イギリスの感染対策の「顔」がサーやデイムに 新年の叙勲

Chris Whitty, June Raine, Jonathan Van-Tam, and Jenny Harries

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画像説明, 右から、新しく叙勲されたサー・クリス・ウィッティー、デイム・ジューン・レイン、サー・ジョナサン・ヴァン・タム、デイム・ジェニー・ハリス

新型コロナウイルスのパンデミックの最中、イギリスの感染対策を主導し、連日のように首相官邸から記者会見を重ねてきた感染対策の専門家たちが、2021年12月31日に発表された新年の叙勲で、「ナイト」や「デイム」の称号を授けられることになった。

英政府の医療責任者、イングランド主任医務官(CMO)のクリス・ウィッティー教授は、ナイト爵位を受け、「サー・クリス」と呼ばれることになった。同様に、イングランド副主任医務官のジョナサン・ヴァン・タム教授は「サー・ジョナサン」となる。

また、英健康安全庁(UKHSA)のジェニー・ハリス長官と、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)トップのジューン・レイン長官はそれぞれ、ナイトに相当するデイムの称号を与えられ、「デイム・ジェニー」、「デイム・ジューン」と呼ばれることになった。

政府の首席科学顧問、サー・パトリック・ヴァランスは、「バス勲章」の「ナイト・コマンダー(KCB)」という、さらに高位の位を授けられた。サー・パトリックは2019年の新年に大英帝国勲章の「ナイト」の称号を与えられていた。

ウェールズ自治政府の主任医務官フランク・アサートン博士、スコットランド自治政府の主任医務官グレゴール・スミス教授もそれぞれナイト爵位を授かった。イングランドのワクチン接種事業を手動してきたエミリー・ローソン博士はデイムとなった。

英政府は2020年秋や昨年夏にも、新型コロナウイルス対策に尽力した研究者やボランティアが多く、叙勲の対象になった。

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トニー・ブレア元首相は、「ガーター勲章」を受けて、ナイト爵となった。新年の叙勲の大半は首相官邸の助言のもとに決まるが、「ガーター爵位」は王室が決める。

ブレア元首相は「たぐいまれな光栄」だとして、「女王陛下に深く感謝している」と述べた。

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イギリスの叙勲システム(一部)

  • ガーター勲章:イングランドの最高勲章で、イギリスの王族や首相経験者、外国の国家元首などに送られる
  • バス勲章:トップクラスの軍人や官僚に送られる。3等級に分かれており、ナイト・コマンダーはその最高位に当たる

大英帝国勲章は5等級に分かれている

  • コンパニオンズ・オブ・オーナー勲章(65人に限定、受勲者は名前の後にCHを付けることを許される)
  • ナイトまたはデイム(騎士の爵位。受勲者はサーまたはデイムの敬称を使うことを許される)
  • コマンダー(CBE、司令官)
  • オフィサー(OBE、将校)
  • メンバー(MBE、団員)

このほか、文化部門で活躍した人に送られる大英帝国メダル(BEM)、外交官などに送られる聖マイケル・聖ジョージ勲章などがある。

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芸能、文芸、スポーツ関係では

芸能関係では、女優ヴァネッサ・レッドグレイヴさんとジョアナ・ラムリーさんが「デイム」となった。ジェイムズ・ボンド役で知られる俳優ダニエル・クレイグさんは、映画・演劇への貢献を表彰して「聖マイケル・聖ジョージ勲章」を授けられた。この勲章は通常、外国での働きを表彰するもので、クレイグさんが演じた情報部員ボンドも作中でこの勲章を受けている。

歌手エルトン・ジョンさんの楽曲のほとんどで作詞を担当してきたバーニー・トーピンさんと、推理小説が人気の作家アントニー・ホロウイッツさんは、共に「大英帝国勲位コマンダー(CBE、3等)」に叙勲された。

スポーツ界では、自転車競技への貢献でジェイソン・ケニー選手とローラ・ケニー選手が夫妻でそれぞれ「ナイト」と「デイム」になった。パラリンピックの水泳と自転車競技で複数の金メダルを得ているジョディー・カンディー選手は「CBE」に叙勲された。

昨年夏の東京オリンピックで水泳の男子シンクロナイズドダイビング10メートル高飛び込みで金メダルを獲得したトム・デイリー選手は、「飛び込み競技、LGBTQ+の権利、慈善活動」への貢献がたたえられ、「大英帝国勲章オフィサー(OBE、4等)」の位が授けられた。

テニスの全米オープン女子シングルスをノーシードから勝ち上がり、4大大会出場2度目で初優勝したエマ・ラドゥカヌ選手は、「大英帝国勲章メンバー(MBE、5等)」となった。

Husband and wife Dame Laura Kenny and Sir Jason Kenny, Emma Raducanu MBE, and Tom Daley OBE

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画像説明, 右から、デイム・ローラ・ケニー、サー・ジェイソン・ケニー、エマ・ラドゥカヌMBE、トム・デイリーOBE

最年少は11歳、半数が女性

慈善活動への表彰の中では、12歳のマックス・ウージーさんが大英帝国メダルを授けられた。ウージーさんは、北デヴォン・ホスピスのために寄付金を集めようと、600日連続して毎晩テントで眠っている。これまでに集めた寄付金額は70万ポンド(約1億900万円)。

11歳のトバイアス・ウェラーさんも、慈善活動ための募金活動を理由に大英帝国メダルを授けられた。イングランド北部シェフィールド在住のウェラーさんは、脳性麻痺や自閉症を患いながら、地元の病院への寄付金を集めるためにマラソンや遠泳に挑戦し、注目された。大英帝国メダルが子供に与えられるのは初めてではないが、ウェラーさんが最年少だろうとされている。

今回の叙勲対象者は1200人以上。英政府によると、そのうち15.1%が少数民族系で、「4回連続してこれまでで最も民族的に多様な叙勲リストになった」という。さらに、叙勲者の47.9%が女性だった。