イラン最高指導者、「暴徒」がトランプ氏を喜ばせようとしていると 人権団体はデモ参加者の被害増を報告

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イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は9日、全国で拡大する反体制デモの参加者について、「騒ぎを起こし」て「アメリカの大統領を喜ばせようとしている」「暴徒の集団」などと非難した。通貨下落を発端としたイラン各地の反体制デモは13日目となり、近年で最大規模へと拡大した。複数の人権団体によると、少なくともデモ参加者48人と治安要員14人が殺害されている。イランではインターネットが遮断されている。
ハメネイ師はテレビ演説で、ドナルド・トランプ米大統領が「あなたたちを支持する」とデモ隊に向けて発言したため、群衆が建物を破壊しているのだと非難した。
86歳になるハメネイ師は、「イスラム共和国は、何十万もの名誉ある人々の血によって権力を握った。これを否定する者に対して、共和国が後退することはないと、誰もが知るべきだ」と強調した。
トランプ氏はこの後、イランは「大変なことになっている」、「ほんの数週間前までは実際には無理だと思われていた都市を、国民が抑えるようになっているようだ」とホワイトハウスで記者団に述べた。
そのうえでトランプ氏は、もしもイラン当局がデモ参加者を殺害し始めるならアメリカは「(イランに)苦痛を与える場所を強力にたたく」と言う一方、アメリカの関与とは地上部隊派遣のことではないと話した。
通貨下落を発端としたイラン各地の反体制デモは13日目となり、近年で最大規模へと拡大した。イスラム共和国の終わりを求める声や、王政復古を求める声も上がっている。
人権団体によると、少なくともデモ参加者48人と治安要員14人が殺害されている。アメリカ拠点の人権活動家通信社(HRANA)によると、昨年12月28日にデモが始まって以来、デモに参加した48人が殺害されたほか、2277人以上が拘束された。
ノルウェー拠点のイラン人権(IHRNGO)によると、少なくとも51人のデモ参加者が殺害され、そのうち9人は子どもだったという。
BBCペルシア語は、22人の遺族と話し、身元を確認している。
イランの治安当局は9日、抗議参加者に警告を発した。国内の治安を担当するイラン国家安全保障会議は、デモ参加者を「武装した破壊者」「平和と治安を乱す者」と呼んだ。「軍の施設、治安機関、政府施設へのどのような攻撃」についても、「断固とした必要な法的措置を取る」と述べた。
別組織のイラン国家安全保障最高評議会(SNSC)はすでに、デモに対して「一切の寛容」も示さないと表明している。
さらに、イスラム革命防衛隊(IRGC)の情報部門は、「テロ行為」と呼ぶものを容認しないと述べ、「敵の計画を完全に打破するまで」作戦を継続すると主張した。
イランでは、インターネットが遮断されている。BBCなどほとんどの外国報道機関は、イラン国内での取材を禁じられている。
1979年のイスラム革命で追放されたかつての国王の息子で、現在は米首都ワシントン近郊で暮らすレザ・パーレヴィ氏は9日、トランプ大統領に対し、「イラン国民を助けるために介入する準備をしてほしい」と呼びかけた。同氏は、デモ参加者に対し8日と9日に街頭へ出るよう促していた。
こうした状況で英独仏の指導者は共同声明を出し、イラン治安部隊による暴力の報告を「深く懸念しており、デモ参加者の殺害を強く非難する」と述べた。
エマニュエル・マクロン仏大統領、キア・スターマー英首相、フリードリヒ・メルツ独首相は、「イラン当局には自国民を守る責任があり、自国民が報復の恐れなく表現の自由を行使し、平和的に集会することを認めなくてはならない」と述べた。
国連のステファン・デュジャリック報道官は、イランで大勢が命を落としているという報告を国連は憂慮していると述べた。「世界中のどこだろうと、人には平和的にデモを行う権利があり、政府にはその権利を保護し、尊重されるよう確保する責任がある」と報道官は強調した。
デモはイランの国内各地で行われている。BBCヴェリファイ(検証チーム)は67カ所の映像を確認した。
南東部ザヘダンで9日、金曜の礼拝後にデモ参加者が集まった様子の映像を、BBCペルシア語とBBCヴェリファイが検証した。
映像の一つでは、ハメネイ師を指して「独裁者に死を」と叫ぶ声が聞こえる。別の映像では、地元のモスク付近にデモ参加者が集まっている状況で、複数の大きな破裂音が聞こえる。
8日に撮影され検証された別の映像には、中部イスファハンにある国営放送IRIBの子会社事務所が燃えている様子が映っていた。火災の原因や負傷者の有無は不明。
BBCが受け取った8日夜の写真には、テヘランのカージ交差点で複数の車がひっくり返り燃えている様子も写っている。

画像提供, HANDOUT

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インターネット監視団体のクラウドフレアおよびネットブロックスなどによると、イランでは8日夜からほぼ完全にインターネットが遮断され、9日にわずかに通信が戻った状態。このため、イラン発の情報が減っていることになる。
イラン人権(IHRNGO)のマフムード・アミリ=モガッダム代表は声明で、「政府がデモ参加者に殺傷力を行使する範囲が拡大している。インターネット遮断後に暴力が激化し、抗議者の殺害が大々的に行われるリスクは極めて深刻だ」と述べた。
ノーベル平和賞受賞者のシリン・エバディ氏も、インターネット遮断中に「虐殺」が起きる可能性があると警告している。
BBCと連絡を取ることができた男性は、自分は南部シラーズにいると述べた。男性は、住民が食料や生活必需品を買いだめしようとスーパーに殺到しており、今後さらに悪い日々が来ると予想していると述べた。
インターネット遮断により、現金自動預払機(ATM)が使えず、店でデビットカードが使えないために支払い手段がない状態となっている。
人権NGO「ウィットネス(目撃者)」スタッフのマフサ・アリマルダニ氏は、3日夜以来家族と連絡が取れていないと、ロンドンでBBCに話した。
「情報が入手できないというのは、とても不安だ。愛する人が(デモに)参加したかどうか、無事かどうか分からない」と、同氏は話した。
イランのデモは昨年12月末、通貨下落にテヘランの商店主たちが反発したことを機に始まり、学生も参加するようになり、さらに幅広い人が参加する街頭デモへと広がった。
イランでこれ以前に続いた直近の大規模デモは2022年で、若いクルド人女性マフサ・アミニ氏が、髪の毛を覆うヒジャブを「不適切に」着用していたとして道徳警察に拘束された後、死亡したのがきっかけだった。人権団体によると、当時は数カ月で550人以上が殺害され、2万人が拘束された。
(追加取材:レハ・カンサラ、カスラ・ナジ、ソルーシュ・ネガフダリ)











