避難所の劇場を空爆、停戦協議は継続 ウクライナ侵攻21日目

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ロシアによるウクライナ侵攻21日目の16日、停戦に向けた双方による協議が続けられたが、大きな進展には至らなかった。その間もロシア軍による爆撃は続き、多数の民間人が避難していた施設にも大きな被害が出た。
停戦協議に「現実味」
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、ロシアとの停戦協議について、「現実味が増してきた」と話した。
一方、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相も、「歩み寄りへの望み」があるとした。ただ、協議は「簡単ではない」とした。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は16日午前、ロシアは和平協定を結ぶ可能性があるとした。ただ、ウクライナはオーストリアやスウェーデンのような中立的な立場で、独自の陸軍と海軍を維持しなければならないとした。
これに対し、停戦協議に参加しているウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、ウクライナの主権維持が必須で、提案は受け入れられないと主張。
「ウクライナは現在、ロシアと直接の戦争状態にある」、「そのため、『ウクライナ』モデルしかあり得ず、法的裏付けのある安全の保証が確保されなくてはならない。それ以外のモデルや選択肢はない」と、現地メディアに述べた。
オンライン形式の停戦協議は17日も継続される。
民間人の被害が拡大
ウクライナ南部の港湾都市マリウポリでは、16日もロシアの爆撃が続いた。甚大な被害が出ている模様。
市当局などによると、約1200人が避難している市中心部の劇場をロシア軍が空爆。当局者は、意図的に狙った攻撃だったと述べた。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、「またしても、新たなおぞましい戦争犯罪」だと非難。ロシアは、劇場が民間人の避難場所になっていることを知っていたはずだと述べた。
一方、ロシア国防省は、劇場を攻撃していないと主張した。
マリウポリでは侵攻開始以降、少なくとも2400人が死亡したと、市当局は推定している。遺体の多くは集団墓地に埋葬されているという。
市内には推定30万人が身動きが取れない状態になっている。水や電気、ガスなどは使えず、飲み水や食料が不足している状態が続いている。

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首都キーウ(キエフ)では16日早朝、高層住宅2棟がロシア軍の砲撃を受け、2人が負傷した。
キーウでは2日間にわたる外出禁止令が出されており、住民らは地下などに避難している。ヴィタリー・クリチコ市長は、首都が「困難で危険な瞬間」を迎えていると述べた。
第2の都市ハルキウ(ハリコフ)では、ロシア軍の砲撃が集合住宅を直撃。緊急対応当局によると、2人が死亡した。
北部チェルニヒウの警察によると、16日午前10時ごろ、市内の高層ビルが砲撃を受けて倒壊。パンを買い求めるために列を作っていた少なくとも13人が死亡した。負傷者も多数出ているという。
ロシア将官に4人目の戦死者か
ウクライナのゼレンスキー大統領は、同国軍がロシア軍の将官を殺害したと述べた。同軍の将官の死者は4人目だとした。
ゼレンスキー氏は死者を特定しなかったが、政府補佐官は、オレグ・ミチャエフ少将だとした。
事実と確認されれば、ウクライナ侵攻を指揮しているロシア軍の将官約20人の5分の1が戦死したことになる。
米国防当局者によると、ロシアの進軍は全般的に停滞している。ウクライナ国外からの代替部隊をどの程度投入する必要があるのか、検討しているようだという。
プーチン氏を「戦犯」とバイデン氏
アメリカのジョー・バイデン大統領は16日、ロシアのプーチン大統領を初めて「戦争犯罪人」と呼んだ。
バイデン大統領はこれまで、戦争犯罪人という言葉の使用を避けてきた。しかしこの日、ホワイトハウスで記者団に、「彼は戦争犯罪人だと思う」と述べた。
ロシアのタス通信によると、ロシア政府はこのコメントについて、「容認できない暴言」だとした。
ウクライナはハーグの国際司法裁判所(ICJ)に対し、ロシアを戦争犯罪の疑いで捜査するよう求めている。
ホワイトハウスは同日、8億ドル(約950億円)規模の武器供与追加を発表。アメリカのウクライナ支援はこれで10億ドルに達した。追加供与される武器には、携帯型地対空ミサイル「スティンガー」800基、対戦車ミサイル「ジャヴェリン」基、AT4携行対戦車システム6000基、戦術ドローンシステム100基、グレネードランチャー100門のほか、ライフル銃5000丁や機関銃400丁、ショットガン400兆、弾薬2000万発、ボディアーマー(全身防護服)2万5000個、ヘルメット2万5000個などが含まれる。
バイデン氏は、「この悲劇的で不必要な戦争を終わらせるため、できることは何でもする」と話した。
ゼレンスキー氏が米議会に向け演説
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、米下院に向けてオンライン演説をした。
ゼレンスキー氏は、真珠湾攻撃と米同時多発攻撃に言及し、「同じことを私たちの国は毎日、毎晩、3週間経験している」と説明。
西側の追加支援が必要だとし、ロシアの空爆を止めるため、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設定するよう求めた。
演説のほとんどはウクライナ語だったが、ゼレンスキー氏は最後に英語で、バイデン大統領にこう語りかけた。
「あなたはあなたの国のリーダーだ。世界のリーダーにもなってもらいたい。世界のリーダーであることは、平和のリーダであることだ」
拉致された市長が解放
ロシア軍に11日に拉致されたと報じられていた、南部メリトポリのイヴァン・フェドロウ市長が16日、解放された。
ウクライナ大統領補佐官によると、ロシア兵の捕虜9人との交換で合意したという。
オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は16日、ロシアに対し、ウクライナでの軍事作戦を即時停止するよう命じた。
また、ロシアとウクライナの双方に対し、対立を悪化させたり、解決を困難にさせたりする行動を避けるよう求めた。
ロシアに対しては、進捗状況の報告は命じなかった。たが、ロシアは国際的な法的義務により、命令に従う必要がある。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、「全面的な勝利」だと主張。ロシアが無視すれば、孤立を深めることになると述べた。









