香港議会、「愛国者」重視の選挙制度改正案を可決

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香港立法会(議会)は27日、選挙制度改正の条例案を可決した。中国政府が「非愛国的」と判断した人物を政界から追放するのがねらい。
中国政府は3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、「愛国者による香港統治」決定案を承認していた。
これにより、選挙で直接選出される議員が減り、中国政府寄りの委員会が審査で立候補を認める「愛国的」な議員が増えることになる。
香港の議会は昨年11月、民主派の議員4人が資格を剥奪さたことに抗議する形で民主派議員全員が辞任しており、現在は中国寄りの議員でほぼ占められている。
条例案は近く、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が署名し制定される。林鄭長官は、委員会は立候補者を政治観で差別しないと述べた一方、あらゆる「非愛国者」を除外すると話した。
中国と香港自治政府は2019年の反政府デモ以来、民主派への締め付けを強化している。こうした動きは、全人代の決定案承認と共に、アメリカやイギリス、欧州連合(EU)などの批判を受けている。
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条例案によると、香港では今後、選挙委員会によって指名を受けた人だけが立法会の選挙に立候補できる。選挙委員会は現在、行政長官の選出が主な役割。
議員のほか選挙委員、行政長官などについても、委員会が候補者を事前審査することになったため、中国政府に批判的な人物を簡単に排除できるようになる。
さらに、立法会自体のあり方も変わる。選挙で選ばれる議員は35人から20人に減る一方、立法会の議席数は70から90に増えるため、民主的に選ばれた議員の影響力は薄まる見込みだ。
全議席のうち40議席は選挙委員会が選出し、残りの30議席は、やはり歴史的に中国政府寄りの産業界から特別に選出される。
香港市民の反応は?
当局による反体制派の締め付けにより、香港市民がこの改革についてどう考えているのかを探るのは難しくなっている。
この条例案で最も影響を受ける野党の政治家らはなお、中国の全人代が決定案を採択した際に批判の声を上げていた。
民主党の羅健熙党首は、この条例案で香港が「20年後退する」と非難。別の野党メンバーも、中国が「民主主義を踏みにじっている」と述べていた。
一方、オンラインで大きな影響力をもつペニー・サン氏はBBCの取材で、この条例案を全面的に支持すると述べ、「香港は豊かになり、私たちの暮らしも安定するだろう」と語った。
シンガポール・南洋理工大学の李鐘赫助教授は、現在の香港のような状況ではセンシティブな話題についての会話は「自然と廃れていく」と指摘した。
「人々は自己検閲します。意図されたとおりです」
これまでに3万人超がイギリスのビザを申請
香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。
これにより香港では2047年まで、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護されている。
しかし、中国政府が徐々に香港への影響力を高めていくに従い、民主派による抗議デモが起きるようになった。

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これに対し、中国政府は昨年6月に「香港国家安全維持法(国安法)」を制定。香港での反逆や扇動、破壊行為、外国勢力との結託などを禁止するもので、違反者は最高で無期懲役が科される。すでに多くの民主派活動家などが逮捕され、実刑判決を受けている。
こうした事態を受け、イギリス政府は今年1月に、香港市民にイギリス市民権を獲得できる道を開く新たな特別査証(ビザ)を導入。今月27日には、これまでに3万4000人が申請したと発表している。
新たな選挙制度での立法会選挙は、12月に行われる予定。








