ロシア軍が放射性物質略奪か、キーウ州では1200人超の遺体

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ウクライナ当局は10日、同国に侵攻したロシア軍が一時占拠したチョルノービリ原子力発電所の研究所から放射性物質を盗み出したと明らかにした。一方、首都キーウ周辺ではこれまでに1200人超の遺体が見つかっており、当局は戦争犯罪について調査していると述べた。こうした中、オーストリアのカール・ネハンマー首相は11日にロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談する。
チョルノービリ原発周辺の立ち入り禁止区域の管理当局はフェイスブックで、ロシア部隊がエコセンター研究基地の保管エリアに侵入し、133個の高レベルの放射性物質を盗んだと発表した。
「この放射性物質はたとえ少量でも、素人が扱えば人を死に至らしめることになる」とし、「盗まれた放射性物質の所在は現時点でわかっていない」と付け加えた。
BBCはこの主張を独自に確認できていない。
ウクライナのヘルマン・ハルシチェンコ・エネルギー相は先に、ロシア兵が「衝撃的な」量の放射線にさらされ、中には余命1年未満となる兵士がいるかもしれないと述べていた。
ハルシチェンコ氏は8日、立ち入り禁止区域訪問後に、「彼ら(ロシア兵)は放射能に汚染された土を掘り、放射能に汚染された砂を袋に入れ、そのほこりを吸い込んだ」とフェイスブックに投稿した。
原発職員、3週間ぶりに交代
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は10日、チョルノービリ原発で3週間ぶりに職員の交代が行われたと、ウクライナ当局に伝えた。
1986年に世界最悪の原発事故が起きたチョルノービリ原発は、ウクライナ侵攻が始まった2月24日にロシア軍に占拠された。ウクライナ人警備員約170人が地下に監禁されるなどしたが、ロシア軍は3月末に撤退した。現在はウクライナの管理下にある。
原発作業員はBBCに対し、仮設の宿舎で寝泊まりし、ロシアの燃料を盗むなどして発電機を稼働させ続けて原発の安全性を保とうとしたと語った。
グロッシ事務局長によると、IAEAは間もなくチョルノービリ原発に職員を派遣し、放射線量の評価を行う方針という。
IAEAは10日、原発敷地内の放射線モニタリング研究所の被害についてさらなる情報を得たと明らかにした。敷地内が「破壊されたほか、分析機器が盗まれ、壊され、あるいは使用不能な状態」になったとした。
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オーストリア首相、プーチン大統領と会談へ

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オーストリア政府は、ネハンマー首相が11日にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談する予定だと明らかにした。侵攻開始以来、欧州連合(EU)加盟国首脳がプーチン氏と直接面会するのは初めて。
ネハンマー氏のスポークスマンは、ウクライナとロシアの対話を促すためにネハンマー氏が「現地(ロシア)へ向かう。ドイツ政府、EU、そしてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領には通知済み」だと述べた。
また、戦争犯罪の問題についても言及する方針という。
ネハンマー氏は9日にウクライナ・キーウを訪れ、ゼレンスキー氏と会談している。
キーウ州で1200人超の遺体
ウクライナのイリーナ・ウェネディクトワ検事総長は、ロシア軍が撤退したキーウ州各地で、これまでに1222人の遺体が見つかったと明らかにした。
ウェネディクトワ氏は英スカイニュースに対し、ウクライナ当局は侵攻開始以来、ロシア軍による戦争犯罪の疑いがある5600件の事案を調査しており、ロシアの軍や政府の高官を含む500人以上の戦争犯罪容疑者を特定したと語った。
「我々がウクライナのすべての地域で目にしているのは戦争犯罪であり、人道に対する罪だ。我々はそれを解決するためにあらゆる手だてを尽くす」

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鉄道駅攻撃の死者、57人に
ウェネディクトワ氏はまた、東部ドネツク州クラマトルスクで8日朝に起きた、鉄道駅へのロケット弾攻撃について、ウクライナ側には、比較的安全な西部に向かうための列車を待っていた避難民50人以上が死亡したことを示す証拠があると付け加えた。
ロシア側は攻撃への関与を否定。攻撃に使われたミサイル「トーチカU」を使用しているのはウクライナ軍だと主張している。民間人を標的とした攻撃も行っていないとしている。

こうした中、ドネツク州のパウロ・キリレンコ知事は10日、鉄道駅への攻撃で確認された死者が7人増え、57人に上ったと発表した。また、109人が負傷したとした。
「軽傷者は退院して帰宅し、重症者は安全な地域に搬送されて必要な援助を受けている」
(英語記事 Live Page)











