ロシアがマリウポリの劇場解体開始、民間人多数死亡の「犯罪行為隠ぺい」=市長側近

ロシア軍に占領されたウクライナ南東部マリウポリで、ロシア当局が廃墟となった劇場の解体を始めたことが明らかになった。ロシアによって追放されたマリウポリ市長の側近が語った。
ロシア軍は3月、市民の避難所になっていた劇場を空爆した。追放されたマリウポリ市長の側近ペトロ・アンドリュシチェンコ氏は、市民数百人が空爆で死亡した事実を、ロシア側の占領当局が隠ぺいしようとしていると非難した。
この劇場をめぐっては、劇場跡地を取り囲むように大きな防護幕が設置されているのが確認されていた。防護幕にはロシアの文化人の画像があしらわれていた。
メッセージアプリ・テレグラムに投稿された動画には、ブルドーザーが建物の裏側の一部を壊している様子が映っている。
アンドリュシチェンコ氏は、ロシアは劇場の正面をそのまま残し、残りの部分を破壊して「マリウポリ市民の骨の上に」新しい劇場を建設する計画だと指摘した。
マリウポリの劇場は、2月の侵攻開始以前は街の中心的存在だった。
マリウポリとドネツク州の占領地域を管轄するロシア側の当局は、マリウポリに残る住民に対し、代わりの娯楽を提供すると約束した。1960年代のソ連で人気を博したミュージカル「ブレーメンの音楽隊」を、復活上演するという。
この公演は、ロシア軍が爆撃した劇場ではなく、1キロ以上離れた場所にあるピオネール宮殿で行われる。1年前にマリウポリで行われた華やかな新年の祝賀行事とは、まったくかけ離れたものとなる。

画像提供, Maxar Technologies
今月初め、AP通信のジャーナリストたちは、衛星画像をもとに、マリウポリ市内の埋葬地に新たに1万300の墓が掘られたと推定した。
BBCは11月、ロシア当局が破壊された建物から死体を運び出し、埋葬しているとの目撃証言を報じた。ウクライナ当局はマリウポリでの戦闘で2万5000人が命を落としたとみている。
ロシアは侵攻開始直後の2月末からマリウポリを包囲し、数カ月かけて同市を掌握した。市内のアゾフスタリ製鉄所に残っていた数百人のウクライナ人戦闘員は5月に投降した。
この2カ月前の3月16日午前10時頃、ロシア軍機が500キロ爆弾2発を劇場に投下したと、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは報告。明確な戦争犯罪だと非難した。
当時、劇場は民間人の避難場所となっており、劇場前の地面にはロシア語で大きく「子どもたち」と書かれてあった。
劇場内には約1200人がおり、ウクライナ当局は300人が死亡したとみている。一方でAP通信の調査では600人近くが死亡したとされる。遺体の多くは劇場の地下で見つかった。

画像提供, Reuters











