ロシア大使、「外交の余地はある」 ウクライナ情勢でBBCに

Emmanuel Macron with Polish president Andrzej Duda

画像提供, Reuters

画像説明, エマニュエル・マクロン仏大統領(右)は8日、ウクライナ情勢をめぐり、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領(左)とオラフ・ショルツ独首相と3者会談を行った

ロシアのウラジーミル・チジョフ駐欧州連合(EU)大使は9日、外交がウクライナをめぐる危機的状況の緩和の一助になると、ロシアは依然として考えているとBBCに述べた。

チジョフ大使は、ロシア政府にウクライナ侵攻の意図はないとしつつ、ロシアを挑発してその考えを変えさせないことが重要だと警告した。

ウクライナへの侵攻は計画していないとロシア側は繰り返し主張している。しかし、ウクライナとの国境付近に推定10万人規模の部隊を集結させており、アメリカなど一部の西側諸国は、ロシアがウクライナをいつ攻撃してもおかしくないと警告している。

ロシアは10日、ウクライナの北側に位置する同盟国ベラルーシで、10日間の合同軍事演習を開始する。約3万人のロシア部隊が参加する予定。

ロシア政府報道官は脅威が以前より高まっているとしていたが、チジョフ大使によると、ベラルーシに駐留しているロシア軍は演習後に恒久基地へ戻るという。

ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は緊張が高まる中、今回の演習は「徐々に拡大しうる」ものだと述べた。

ウクライナ情勢をめぐっては、欧米で7日から8日にかけて外交活動が相次いだ。

2014年にロシアがウクライナのクリミア半島を併合して以降、ウクライナ東部ドンバスを支配している親ロ分離独立派とウクライナ軍による紛争が続いている。これまでに約1万4000人が死亡したとされる。

「外交の余地ある」

チジョフ大使は、ロシアがウクライナ国境から部隊を移すことを計画しているかどうかは言及しなかった。代わりに、ロシアと直接相対するウクライナ兵の数について、なぜ誰も語らないのかと疑問を口にした。

一方で、さらなる話し合いが何らかの結果を生む可能性はあると言明した。

「我々は、外交の余地がまだ残されていると確信している」と、チジョフ大使はBBCのカティヤ・アドラー欧州編集長に述べた。

Vladimir Chizhov speaking to Katya Adler
画像説明, BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長(右)のインタビューに応じたロシアのウラジーミル・チジョフ駐欧州連合(EU)大使

ロシアはウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めないことや、東欧でのNATOの軍事プレゼンスを縮小することなどを求めている。しかし西側諸国はこうした要求を拒否。ウクライナには安全保障同盟への参加を選択する権利があるとしている。

チジョフ大使は、ロシアは依然としてNATOの東方拡大を交渉における重要なポイントだと考えていると明かした。

「我々はそのことを忘れたりしない。そして、忘れている余裕はない。NATOの5度にわたる拡大は、我々が期待した進展ではなかった」と、大使はBBCに語った。

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和平交渉の復活は

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は7日にロシア・モスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談。8日にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会い、その後にドイツでオラフ・ショルツ独首相とポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領との3者会談を行った。

マクロン氏が主導した2日間の積極的な外交活動を受け、現在の危機状況を打開するため、ウクライナ東部の紛争の終結を目指したミンスク合意に再び焦点を当てることが必要ではないかとの見方も出ている。

ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツはミンスク合意への支持を表明していた。

ミンスク合意が緊張緩和への道筋をもたらす可能性があるとみている外交官もいる。フィリップ・エティエンヌ駐米フランス大使は、「実行可能な政治的解決策を構築する」ためにこの合意を履行すべきだとツイートした。

8日のゼレンスキー氏との会談後、マクロン氏はロシアとウクライナの両首脳がミンスク合意の履行を約束したと述べた。

ゼレンスキー氏は以前、戦時下でペトロ・ポロシェンコ前大統領が署名したミンスク合意について、ドンバス地域の一部地域を支配する反政府勢力にあまりにも多くのものを与えすぎているとして批判的な姿勢をみせていた。

マクロン氏は早ければ10日にも、ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツとの会談を行うとしている。

Map showing Russian troops near Ukraine, Feb 2022
画像説明, ウクライナ(UKRAINE)国境付近にロシア部隊が配置されている。赤丸は恒久的に配置されている場所で、丸の大きさは規模(1000人、4000人、6000人など)を示す。黒い印は新たに部隊が配置された場所(規模は未確認)。ベラルーシ(BELARUS)国内のロシア部隊についてはおおよその場所を示している 出典:Rochan Consulting 2月7日時点
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ロシア政府はかねてから、ウクライナ政府がミンスク合意を履行していないと非難している。プーチン大統領は7日の記者会見で、ウクライナに対して、「(ミンスク合意を)好むと好まざるとにかかわらず耐えよ、私の美しきものよ」と述べた。

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は9日、「ミンスク合意の履行だけが、ウクライナ情勢の解決のよりどころだという前向きな兆しがあった」と述べた。

しかし、この合意が実際に何を意味するのか、ウクライナとロシアの意見は割れている。ウクライナはミンスク合意を現状のかたちで履行すれば、東部ドンバスを支配している親ロシア派勢力にあまりに高い自治性を与え、ロシア政府が大きな影響力を持つことになるのではないかと懸念している。

ドイツ、フランス、ポーランドの首脳は8日、ミンスク合意への支持を表明。ウクライナの主権に対する支持も再確認した。