ウクライナ軍がロシア兵を殺害? 投稿動画をBBCが分析
リアリティー・チェック、BBCモニタリング(BBCニュース)

ウクライナ軍が、捕らえたロシア兵士を殺害している場面だとされる動画が浮上した。
この動画は、ウクライナの首都キーウ(キエフ)西側の道路で撮影された。ロシアが撤退した地域に当たる。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は7日、動画の存在を認識しているとし、「間違いなく調査する」と述べた。
BBCはこの動画の分析に独自に取り組んでいる。以下、これまでに分かったことを紹介する。
(警告:不快に感じる恐れのある写真や記述が含まれます)
動画の中身
問題の動画には、軍服を着た4人が路上に横たわっている様子が映っている。そのうちの1人は後ろ手に縛られている。

3人は身動きしないが、もう1人は重傷を負いながら、まだ苦しそうに息をしているように見える。画面外の男性が「放っておけ」と言い、別の人が「このままにしたくない」と答えている。ある兵士(動画では顔を確認できない)は、まだ生きているとみられる男性の動きが止まるまで、さらに何度か発砲した。
その後、撮影者は周囲をぐるりと撮り、兵士たちの反応を収めている。
路上の死体はすべて軍服を着用しており、大量の血がそばにある。
顔を見られるのは1人だけで、残りの3人は顔を地面に伏せている。
いつどこで撮影されたのか
BBCは、この動画がキーウ西方の町ドミトリフカの主要道路で撮影されたと特定した。ドミトリフカとイルピン、ブチャを結ぶ道路だ。
下の写真で分かるとおり、動画の風景は、グーグル・ストリート・ビューの画像と一致する。

この道路を3月31日に撮影した衛星写真(下)では、路上に血の染みがみられ、軍の車両も写っている。

BBCは今回の動画の撮影日を特定できていない。ただ、路上の影から、午後に撮影されたことが分かる。
動画は3月30日朝に投稿された。このことから、同29日かそれ以前の日の午後に撮影されたことになる。
死体はロシア兵なのか
死体がロシア兵かどうかを判断するうえで鍵となるのが、動画内の発言だ。
死体のそばに立っている兵士たちの1人は、「こいつらはロシア軍の守備隊だ」と言っている。
さらに、動画内の置き去りにされた軍車両は、側面にVの文字が書かれている。ロシア軍の車両であることを示すサインだ。
路上に倒れている2人は白い腕章を着けている。これは、ロシア兵が身分を示すために、ウクライナの一部で使っているものだ。赤とオレンジの腕章を使うこともある。ただ、地域によっては民間人が白い腕章の着用を勧められていると報じられている。
ウクライナ兵が関与したのか
兵士の何人かが着ている軍服には、青の腕章やウクライナ国旗のワッペンが見てとれる。これらは通常、ウクライナ軍であることを示す。だが、身元を証明するものではないことは明らかだ。
動画で確認できる限り、兵士は全員、ロシア語を話している。ロシア語はウクライナの広い地域で使われている。
動画の半分を過ぎたあたりでは、ひげを生やした兵士1人の顔をはっきりと確認できる。別の場面では他の兵士2人の顔もはっきり見ることができる。

BBCはコンピューターを使い、膨大な数の顔写真とこの顔を比較・照合した。その結果、ウクライナと関係が近いジョージア人男性と一致した。ただ、この男性の身元は確認できていないため、名前を挙げることはできない。
ひげを生やしたこの男性に向かってカメラが振られる際、別の人が「ウクライナに栄光あれ」と声を張り上げている。それに対し、ひげの男性は、「英雄たちに栄光あれ」と応じている。最初の人物は興奮したように、ロシア語で「ジョージア人」を意味する単語と思われる言葉を叫んだ。ただ、発した音ははっきりとは聞こえない。
最後に「われわれの土地にやって来るな」と話す男性の声がして、音は消えている。
BBCはウクライナの国防省にコメントを求めている。
※BBCは今回の動画の分析を続けており、新たな情報が得られれば報告します。
取材:ポール・マイヤーズ、ダニエル・ポランボ、オルガ・ロビンソン、ジェイク・ホートン、アレックス・マリー、シャヤン・サーダリザデ、アリスター・コールマン、リチャード・アーヴァイン=ブラウン








