ウクライナ、製鉄所内の兵士救出に「あらゆる手を尽くす」 ロシアは兵士を尋問へ

A photo purportedly showing Ukrainian soldiers being escorted in buses from Mariupol under a pro-Russian military escort. Photo: 17 May 2022

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画像説明, ウクライナ兵が乗ったバスが親ロシア派に先導されているとされる画像(17日撮影)。ウクライナ・マリウポリでは17日、少なくとも7台のバスがアゾフスタリ製鉄所を出発し、ロシアの支援を受ける分離主義者が支配する村に到着したのが目撃されたと、ロイター通信は伝えた

ウクライナ国防省のハンナ・マリャル次官は17日、南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に取り残されているウクライナ側の戦闘員を救うため、同国として「可能なことも不可能なことも全て」行っていると述べた。また、製鉄所に残る兵士の数は把握しているが、「機密情報」だと強調した。一方、ロシアの検察当局は、前日に製鉄所を退避したウクライナ兵全員を尋問すると発表した。

ウクライナのマリャル国防次官は、首都キーウでの記者会見で、製鉄所内に何人のウクライナ側の戦闘員がいるのかとの質問に、「我々はその数を知っている」と答えるにとどめた。

「我々は救出作戦の規模は理解しているが、これは機密情報でもある。救出作戦が完了するまでは公表しない」

マリャル氏はさらに、戦闘員たちは「我々の英雄」だとした。そして、製鉄所の「軍事的解放」は不可能であり、この救出作戦が彼らを救う唯一の方法だと強調した。

ロシア、ウクライナ兵を尋問へ

アゾフスタリ製鉄所は広さ約10平方キロと広大で、核戦争に耐えられるように設計された、迷路のように入り組んだトンネルが張り巡らされている。

16日には、製鉄所に取り残されていたウクライナ兵の一部が退避し、ロシアの支配下にある2つの地域に移された。ウクライナ国防省によると、救出されたウクライナ兵264人の多くは重傷を負っている。

A picture purportedly showing a wounded Ukrainian soldiers from the besieged Azovstal steelworks in Mariupol is transported on a stretcher out of a bus in Novoazovsk, a town held by Russian-backed rebels. Photo: 16 May 2022

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画像説明, アゾフスタリ製鉄所を退避したウクライナの負傷兵がロシア支配下のノヴォアゾフスクに到着し、担架で運ばれているとされる画像(16日撮影)

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ロイター通信によると、翌17日にはさらに7台のバスが製鉄所を出発したのが目撃された。車列はその後、親ロシア派の支配下にあるオレニウカに到着したという。

ロシアの検察当局は、ロシア政府が「ドンバス市民に対するウクライナ政府の犯罪」とする事件の捜査の一環として、ウクライナ兵全員を尋問すると発表した。

ウクライナ側は兵士の退避をめぐるロシアとの合意の一環として、最後までマリウポリを守り続けた部隊とロシア兵捕虜の交換を望んでいる。

ロシア軍が3月初めにマリウポリを包囲して以降、製鉄所内には海兵隊や国家警備隊(アゾフ大隊などを含む)、国境警備隊、警察、領土防衛隊で構成される数百人規模のウクライナ兵と、幼い子供を連れた多数の民間人らが身を潜めていた。

今月初めには、数百人の民間人が製鉄所からロシアの支配地域やウクライナの支配地域へ避難した。

動画説明, ウクライナ負傷兵、マリウポリ製鉄所から退避 ロシア支配地域に到着

捕虜交換の実現は

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、毎晩定例の動画演説の中で、ウクライナ軍や情報機関、交渉チーム、赤十字国際委員会、国連が救出作戦に関わっていることを明らかにした。

そして、「ウクライナにとって、ウクライナの英雄たちが生きている必要がある。そのことを強調しておきたい」と述べた。

一方で、ウクライナ部隊がすぐには解放されない可能性があるとし、解放に向けた交渉には「慎重さと時間」が求められると警告した。

ウクライナ議会のレシア・ヴァシレンコ議員はBBCに対し、赤十字と国連の助けを借りてロシアとの間で合意を成立させ、兵士が交換されることが不可欠だと語った。そうでなければ「この非常に勇敢な男たちの運命は全くわからなくなる。彼らの運命がロシアの手に渡れば理想的な状況からはかけ離れることになる」とした。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、製鉄所から避難したウクライナ兵は「関連する国際法に沿って」扱われるだろうと述べた。

しかし、ロシア議会では17日、ウクライナのアゾフ大隊戦闘員について、ウクライナとの捕虜交換に加えてはならない「ナチスの犯罪者」だと宣言する計画が提示された。

アゾフ大隊は2014年にボランティア民兵として結成された。かつては極右とのつながりがあったが、現在は国家警備隊の一員となっている。

ウクライナとロシアは17日、和平交渉が現在停滞していることを認め、互いを非難した。