ロシアの侵攻「失速」とNATO事務総長 ロシアは当初の地上戦力の3割失ったと英政府

A Ukrainian soldier stands next to a destroyed Russian tank

画像提供, Reuters

画像説明, 破壊したロシア軍戦車のそばに立つウクライナ兵士。ロシア軍はウクライナ側の抵抗に備えができていなかったとされる

北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は15日、ロシアによるウクライナ侵攻は計画通りには進んでおらず、東部ドンバス地方を占領しようとするロシアの作戦は「失速」しているとの見方を示した。英国防省は同日、ロシアが2月の開戦時に投入した地上戦力の約3割を失ったとの見方を示した。

「ロシアは戦略目標を達成できていない」

ストルテンベルグ氏はこの日、NATO外相会合で演説。今回の紛争で、ウクライナが勝利する可能性があると述べた。

ストルテンベルグ氏は、「ロシアのウクライナでの戦争は、ロシア政府の計画通りには進んでいない」、「ロシアはキーウを制圧できず、ハルキウ周辺から撤退し、ドンバスでの大規模攻勢は停滞している。ロシアは戦略目標を達成できていない」との認識を示した。

<関連記事>

Presentational white space

ロシアによる侵攻は、ウクライナの激しい抵抗と物資補給などの問題により、進展が妨げられている。

ロシアは当初、ウクライナ全土の制圧と、ウクライナ政府の転覆を目標にしているとみられていた。しかし、ロシア軍は首都キーウを攻略できず、周辺地域から撤退。4月中旬以降は東部2州に戦力を集中させている。

ウクライナ当局によると、ウクライナ第2の都市ハルキウではロシア軍が国境から撤退し、住民が戻りつつある。

ロシアは今回のウクライナ侵攻で、軍事的挫折を味わったことに加え、NATOの拡大に直面する可能性も高い。スウェーデンとフィンランドが現在、NATO加盟へと動いている

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、NATOを自国の安全保障上の脅威とみなしている。そもそもウクライナのNATO加盟を阻止するのが、同国を侵攻した目的の一部だった。

動画説明, 【解説】 フィンランドはNATOに加盟するのか、ロシアの反応は?
Presentational white space

ロシア軍は「地上戦力の3分の1を喪失」=英国防省

英国防省は15日、定例の最新戦況分析で、ロシアが2月の開戦時に投入した地上戦力の約3分の1を失ったとの推定を明らかにした。死傷した兵士や、破壊または奪取された兵器から、ロシアの損失を推し測った。

国防省はまた、ドンバス地方でのロシアの攻勢について、「勢いを失い、予定より大幅に遅れた」とした。

さらに、ロシア軍は「士気の低下と戦闘効率の低下が続いている」として、「こうした能力の多くは素早く補充あるいは再編できないため、おそらく今後もウクライナでのロシアの作戦行動を妨げる」ことになると予測した。

こうしたことから国防省は、「現状ではロシアはおそらく今後30日間は進軍ペースを劇的に加速させないだろう」と指摘した。

リズ・トラス英外相は、ウクライナが「ロシアを追い出す」のを助けるため、ウクライナ側に立つ国々は軍事支援を続けなくてはならないと述べた。

ウクライナ各地では

ハルキウ州のオレフ・シニエフボフ知事は、ウクライナ軍が同州イジュームで反撃に出ていると説明。ロシアのドンバス占領計画が難しくなっている可能性があるとした。

一方、ウクライナ軍も最新の状況説明で、後退があったことを認めた。ロシアがドンバス地方のいくつかの地域で進軍しているとした。

南部マリウポリでは、ウクライナ部隊が残るアゾフスタリ製鉄所に対するロシア軍の爆撃が続いている。製鉄所内で撮影されたとされる動画には、携帯電話をチェックしたり、チェスに興じたりする男性たちが映っていた。

ウクライナ西部のリヴィウ州の知事は、州内の軍事インフラを狙ったミサイル攻撃があったと述べた。