ウクライナ東部の駅に砲撃、避難民50人死亡 首都郊外では新たに130人超の遺体発見

ウクライナ東部ドネツク州クラマトルスクで8日朝、鉄道駅にロケット弾が撃ち込まれ、子どもや女性を含む少なくとも50人が死亡した。ウクライナ当局によると当時駅には、ドネツク地方で続く激しい砲撃から必死に逃れるため避難用の列車を待つ人が数千人集まっていたという。こうした中、首都キーウ(ロシア語でキエフ)西郊マカリウでは新たに132人の遺体が集団埋葬されているのが見つかった。
ウクライナ検察によると、クラマトルスクの駅には当時、女性や子どもを中心に4000人近くが集まっていた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「際限のない悪」だとしてロシア軍を非難した。
一方でロシア国防省は、攻撃したのはウクライナ側だと主張している。

こうした中、首都キーウ(キエフ)西郊マカリウでは132人の遺体が集団埋葬地などから見つかった。
南部港湾都市オデーサは、さらにミサイル攻撃の恐れがあるとして今週末に夜間外出禁止措置を取ると発表した。
ロケット弾2発と複数回の爆発
クラマトルスクのオレクサンドル・ホンチャレンコ市長は、現地時間8日午前10時30分ごろに駅が攻撃されたとBBCに語った。
ウクライナ東部でロシア軍による大攻勢が始まるのを前に、住民らが中部や西部の安全な地域に避難するため「(避難用)列車の第一陣を待っていた」ところ、攻撃があったという。
国営鉄道「ウクライナ鉄道」代表のオレクサンドル・カムイシン氏は、2発のロケット弾が駅周辺を襲ったと述べた。
支援活動家のネイサン・ムック氏は、5回から10回の爆発があったと証言した。「私たちが車で(駅を)通り過ぎた2分後に振動を感じた。その後にドカンという爆発音が聞こえた」。
「倉庫にいた我々のスタッフの1人は、ウクライナの防空部隊がロケット弾の1つを迎撃するのを見たと言っていた」
ムック氏の支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」は当時、駅で食料を配給していたという。
駅近くの芝生の上にはロケット弾の残骸が転がっていた。ロケット弾にはロシア語で「Za detei」(子供たちのために、あるいは子供たちに代わって、の意味)と、白く書かれてあった。
攻撃の数時間後に現場に入ったBBCのジョー・インウッド記者は、かつては賑やかだった駅が、数人の警察官と、割れた窓をふさぐ作業員を除いてほとんど無人状態になっていたと伝えた。
現場にはわずかな血痕が残っていたという。
<関連記事>
駅攻撃で50人が死亡
ドネツク州のパウロ・キリレンコ知事は、駅への攻撃による死者が50人に上ったと自身のテレグラム・ページに書いた。死者の中には子ども5人が含まれるという。
地元当局によると約100人が負傷。その多くが重傷という。
死者数は今後さらに増える恐れがある。
「トーチカU」弾道ミサイルを使用か
攻撃からわずか数分後、キリレンコ州知事はロシアがクラスター弾を弾頭に搭載した短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使用したと非難した。
しかしその後、攻撃に使われたのは「トーチカU」だったと訂正した。
一方でロシア国防省は、鉄道駅に「トーチカU」を使った攻撃を行ったとしてウクライナ軍を非難した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの兵器専門家によると、トーチカUロケットは極めて精度が低く、標的を500メートル以上外れることがしばしばあるという。


民間人を意図的に攻撃したのか
ウクライナのゼレンスキー大統領は、「戦場で我々に立ち向かう強さと勇気を欠いたロシア軍が、皮肉にも民間人を攻撃している」とインスタグラムに投稿した。
「これは際限のない悪だ。罰せられないのなら、決して終わらない」とも、大統領は書いた。
さらに、駅にはウクライナ兵はいなかったと付け加えた。
ウクライナは2月24日の侵攻開始以来、ロシア軍が意図的に民間人を標的にしていると繰り返し非難してきた。
キーウ近郊の町ブチャでの大量殺人や、多くの民間人が避難していた南部マリウポリの劇場への爆撃の責任はロシアにあるとしている。
ロシア側はこうした主張を否定している。
ロシア国防省は8日、ウクライナ軍がクラマトルスクへの攻撃を行い、民間人を「人間の盾」として使ったと非難。ロシアの後ろ盾を受ける分離主義者の指導者も、ウクライナの「挑発」行為だと述べた。
ロシア国防省は、トーチカUを使用しているのはウクライナ軍であり、ロシア側ではないと主張した。
しかし複数のアナリストは、ロシア軍がトーチカUを使っているように見える画像や動画がソーシャルメディア上で確認できると指摘する。
避難活動への影響は
今回の攻撃によって、ドネツク地方の最東端に位置し、ウクライナ中部や西部と鉄道で結ばれているクラマトルスクからの救助活動は支障をきたしている
ドネツクと隣接するルハンシクで、ロシア軍による大規模攻撃が差し迫っているとウクライナは警告しており、すでに数万人がクラマトルスクの鉄道駅を使って避難している。
ドネツク州のキリレンコ知事は8日、地元当局が市民の避難を継続できるよう努力していると強調した。
こうした中、クラマトルスクの市長はすでに、公共および民間の車両を使った「緊急避難」を発表している。
「我々は運転手を探している。きょう(8日)は30~40人の運転手が必要だ」と、ホンチャレンコ市長は話した。

画像提供, Getty Images
マカリウでは132人の遺体発見
ニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」は、キーウ西郊マカリウの町長の話として、同町で132人の遺体が見つかったと報じた。
ヴァディム・トカル町長は8日のテレビ演説で、「昨日(7日)までの時点で、我々はロシアの怪物に処刑された民間人132人の遺体を掘り出した」と話した。
遺体の大半は集団埋葬地から見つかったが、路上で発見されたものもあったという。
侵攻開始前の同町の人口は1万5000人ほどだった。トカル氏によると、ここ数週間の戦闘で人口は1000人ほどにまで減少。マカリウの約40%が被害を受け、多くの建物は修復不可能な状態だという。
「占領軍はほぼ全てのインフラを破壊し、(住宅や)アパートを爆撃し、病院や幼稚園を完全に破壊した」と町長は話した。

画像提供, Reuters
オデーサ、週末の夜間外出禁止令を発令
黒海に面した南部港湾都市オデーサでは、さらにミサイル攻撃の恐れがあるとして、当局が週末の夜間外出禁止令を出したと、同市に駐留するウクライナ軍が発表した。
9日午後9時から11日午前6時までの間、特別許可のない外出が禁止される。
同地域のスポークスマンによると、オデーサで7日夜に複数のミサイル攻撃があったことを受けた措置。この攻撃による死傷者の数は判明していない。
こうした攻撃が起きている一方で、ウクライナ当局は、ロシア軍が黒海からの上陸作戦に備えている兆候は今のところ見られないとしている。









