英野党・労働党、イングランドの感染対策強化を政府に求める

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イギリスで新型コロナウイルスの感染者が増え続けるなか、最大野党・労働党は24日、政府に対し、マスク着用の義務化や在宅勤務の奨励など、イングランドでの感染対策を強化するよう呼びかけた。
労働党のレイチェル・リーヴス影の財務相はBBCに対して、政府のワクチン接種事業は「失速」しており、改善が必要だとも述べた。
一方、英政府のリシ・スーナク財務相は、現在のデータは「直ちにプランB(次善策)への移行」が必要だと示すものではないと反論した。
イギリス政府は現在、「プランA」と呼ばれる感染対策計画を実施している。これには、感染リスクが特に高い人たちへのワクチン追加接種の推進や、健康な12~15歳への1回の接種、接種未了者への接種推進などが、対策として含まれる。
これに対して、政府が9月に発表した代替案の「プランB」には、感染者増加による国民保健サービス(NHS)の逼迫(ひっぱく)を回避するため、混雑した場所でのマスク着用や、ワクチン接種証明や陰性証明などを含むいわゆる「COVIDパスポート」の提示を義務化するなどが、対策として含まれる。
NHS連盟やイギリス医師会などは、イングランドでワクチン接種以外の対策再開を呼びかけている。
政府の新型ウイルス対策を策定する非常時科学諮問委員会(SAGE)による10月14日会合の議事録が22日に発表され、それによると委員たちは、感染対策のための行動制限を「速やかに実施」できるよう準備を進める必要があると述べていた。SAGE委員たちは、対策を前倒しすればするほど厳しい規制の長期化を避けられるかもしれないと提言している。
さらに、政府が「プランB」で提示した対策のうち、在宅勤務の奨励が最も感染抑制に効果的だろうと、SAGE委員たちは話している。
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イギリス政府の統計によると、24日に報告された新規陽性者は3万9962人。1日の陽性者が4万人を下回ったのは、12日ぶり。検査の陽性判定から28日以内に亡くなった人は72人だった。
イングランドで新型コロナウイルスの感染症COVID-19の入院治療を受けている人は現在、6405人。この人数は増加傾向にあるが、9月半ばと同水準。今年1月の3万4000人からは大幅に減少している。
イギリス全体でワクチンを2回受けた人は今月23日の時点で、12歳以上の人口の79.2%に達している。
マスク着用などが争点
リーヴス氏は24日のBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、「政府はまず、プランAがうまくいくよう、もっと力を入れる必要があると思う。科学者たちが、在宅勤務とマスクの着用を求めているなら、私たちはそうすべきだ。なので政府は、失速しているワクチン接種事業を改善してプランAがもっとうまくいくようにして、さらにプランBの一部を実行すべきだ」と話した。
加えてリーヴス氏は、政府のプランAやプランBにも含まれていない対策として、法定疾病給付金を初日から提供する、あるいは公共の場の換気を改善するなどといった施策の実施を求めた。
一方、与党・保守党の広報担当は、労働党がプランBの実施について姿勢をころころ変えており、直近の4日間だけでも意見が3回変わったと批判した。
イギリス国内で、公共交通機関などでのマスク着用が義務化されていないのはイングランドのみ(病院や介護施設では着用が必要)。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドでは、公共交通機関や店舗の中などではマスクをしなくてはならない。
防衛の最前線はワクチン
同じ番組に出演したスーナク財務相は、プランBの実施について質問され、「政府は状況を注視しているものの、現在のデータは、ただちにプランBに移行すべきだとは示唆していない。ただしもちろん、状況をずっと見ているし、次の計画の準備はできている」と答えた。
英政府が昨年4月から今年9月末まで実施した、一時帰休制度(国内企業が従業員の雇用を維持した場合、休暇扱いになっている従業員の給与の8割を政府が補助する雇用維持制度)の再開については、「現時点では検討していない」と答え、「昨年のような重大な経済活動規制を実施しなくてはならない状況を想定していないからだ」と説明した。
スーナク氏はさらに、感染に対する「防衛の最前線」はワクチン接種事業だと述べ、冬にかけて国民を守るための最善の方法は追加接種の展開だと強調した。
イングランドでは23日、32万5000回の追加接種が実施された。NHSイングランドの責任者、アマンダ・プリッチャード氏によると、1日の追加接種の回数としては過去最大だという。
英政府の諮問機関「ワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)」の委員をつとめるアダム・フィン教授(ブリストル大学、小児医学)は、ワクチン接種事業だけでは「事態を鎮静化させる」には不十分だと指摘する。
英スカイニュースの番組でフィン教授は24日、「それに加えて誰もがラテラルフロー検査を受け、閉鎖空間で大勢と接触するのを避け、マスクを使うなどといったことが、すべて必要だ。冬本番に大変な事態になるのを避けるには、そうして今の感染者急増を食い止めて、事態をなるべく早く鎮静化させなくてはならない」と警告した。












