ロシア軍、ウクライナ・マリウポリの製鉄所で勝利宣言

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ロシア軍は20日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリでウクライナの部隊が立てこもっていたアゾフスタリ製鉄所で、全面勝利を宣言した。最後まで残っていたウクライナ兵士が投降したという。2月末の軍事侵攻開始から間もなく、多くの市民が製鉄所の広大な地下トンネルや地下壕に避難したほか、多くの兵士が立てこもっていた。ロシア軍の徹底的な攻撃により、マリウポリの街は完全に破壊された。
ロシア国防省は、製鉄所に最後まで残っていたウクライナ兵531人が投降したため、マリウポリと製鉄所は「完全に解放」されたと声明を出し、「武装勢力が隠れていた(製鉄所の)地下施設を、ロシア軍が完全制圧した」と述べた。
ロシア当局によると、20日までに製鉄所から投降したウクライナの戦闘員は計2439人に上る。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこれに先立ち同日、「彼らは今晩、施設を出て自分の命を救ってもよいと、軍司令部から明確な合図を受け取った」と、テレビ演説した。

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旧ソ連時代に核攻撃にも耐えられるよう造られた広大なアゾフスタリ製鉄所については、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が4月21日に徹底封鎖を命令した。製鉄所内には女性や子供、高齢者など多くの民間人が避難し、立ち往生していた。ロシア軍は人道援助物資が製鉄所内に入るのを阻止し、空爆を続け、立てこもる兵士の投降を要求し続けた。
国連と赤十字国際委員会(ICRC)の支援を受けて民間人の避難が数回に分けて実施され、今月7日にはロシアとウクライナの両政府が、製鉄所から民間人の避難は完了したと発表した。

民間人以外で製鉄所内に立てこもっていた数百人は、海兵隊や国境警備隊、警察、地域防衛部隊、ウクライナ国家警備隊(アゾフ連隊を含む)の兵士たちだった。食料の備蓄が底をつき、水もなくなる中、日の光の届かない地下トンネルなどで数週間、暮らし続けた。
指揮官たちによると、負傷兵は全員がロシア軍のバスや救急車で搬送されたという。
ロシア軍は2月下旬の開戦当初から、マリウポリを徹底的に攻撃し続けた。ロシアにとっては、マリウポリを押さえれば、ウクライナ南岸全体の掌握が容易になる。そうすれば、親ロシアの分離独立派が実効支配するウクライナ東部のドネツクおよびルハンスクと、ロシアが2014年に併合したクリミアが陸続きになる。加えて、ウクライナの西の隣国モルドヴァでロシア系住民が分離を宣言しているトランスニストリア地域にも、接近しやすくなる。

ウクライナ兵の行方は
ロシア当局は、20日に製鉄所で投降したウクライナ兵がどこへ運ばれたか明らかにしていない。しかしこれまでに投降した兵士たちは、ロシア支配地域に送られている。
ロシア国防省が公表した動画では、行列する非武装の男たちが製鉄所の外でロシア兵に近づき、それぞれ名前を告げる様子が映っている。映像では、ロシア兵がウクライナ兵1人1人とその持ち物を慎重に検査している。
ウクライナ当局は、投降した兵士たちの釈放を、捕虜交換によって確保したい意向だが、ロシア側はこれに応じるか確答していない。

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プーチン大統領は、投降兵は「該当の国際法に準じて」扱うと述べているものの、ロシアの管轄下にとどまった場合にどのような扱いを受けるのか、懸念が生じている。
ロシアの国会議員たちは17日、アゾフ連隊の兵士を「ナチスの犯罪者」と宣言し、捕虜交換合意に含めないよう求める計画を提示した。加えて、ロシア検事総長事務所は連邦最高裁に、アゾフ連隊を「テロ組織」認定するよう要請している。これも、同連隊の兵士に、通常の戦争捕虜としての扱いを認めないための措置とみられている。
民兵組織として2014年に発足したアゾフ連隊は、現在は国家警備隊の一部だが、かつては極右とのつながりがあった。








