仏大統領、プーチン氏が「ウクライナ情勢悪化させないと保証」 ロシア側は否定

Ukrainian President Volodymyr Zelensky welcomes French President Emmanuel Macron before their talks in Kyiv, Ukraine February 8, 2022

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画像説明, マクロン仏大統領はロシア・モスクワ訪問後、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した(8日、ウクライナ・キーウ)

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は8日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領から、ロシア軍がウクライナ国境付近の危機を高めることはないとの保証を得たと明らかにした。一方でロシアは、マクロン氏が示唆した保証の内容は「正しくない」としている。

マクロン大統領はこの日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談。それに先立ち、前日に会談したプーチン氏から「悪化やエスカレートはないという確証を得た」と述べていた。

ロシアはウクライナ侵攻を計画していないとしているが、ウクライナとの国境付近に推定10万人規模の部隊を集結させている。

米当局は、ロシアが本格的な侵攻に必要な軍勢の70%を集結させたとみている。

ロシアによるウクライナ南部クリミア地域の併合から8年がたった今、ロシア、ウクライナ、西側諸国の緊張が高まっている。

ロシア政府は、ウクライナ政府が同国東部の平和を回復するための国際的取り決めであるミンスク合意を履行していないと非難している。ロシアの支援を受けた反政府勢力が支配するウクライナ東部での紛争では少なくとも1万4000人が死亡している。

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プーチン氏に「具体的な手段」示すよう求める

7日にロシア・モスクワを訪問したマクロン氏は、プーチン氏と6時間近く会談。8日にはウクライナの首都キーウ(キエフ)に入った。

ウクライナのゼレンスキー大統領と会談後、両首脳は記者会見に臨んだ。マクロン氏は、ロシアとウクライナの間で「交渉を前進させる」チャンスが到来しており、緊張緩和にむけた「具体的な解決策」が見えてきたと述べた。

ゼレンスキー氏は、緊張緩和のための真剣な対策を講じるようプーチン氏に求めた。「私は全く言葉を信用していない。すべての政治家は具体的な手段を講じることで透明性を示せると信じている」と述べた。

ウクライナ大統領と気まずい場面も

BBCのポール・アダムス外交担当特派員は、ゼレンスキー氏がプーチン氏を全く信用していないと指摘した。

アダムス特派員はまた、ゼレンスキー氏がマクロン氏の支持を歓迎し、2人がウクライナ、欧州、そして世界が直面する課題について「共通のビジョン」を持っていると述べたと報告した。ただ、会談では気まずい瞬間もあったと伝えた。マクロン氏は、ウクライナとNATOの関係の模範になり得るものとして、NATOと近いものの加盟国ではないフィンランドとの関係を挙げたとする報道を、否定しなければならなかったという。

プーチン氏がミンスク合意の履行を求めていることも、ゼレンスキー氏にとって課題だとアダムス特派員はみている。戦時下でペトロ・ポロシェンコ前大統領が署名したミンスク合意を現状のかたちで履行すれば、東部ドンバスを支配している親ロシア派勢力の権威を高めることになるのではないかと恐れているという。

Vladimir Putin, left, and Emmanuel Macron, right, meet in the Kremlin in Moscow, Russia

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画像説明, ロシアのプーチン大統領(左)とフランスのマクロン大統領の首脳会談(7日、モスクワ)

7日の仏ロ会談では、プーチン大統領はマクロン氏の提案の一部が「合同で取り組む今後の措置の基礎になり得る」としつつ、内容に触れるのは「おそらくまだ時期尚早」だと述べた。

仏政府関係者はその後、マクロン氏とプーチン氏が、ウクライナ北部の国境付近で行われている軍事演習終了後に、ロシアがベラルーシから軍を撤退させることで合意したと記者団に語った。

これに対し、ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官はいかなる取り決めもなされていないと否定。ただ、部隊はいずれロシアに戻る見込みだとした。

仏独ポーランド3首脳が会談

マクロン氏は8日、ドイツ・ベルリンへ移動し、ドイツのオラフ・ショルツ首相とポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領と3者会談を行った。

アメリカ・ワシントンでは7日、ジョー・バイデン大統領とショルツ独首相が会談。バイデン氏はロシアがウクライナに侵攻した場合はロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルド・ストリーム2」計画は「終わらせる」と述べた。

ショルツ氏がワシントンを訪問するのは首相就任後初めて。ウクライナ危機への対応に批判を受けているものの、パイプラインについてはバイデン氏よりあいまいな態度を示した。

ボリス・ジョンソン英首相は8日付の英紙タイムズに寄稿し、イギリスは「南東欧を守るために」英空軍の戦闘機と英海軍の軍艦の配備を検討していると述べた。

ロシアはウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めないことや、東欧でのNATOの軍事プレゼンスを縮小することなどを求めているが、西側諸国はこうした要求を拒否している。

キャロライン・デイヴィスBBCモスクワ特派員は、ロシアの主な関心は依然としてアメリカに向けられているようだと指摘。ロシアはNATO拡大に対する安全保障上の懸念に、西側諸国が応えていないと感じていると、再び強調しているとした。そして、双方とも譲歩する気配を見せない中、このことが外交議論の中心である限り交渉が難しくなるとした。

Map showing Russian troops near Ukraine, Feb 2022
画像説明, ウクライナ(UKRAINE)国境付近にロシア部隊が配置されている。赤丸は恒久的に配置されている場所で、丸の大きさは規模(1000人、4000人、6000人など)を示す。黒い印は新たに部隊が配置された場所(規模は未確認)。ベラルーシ(BELARUS)国内のロシア部隊についてはおおよその場所を示している 出典:Rochan Consulting 2月7日時点
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