英イングランド、医療従事者にワクチン義務付け 新型コロナウイルス

画像提供, Getty Images
イギリスのサジド・ジャヴィド保健相は9日、イングランドの国民保健サービス(NHS)の職員全員に、新型コロナウイルスワクチンの接種を義務付けると発表した。
ジャヴィド保健相は、NHS全体と患者を守るためだと説明。一方で、医療従事者不足が加速するとの懸念も出ている。
イギリスでは現時点で、最前線で働くNHS職員の93%以上が1回目、90%以上が2回目のワクチン接種を終えているという。これは一般的な労働人口での接種完了率(81%)を大きく上回っている。
ジャヴィド氏はその上で、ワクチン未接種の職員10万3000人に対し、来年4月初めまでに接種を完了するよう求めるとしている。
ただし、健康上の理由でワクチンが打てない人や、患者と対面しない業種の人は免除されるという。
今回の決定に先駆け、イギリス政府はCOVID-19とインフルエンザのワクチン接種を義務付けるか諮問(しもん)していた。
ジャヴィド氏によると、インフルエンザワクチンは義務化されない見通しだ。
<関連記事>
ジャヴィド保健相は下院での演説で、ワクチン接種は「NHSにいる患者やNHSの同僚、そしてもちろんNHSそのものを守るものだ」と述べた。
また、実際の義務化は議会の承認が得られた12週間後に当たる4月ごろになるだろうと話した。
その上で、ワクチンを打っていない職員が「スケープゴートになったり辱めを受ける」ことはあってはならず、代わりに「前向きな選択」ができるよう支援されるべきだと語った。
今回の方針はイングランドに限定したもの。イングランドではすでに介護従事者のワクチン義務化が決定しており、9日が最終期限だった。
スコットランドとウェールズでは、NHS職員と介護従事者双方についてワクチン義務化をめぐる議論が始まっていない。北アイルランドでは近く、公聴会が開かれる見通し。
職員不足と異動を懸念
NHS基金を代表するNHSプロヴァイダーズのクリス・ホプソン会長は、「人々がワクチンを忌避する理由は理解している。そういう人たちの頭をたたいていくのではなく、議論をして勝つ必要がある」と述べた。
一方で、すでに職員不足が指摘され、超過勤務に頼っている現状で、職員を失う可能性は「現実の問題だ」と指摘した。
最大野党・労働党のジョナサン・アッシュワース影の保健相も、恒常的な職員不足への不安に言及。「たった一夜で数千人のNHS職員を失える余裕などない」と述べた。
NHSのデータによると、職員のワクチン接種率は病院によって異なる。最も高いのはドーセット・カウンティー病院の94.6%。一方、バーツ・ヘルスNHSトラストは79.7%と最も低かった。
サウザンプトン・セントラル病院では今年9月、ワクチンを接種しなければ異動の可能性があると、職員に通達していた。
実際にワクチン接種を拒否して異動となったある職員は、ワクチン義務化に「失望した」ものの、予測していなかったわけではないと話した。
この職員は、ワクチンの強制は人権に反すると感じており、1人1人の選択であるべきだと指摘。その上で、「怒っているが、多分ワクチンを打つことになると思う。他に選択肢はあるのか?」と述べた。
フランスでも、9月に医療従事者のワクチン接種を義務化。その結果、3000人が解雇されている。

イギリスではこれまでに、12歳以上の人口の79.8%に当たる4580万人超が2回のワクチン接種を終えている。1回目の接種を終えた人は全体の87.5%。
ワクチン接種を終えていれば、感染リスクが下がり、感染しても重症化や入院の可能性が低くなる。ただし、ワクチンを打っていてもウイルスに感染すれば、他人に感染させる可能性はある。
9日の新型ウイルス感染者は3万3559人となお高い水準だが、6日連続で4万人を下回った。検査で陽性が判明してから28日以内に亡くなった人は262人と、1週間前の293人から減っている。










