ジョンソン英首相、キーウ電撃訪問 ゼレンスキー大統領に装甲車など追加支援約束
ウクライナの首都キーウを9日に電撃訪問したイギリスのボリス・ジョンソン首相は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、追加支援を約束した。ジョンソン首相のウクライナ訪問について英首相官邸は、「連帯の表明」だと説明している。
首脳会談後に英首相官邸は、イギリスがウクライナに装甲車120台と対艦ミサイルシステムなどを供与すると発表した。
ゼレンスキー政権の複数の幹部は、対ロシア戦争でイギリスがウクライナを支援してきたことをたたえた。
ロシアによる軍事侵攻が始まって以来、主要7カ国(G7)の首脳がキーウを訪れるのは初めて。
ジョンソン首相に先立ち欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と欧州連合(EU)外交トップのジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表も8日にキーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談。オーストリアのカール・ネハンメル首相も9日にキーウで、ゼレンスキー氏と会談した。3月15日には、ポーランド、スロヴェニア、チェコの3首相がそろってキーウ入りした。
ジョンソン首相のキーウ訪問は事前に明らかにされていなかった。在ロンドンのウクライナ大使館が9日夜にこの写真を「Surprise」という言葉と共にツイートしたことで、ジョンソン氏がキーウにいることが明らかになった。
英首相官邸報道官はこの後、「首相はゼレンスキー大統領と直接対面するため、ウクライナを訪問し、ウクライナの人たちとの連帯を示した」と説明した。

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会談後の声明でジョンソン首相は、「ゼレンスキー大統領の断固たる指導力と、ウクライナ国民の不屈の英雄精神と勇気」をたたえ、「ウクライナは不利な状況に打ち勝ち、キーウの入り口からロシア軍を押し返した」と述べた。
「私は本日、今なお続くこの戦いでイギリスが揺ぎなくウクライナと共にあること、そして長期的に支援していくことを明示した」として、首相は「イギリスとしての軍事・経済支援を強化するとともに、この悲劇を終わらせるための、ウクライナが自由な主権国家として存続し繁栄できるよう、世界的な同盟関係を構築している」と話した。
ジョンソン首相はさらに、経済支援の追加も表明。イギリスによるウクライナの債務保証は7億7000万ポンド(約1246億円)に達する。
さらにこの声明から間もなく、ゼレンスキー大統領と並んで撮影した動画で、ジョンソン首相は「(ウクライナ国民が)獅子のごとき勇気を示した時、ウォロディミル、あなたはその獅子に声を与え、咆哮(ほうこう)を響き渡らせました」と称賛した。
ジョンソン氏はさらに、イギリスをはじめウクライナを支援する各国は、ロシア産の石油・天然ガスの使用を取りやめていくことも含め、引き続きロシア政府への経済制裁を強化していくと述べた。
加えて首相は、「この数時間で私は皆さんの美しい国をかなり見ることができました。素晴らしい国です。同時に、この許しがたい戦争、まったく許しがたく不必要なこの戦争によって、どのような悲劇が起きているかも目にしました」と話した。

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ゼレンスキー大統領はイギリスがウクライナを「きっぱりと、そして大事な形で支援」してくれたことを歓迎し、他の西側諸国も連帯してロシアへの圧力を強めてほしいと呼びかけた。
「制裁という形で圧力をかけ続けなくてはならない。ロシアのエネルギー供給を全面禁輸にすべき時だ。我々に提供する武器の数を増やすべきだ」と、大統領は促した。
ウクライナのアンドリイ・シビハ大統領府副長官はフェイスブックへの投稿で、「イギリスは、ウクライナ防衛支援の筆頭国だ。対戦連盟のリーダー。侵略国ロシアへの制裁におけるリーダーだ」と述べた。
英政府は8日、首相のキーウ訪問に先立って1億ポンド(約160億円)相当の武器供与を発表。ジョンソン氏は官邸での記者会見で、スターストリーク対空ミサイル・システムと対戦車ミサイル800基が、追加供与に含まれると説明していた。
ロシア軍が首都周辺から撤収した部隊をウクライナ東部に移動させ、本格的な大攻勢を開始すると予想される中、ウクライナ政府は西側に、武器の追加供与を呼びかけていた。

ロシアは非戦闘員を過剰に標的に=英国防省
こうした中、英国防省は9日、ウクライナの戦況について定例の分析を公表。それによると、「ウクライナ北部からロシアが離れたことに伴い、非戦闘員を過剰に標的にしていた証拠が残された。これには、複数の集団埋葬地の存在、人質を『人間の盾』として使い死亡させていること、民間インフラ施設に地雷を敷設したことなどが含まれる」という。
国防省はさらに、「ロシア軍は引き続き、多くを死傷させ、士気を低下させ、ウクライナ人の行動の自由を制限するため、即席爆発装置を使用している。ロシア軍はこのほか、民間人が巻き添えになり死傷する危険の高いインフラ施設への攻撃も継続している。これには、ウクライナ・ルビジュネにおける硝酸貯蔵タンクへの攻撃も含まれる」と指摘した。
ブチャの住民殺害は戦争犯罪=ドイツ首相
キーウ近郊ブチャからロシア軍が後退した後、各地の路上などで民間人の遺体が発見されたことについて、ドイツのオラフ・ショルツ首相は9日、「これは犯罪で、見逃すわけにはいかない。これは戦争犯罪で、まったく容認できない(中略)当事者は責任を問われなくてはならない」と強調した。
ショルツ首相は、ドイツはウクライナへ防衛用の武器供与を続ける方針を示した。
ブチャのタラス・シャプラウスキー副市長は、ロシア軍に殺害された民間人は360人を超え、そのうち260~280人が他の住民によって集団埋葬地に埋められたのだと話した。
ロシアはブチャの民間人殺害を否定し、ウクライナによる「恐ろしい捏造(ねつぞう)」だと反論している。
EUがキーウ代表部を再開
EUは9日、キーウの駐ウクライナ代表部を再開した。ロシアの軍事侵攻開始に伴い、一時的にポーランドへ移設していた。マッティ・マーシカス駐ウクライナEU大使は同日、キーウ代表部にEU旗を掲げた写真をツイッターに投稿し、「まず最初にやるべきことから」と書いた。
EUのボレル上級代表が8日にキーウを訪れた際に、再開を発表した。
ボレル上級代表はウクライナのデニス・シュミハリ首相と会談後、近く開かれる次のEU・ウクライナ連合理事会の開催準備を加速させることで合意したと話した。
イタリアのANSA通信によると、イタリアのルイージ・ディマイオ外相が9日、4月17日の復活祭を過ぎてただちにイタリアも在キーウ大使館を再開する方針を明らかにした。









