中国、香港の「愛国者」選挙制度見直し案を承認

Hong Kong Marks One Year Since The Start Of Pro-Democracy Protests

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画像説明, 2020年に香港で開かれた親中派集会の資料写真

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、香港の選挙制度の見直しに関する「愛国者による香港統治」決定案を全会一致で承認した。

改正計画では、香港立法会(議会)選挙で直接選出される候補者を半数近くに減らし、中国政府寄りの委員会が審査で認める「愛国的」な候補者を増やす。

中国政府が「愛国的」と判断した候補のみが、権力のある地位に就けるようにするのがねらい。

全人代は今月11日、「愛国者による香港統治」決定案を採択していた。

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一連の決定は香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」の附則として付け加えられる予定で、中国による香港への締め付けがさらに強まることが予想される。

香港では立法会でも民主派への圧力が強まっており、今回の承認で香港の民主主義が終わったと批判する声もある。

何が変わる、どのような影響が?

地元報道によると、今回の変更で立法会のあり方が変わり、中国政府に批判的な政治家を締め出しやすくなる。

全ての立候補者は今後、中国政府寄りの選挙管理委員会などの事前審査を受けることになる。

また、選挙で選ばれる議員は35人から20人に減る一方、立法会の議席数は70から90に増えるため、民主的に選ばれた員の影響力は薄まる見込みだ。

The 13th National People's Congress (NPC) opens at the Great Hall of the People

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画像説明, 全人代は、香港で「愛国者」だけが議会選挙に立候補できる改革案を採択した

立法会では昨年、一部の民主派議員が資格を剥奪(はくだつ)され、これに抗議した野党派議員全員が辞職するなど、中国政府の影響力が高まっている。

今年もいくつかの地区選挙が控えているものの、今回の変更がいつ導入されるかは明らかになっていない。

香港と中国の関係

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。

これにより香港では2047年まで、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護された。

しかし、中国政府が徐々に香港への影響力を高めていくに従い、香港では民主派の抗議デモが起きるようになった。

Hong Kong

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画像説明, 2019年には数カ月にわたって民主派活動家と警察が衝突した

こうした事態をきっかけに中国政府は昨年6月、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)を導入。多くの民主派活動家や政治家を逮捕している。

中国が香港への圧力を強め、「一国二制度」を壊そうとしているという批判が出ているが、中国政府はこれを否定している。

たとえば今回の「愛国者」選挙制度改革についても、基本法を変更していないか、中国への容疑者引き渡し条項に違反していないかなどで意見が分かれている。

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<解説>スティーヴン・マクドネル中国特派員

中国共産党に反対する政治家全員が、香港政界から実質的に消し去られてしまった。

数週間前に改革案が発表されたとき、世界中から批判の声が上がった。

オーストラリアのマリーズ・ペイン外相はツイッターで、香港をめぐる改革で「民主的精度が弱まる」懸念があると話した。これはまだ柔らかな態度だ。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、中国政府の動きを「民主主義に対する攻撃」と説明した。

実のところ、香港の選挙制度はすでに破綻している。「親中派」陣営が立法会の主導権を失わないようにできているのだから。

立法会の議長に当たる主席も、中国政府寄りの委員会によって直接選ばれている。

最後に香港で実際の選挙が行われたのは区議会選だったが、その時には1選挙区をのぞく全ての選局で民主派陣営が勝利した。

中国政府がこれにおびえたのは明らかで、中国は今や民主派候補が一切立候補できないよう法律を変えた。

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