根拠がなく無価値な」発言だとして、撤回を首相に求めている。
サー・キアは、ジョンソン氏の発言は「とんでもない中傷」だと述べ、2日の首相質疑で自ら追及した。
「彼らはウィンストン・チャーチルの党だ。我々の党は、欧州のファシズム(全体主義)を打倒するために共に立ち上がった」
「そして今、彼らの党首は下院で、つまらない点数稼ぎのために、暴力的な全体主義者の陰謀論をオウムのように繰り返している。自分が何をしているか分かってやっている。今こそ品位を取り戻す時だ」
イングランド南部のサリー警察は2009年、サヴィル氏に事情聴取を行なったが、検察庁は起訴するには証拠不十分だと結論付けた。サー・キアは当時の検察庁長官だった。
検察庁は、サー・キアはこの件の審査を担当しておらず、2013年に再検討された際にも関わっていないと述べている。

<解説>イアン・ワトソン政治担当編集委員
ジョンソン首相の辞任を公に求めている保守党議員は十人前後。その他の大勢がひそかに不信任を表明する書簡を提出したと述べているものの、投票に必要な54通には全く足りていない。
現時点では、首相を罷免させる動きはほとんど協調性なく行われている。
ジョンソン氏を以前から批判してきたある人物は、2日に提出された3通の書簡は、批判の「波」のように思えるが、首相を追い出すにはもっと強い力が必要だと語った。
その上で、今後48時間で手続きをどううまく進めていくかの議論が行われるという。
首相に反旗を翻すかもしれない閣僚や閣僚経験者らは、グレイ氏の報告書の全体が発表されるか、5月の地方選が終わった後に動きたいと思っているだろう。選挙結果が悪かったり、報告書によって素行の悪さが浮き彫りになれば、不信任決議が可決される可能性が高まるからだ。
不信任投票を行うには54人必要だが、不信任決議の可決には180人が賛成しなければならない。
一部の議員は、イデオロギーではなく、党や自分自身の評判を守るために不信任を表明している。ジョンソン氏はなお微妙な立場に置かれている。













