プーチン氏のマリウポリ訪問は「個人的」な意味 どんな場所を巡ったのか

ussian President Vladimir Putin (L) drives a car with Deputy Prime Minister Marat Khusnullin sat next to him

画像提供, EPA

画像説明, ロシアのプーチン大統領(左)はフスヌリン副首相を乗せた車を自ら運転してマリウポリ市内を巡ったとされる

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナ南東部の都市マリウポリを訪れ、自ら運転する車で市内を回った。BBCはそのルートの一部をたどった。

マリウポリは、ウクライナでの戦争の初期に、ロシア軍が包囲。壊滅的な損害を与え、昨年5月に制圧した。

ロシア政府によると、プーチン氏は18日夜にマリウポリを訪問。市内の視察を「自発的に」決めたという。車で移動する際には、ロシア軍が数カ月にわたって激しい攻撃を浴びせ続けた場所の近くを通った。

ロシア国営メディアは、その様子の映像を公開した。

マリウポリのウクライナ人市長で現在避難中のヴァディム・ボイチェンコ氏は、プーチン氏にとってマリウポリは「個人的」な意味がある場所になっているとBBCに話した。

「プーチンはマリウポリの街に激しい怒りをぶちまけており、彼にとって象徴的な場所であることを私たちは理解する必要がある。あれほど破壊された都市は他にない。これほど長い間、包囲された都市は他にない。じゅうたん爆撃された都市は他にない」

「彼は自分のしたことを確認しようと、自らやってきたのだ」

動画説明, プーチン氏はマリウポリ訪問で何を見たのか
Presentational white space

攻撃場所のそばを通過

BBCの分析では、プーチン氏は自ら車を運転してクプリナ通りを行き、ミュル通りに入って、フィルハーモニック・コンサートホールがある通りへと進んだ。

プーチン氏の隣には黒い帽子をかぶった男性が座っている。ロシアメディアは、同国のマラト・フスヌリン副首相だとしている。

ミュル通りを進んだ時、左手にかつて自由広場だった場所と鳥の彫刻が見えた。

さらに進むと右手に、第3産科病院がある。昨年3月に砲撃され、妊婦のマリアナ・ヴィシェジルスカヤさんが顔に血が付いた状態で破片が散らばる階段を降りる写真が、世界的な怒りを呼んだ現場だ。

彼女は一命を取り留め、翌日出産した。だが別の妊婦が死亡した。今回の映像にはこの病院は出てこない。

Map showing key sites Putin visited in Mariupol
Presentational white space

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この攻撃を戦争犯罪だとした。一方、ロンドンのロシア大使館は、病院としては使われておらず、ウクライナの国家警備隊に編入された、極右とつながりのあるアゾフ連隊のメンバーらによって使われていたと主張した。

プーチン氏は、劇場広場の手前でミュル通りから別の道路に入った。広場にあった劇場は大規模ミサイル攻撃で大破し、避難していた市民少なくとも300人、最大で600人が死亡したとされる。劇場の前の地面には「子どもたち」とロシア語で大きく書かれていた。

ロシアは攻撃を否定し、アゾフ大隊によるものだと主張した。

ボイチェンコ市長は、ロシアが「人の集中している場所を把握し、そこを意図的に破壊して人々を殺した。組織的にやっていた」と述べた。

ロシアが建てた集合住宅を視察

映像ではその後、プーチン氏は市西部ネフスキー地区にあるとされる新たな集合住宅を歩いて見て回った。再建工事の図面を見たり、住民とされる人々と話したりし、3部屋あるという住居を訪れた。

ボイチェンコ市長によると、ロシアが建設した建物の多くは市郊外にあるという。「ロシアは自分たちの主張が真実だと証明するためだけに、この住宅を建てた。だが、それはうそだ。ロシアはこの街を解放するために来たとうそをついている。ロシアは破壊した。この街はもう存在しない。復興には20年かかる」。

Russian President Vladimir Putin listens to Deputy Prime Minister Marat Khusnullin outside residential block in Mariupol

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画像説明, マリウポリの集合住宅前でロシアのフスヌリン副首相の説明を聞くプーチン大統領

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マリウポリの住民らはこれまでBBCの取材で、市内では新たな建物の建設と、ロシア軍の攻撃で損傷した建物の撤去が進められていると話した。国連はロシア軍の猛攻で、住宅の90%が損傷または破壊されたと推定している。

コンサートホール内を歩く

映像では、プーチン氏がフィルハーモニック・コンサートホールとされる施設内を歩いている場面も出てくる。BBCは、内部の仕様が同ホールと一致することを確認した。

この建物は、マリウポリ市内の巨大なアゾフスタリ製鉄所にこもって数カ月間、ロシア軍に抵抗したウクライナ兵らの裁判に使われる見通しだとして、国連が警告を発したものだ。

Russia's President Vladimir Putin (R) speaks with Deputy Prime Minister Marat Khusnullin while they sit in The Mariupol Philarmonic Theatre

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画像説明, マリウポリのフィルハーモニック・コンサートホールで座席に腰を下ろしたプーチン氏(右)とフスヌリン氏
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昨年8月にソーシャルメディアに投稿された画像(ウクライナ当局によるものも含む)では、ステージ上に金属製のおりが作られている様子がうかがえた。国連は、敵対行為に加わったとして戦争捕虜を訴追するのは戦争犯罪だとしている。

ただ、実際には裁判は開かれなかった。捕虜たちはその後、ウクライナ側が捕らえていた捕虜55人と交換されためだ。

最新の映像では、ホール内部は改装され、おりがなくなっている。

マリウポリが包囲されていた当時、このホールは劇場と同様、市民の避難場所として使われた。ボイチェンコ市長によると、「人々は地下に身を隠し、ロシアの恐怖が過ぎ去るのを待っていた」。

侵攻前は、クラシック音楽の祭典「マリウポリ・クラシック」の会場だった。ボイチェンコ市長は、市民にとっての大きな祭典で、外国やウクライナ各地から演奏家が集まっていたと説明した。

映像ではその後、プーチン氏が第2次世界大戦の記念碑を訪れている。この記念碑は、ソヴィエト連邦軍がナチス・ドイツからマリウポリを奪還したのを記念して建てられた。