英政府、職場で最大25%欠勤の事態に備えるよう呼びかけ 新型コロナ感染拡大で

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英政府は2日、新型コロナウイルスの感染者が増え続けている現状で、職場では最大25%のスタッフが感染のため欠勤する事態に備えて計画するよう、事業者に呼びかけた。
政府は担当閣僚に、職場の大量欠勤に備えて「積極的な緊急対応計画」を策定するよう指示した。さらに、「最悪のシナリオ」を想定し、スタッフの10%、20%、25%が病欠となった場合の計画をそれぞれ準備するよう、公共部門の幹部に呼びかけた。
イギリスではクリスマスから新年にかけて、感染者が急増した。英政府の統計によると、イングランドでは1日、16万2572人の新規感染者が確認され、5日連続で記録を更新した。 2日にはイングランドとウェールズの新規感染者が13万7583人確認された。昨年12月27日から1月2日にかけた7日間の累積感染者数は111万159人で、12月20日から同26日にかけての人数から43.1%増えている。
イギリス全体でCOVID-19のため入院を必要とした人の数は、昨年12月27日には1日1915人。12月21~27日の累計は9937人で、前の7日間から49.9%増えた。
こうした感染者の急増に伴い、多くの人が自主隔離を余儀なくされ、出勤できない事態となっている。特に交通や医療機関、学校など在宅勤務が不可能な業界は、スタッフの病欠が事業の継続に大きく影響している。
内閣府によると、スティーヴ・バークリー内閣府担当相は、オミクロン変異株の感染拡大が職場や供給網にどう影響しているか把握するため、関係閣僚と定期的に会議を開いている。またボリス・ジョンソン首相は、各閣僚にそれぞれの所管分野で、事業の寸断をできる限り食い止めるため、準備を進め、緊急対応計画を策定するよう指示したという。
バークリー内閣府担当相は、オミクロン株の伝播(でんぱ)力が極めて高いことから、「今後数週間で通常より多くのスタッフが病欠することになり、多くの事業や公共サービスが影響を受ける」だろうと述べた。一方で、今のところ「公共部門のほとんど」で混乱は抑制できているとも話した。
イギリスの現在の自主隔離ルールは
イングランド、ウェールズ、北アイルランドで新型コロナウイルスの感染が確認された場合、少なくとも7日間は自主隔離しなくてはならない。隔離を終えるには、隔離開始6日目以降にラテラルフロー(迅速)検査を2回、24時間の間隔を開けて受け、2回とも陰性となる必要がある。
スコットランドでは、陽性となった場合には10日間、隔離しなくてはならない。
さらに、感染者に接触したワクチン未接種の人は、イギリス全土で10日間、隔離しなくてはならない。
一方、交通機関や医療機関での人手不足が続く中、無症状の陽性者はアメリカ式に5日の隔離で済ませるようルール変更を求める声もあるが、英健康安全庁(UKHSA)はそれで感染者が増えれば、人手不足は悪化するだけだと説明している。
影響を受ける業界は
イングランド北西部カンブリアを拠点に、高齢者や障害者に在宅介護を提供する「ベルケア」の責任者、イアン・ウィルソンさんは、介護提供者が十分確保できなくなれば、必要な介護を提供できなくなると心配している。

「そもそも介護を必要とする人が大勢いるのでただでさえ多忙なのに、(オミクロン株のせいで)スタッフが足りないとなると、本当にまずいことになる」と、ウィルソンさんはBBCに話した。
ウィルソンさんがオーナーとして経営する「ベルケア」は約120人に介護担当者を雇っているが、さらに40~50人を追加雇用しても、勤務時間は十分に提供できるという。
「加えてブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)があったから。前は外国人労働者を使っていたが」と、ウィルソンさんは人手不足の要因をさらに話す。「外国人労働者を雇うための免許を申請することはできるが、それは時間と金がかかる手続きなので、来週中の問題解決にはつながらない」という。
各地の学校も影響を受けており、スタッフの病欠が原因で12月半ばまでに30以上の行政区で授業の一部をオンラインに切り替えた学校が相次いだ。政府は、すでに引退した教員経験者に、新年から人手不足対策として教育現場に戻るよう呼びかけている。

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複数の鉄道事業者も人手不足から、運行本数を減らす羽目になっている。
国民保健サービス(NHS)イングランドによると、NHSの医療機関でも、昨年12月26日の時点で病院スタッフ2万4632人が、新型コロナウイルス陽性となり、発症したか自主隔離しているかで欠勤していた。この人数は前週から31%増え、12月初めからは2倍近くに増えていた。
多くの飲食店も影響を受けている。ロンドンで人気のレストラン「ブルット」を経営するラッセル・ノーマンさんによると、クリスマス前の週にスタッフの間のオミクロン株感染が増え、スタッフが24人から5人に一気に減少。休業を余儀なくされたという。
加えてブレグジット以降、「レストランで働きたいと、やる気をもって待機している人の人材プールがなくなってしまった」ため、欠員をすぐに埋められなかったのだという。











