「愛国者」による香港議会選、親中派が圧勝 「秩序を回復」と中国

Candidates from the Election Committee constituency wave onstage after winning

画像提供, Reuters

画像説明, 選挙管理委員会などの事前審査を受けた候補者たちが続々と当選を決めた

19日に投開票が行われた香港の立法会(議会、定数90)選挙で、親中派の候補者が圧勝した。一方、一般有権者が投票できる直接投票枠(定数20)の投票率は、過去最低を記録した

地元ニュースサイト「HK01」によると、90議席中82議席が親中派・親香港政府派の立候補者によって確保された。反体制の「非建制派」の当選者は1人のみで、残りの7議席については、当選者の政治的背景が不明だという。

今回の選挙は、中国政府が香港の選挙制度を大幅に変更して以来、初の投票だった。当局は香港の安定のために必要な改革だとしているが、民主主義を弱体化させる狙いがあると批判する声もある。

こうした中、中国政府は20日、「香港の民主発展」と名付けられた白書を発表。中国主導の改革によって、香港は「秩序の回復した」新時代に突入したと述べた。

動画説明, 「非愛国者」排除の香港立法会選挙 中国はどのように香港を作り変えたのか

中国は今年3月、「愛国者」重視の選挙制度改正案を可決し、立法会選挙の候補者は中国政府寄りの選挙管理委員会などの事前審査を受けると決めた。これによって事実上、民主派勢力は選挙から排除されることになった。

立法会の定数90議席の内、直接選挙で選ばれるのは20議席に過ぎない。40議席は中国政府寄りの選管が選び、30議席は伝統的に中国政府寄りの職能団体が選ぶ。

選挙に先立ち、香港政府は登録有権者450万人に一斉メールを送るなどして、投票を呼びかけていた。

しかし、実際の投票率は30.2%と、過去最低を記録。AFP通信が投票前日に取材した20代の会計士の女性は、「結局のところは北京(中国政府)側の人間が勝つので、私の一票には何の意味もない」と、投票に行かないと述べていた。

一部の民主活動家は市民に、投票をボイコットするか、抗議の表現として白票を入れるよう呼びかけていたた。白票の投票は合法だが、白票の投票を促したり、投票しないよう呼びかけることは、現在の香港では違法となっている。

2019年に数カ月にわたって民主派デモが発生した後、中国政府はさまざまな規制を課して香港への影響力を高めてきた。

昨年6月には、香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」(国安法)を施行。多くの野党政治家や活動家が逮捕・起訴されている。

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<解説> マーティン・イップ、BBC中国語(香港)

報道センターにいたジャーナリストにとって、19日はあまり実りのない夜だった。

しかし、香港最大の親中政党「民主建港協進同盟(DAB)」にとっては、勝利の夜だった。「DABは必ず勝つ」という掛け声は、当選者が確定するたびに大きくなっていった。

香港市民が考えていた通り、「非建制派」陣営は惨敗し、わずか1議席を確保するにとどまった。当選した狄志遠議員は、90議席ある立法会でたった1人の野党議員となる。

しかしその狄議員でさえ、選挙管理委員の事前審査で「愛国者」と認められての出馬だった。

ここで、中国政府が20日に発表した白書が出てくる。そこには、イギリスは香港に民主主義を与えたわけではない、1997年の中国返還のたった数年前に作られた立法会は、イギリスの植民地政策を延長するための陰謀以外の何物でもないという、使い古された主張が繰り返されていた。

その上で白書では、中国共産党が「香港の民主主義システムを設計し、創造し、保護し、前進させている」と述べている。

中国政府は今や、民主主義を独自に定義している。権力闘争は続いていく。

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