停戦協議は中断、マリウポリから一部住民が避難 ウクライナ侵攻19日目

動画説明, マリウポリのドローン映像。砲撃の被害の状況がわかる

ロシアによるウクライナ侵攻19日目の14日、ロシア軍の攻撃は続き、首都や近郊などで死傷者が出た。南東部マリウポリでは初めて、民間人の一部が事前合意された避難ルートに沿って市外に脱出した。両国は4回目の停戦協議をオンラインで開いたが、15日まで中断となった。

首都などで民間人に死者

ロシアの侵攻は数カ所で進んでいる。

ウクライナは予想されたより強力な抵抗をみせているが、ロシア軍は南部で占領地を拡大し続けている。首都キーウ(キエフ)に向けても徐々に前進している。

キーウのクレニヴカ地区ではミサイルの破片が道路に落下し、1人が死亡、6人が負傷した。ヴィタリー・クリチコ市長によると、ウクライナ防空システムが破壊したミサイルの破片だったという。

一方、キーウ近郊イルピンのオレクサンドル・マルクシン市長は、市内全域で「非常に激しい砲撃と爆撃が続いている」と、通訳を通してBBCに話した。ロシア軍は学校や住宅地、民家、文化財などを攻撃しているという。

市長はまた、避難は日々続いているが、危険と隣り合わせだと説明。避難活動に参加したところ、「私の50メートル前にいた子ども2人と夫婦の家族が地雷で死んだ」とし、ロシア軍は民間人に向けて発砲していると非難した。

北部リウネ州の当局者は、通信塔がミサイル攻撃を受け、少なくも9人が死亡、9人が負傷したと明らかにした。

同州のヴィタリ・コヴァル知事は、アントピ村にある電波塔と、付近の管理施設がミサイル2発で攻撃されたと説明。「がれきの下にまだ人がいる」と話した。現地メディアは、テレビとラジオの地上波放送が同州で遮断されたと伝えた。

Site of Old Hem pub in Kharkiv

画像提供, Unknown

画像説明, ハルキウでは由緒あるパブが入っていた建物が砲撃で破壊された(14日)

こうした中、アメリカの国防当局幹部は、ロシア軍のほぼすべてで進軍が滞っているとの見方を示した。ウクライナの抵抗による部分が大きいという。

この幹部によると、ロシア軍はキーウに向けて目立った前進をしておらず、同市の北西に位置するホストメル空港周辺で停滞している。

また、車両50~60台が、ハルキウ(ハリコフ)南東のイジュムに向けて移動しているという。ただ、ロシア軍の部隊増強の動きを示すものは、今のところないとしている。

停戦協議は15日まで中断

停戦に向けたロシアとウクライナの4回目の協議が14日、オンラインで開かれた。

ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、双方がそれぞれの立場を明確にしたとした。協議前にはウクライナとして、停戦の確立とロシア軍の撤退、ウクライナの安全の保証を求めるとしていた。

ポドリャク氏はその後、個々の言葉の明確化などのため、協議は15日まで「技術的な休止」を取っているとし、その後に継続されるとツイートした。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、フェイスブックにビデオ演説を投稿。協議が「けっこういい感じ」で続いていると報告を受けていると述べた。

「様子を見ましょう。(交渉は)明日も続きます」と大統領は話した。

一方、ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は14日、ウラジーミル・プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳協議について、ウクライナ側からまだ要請を受けていないと述べた。ペスコフ氏は先に、両首脳が協議する可能性は排除されていないと話していた。

ゼレンスキー氏はこれまで、戦争を終わらせる唯一の方法だとして、プーチン氏との直接交渉を求めてきた。

ロシアメディアによると、ペスコフ氏は、プーチン氏とアメリカのジョー・バイデン大統領との協議は検討されていないと述べた。

「4000人超が避難」

ウクライナのイリーナ・ヴェレシチューク副首相は、前線となっている数都市から14日、4000人以上の民間人が無事避難したと述べた。

副首相はビデオ声明で、人道回廊の7ルートで避難が実施されたと説明。一方で、別の3ルートでは実施できなかったと述べた。

また、首都キーウ周辺で、ロシア軍が避難する民間人に向けて発砲していると非難した。

ロシアは、民間の避難者は標的にしていないと繰り返し主張している。

マリウポリの人道危機

主要港湾都市のマリウポリは、ロシア軍の砲撃が2週間近く続いており、人道危機に直面している。食料、水、医薬品が底をつきつつあり、外部との通信がほぼ遮断されている。

これまで何度か、民間人の市外避難で合意が形成されたが、そのたび短時間で破られてきた。

しかし14日は、市民らの車160台が市外に出て、北西方向にある比較的安全なザポリッジャ(ザポロジエ)に向かったと、マリウポリ市議会が明らかにした。

マリウポリの破壊の状況は、ドローン映像で明らかになった。集合住宅群が爆撃で焼け果て、がれきから煙が上がっていた。

妊婦と赤ちゃんが死亡

先週、ロシア軍がマリウポリに放った爆弾が産科病院に直撃した。破壊された建物から妊娠中の女性2人が逃げ出す衝撃的な写真が、世界中に広まった。

だがBBCは14日、女性のうち1人が死亡したとの情報を得た。おなかの赤ちゃんも帝王切開で死産が確認されたという。

外科医ティムール・マリン氏がAP通信に語ったところでは、赤ちゃんに生存の兆候がなかったため母親に集中したが、救うことができなかったという。

集団墓地

マリウポリのセルヒイ・オルロフ副市長は、民間人の死体が増え続ける状況への対策として、市内数カ所で埋葬用の穴が掘られていると、BBCに述べた。

副市長によると、市の清掃員や道路補修員らが路上の死体を収容している。ウクライナの大統領顧問は、戦争が始まってからのマリウポリの死者は2500人を超えているとしている。

BBCは、ウクライナ国内の別の自治体の職員らからも同様の話を聞いている。キーウ近郊の町ブチャでは、集団墓地に死体60体以上が埋められたとされる。

The aftermath of Russian artillery shelling on a residential area in Mariupol, 10 March

画像提供, Reuters/Armed Forces of Ukraine

画像説明, マリウポリの住宅地は砲撃で大きな被害を受けた(10日)

米国が中国に警告

ロシアが中国に軍事支援を要請したと複数の米メディアが報じたことを受け、アメリカは中国に対し、ロシアの制裁回避を支援すれば重大な結果を招くことになると警告。

一方、中国外務省はアメリカが偽情報を流していると非難し、ロシアも中国に軍事支援の要請はしていないとした。

超大国の間で緊張が高まる中、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は14日、紛争のこれ以上の悪化は「全人類の脅威になる」と警告。核紛争が「今や再び現実味を帯びている」とした。

Vladimir Putin and Xi Jinping

画像提供, Getty Images

画像説明, ロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席

新興財閥の豪邸が標的に

ウクライナ侵攻で、ロシアの富豪が所有する世界各地の豪邸に注目が集まっている。富豪の多くは、ウラジーミル・プーチン大統領と盟友関係にある。

英ロンドン中心部では14日、エネルギー業界の大物オレグ・デリパスカ氏の所有とみられる豪邸のバルコニーに、抗議者たちがよじ登った。同氏はロシアのウクライナ侵攻に絡み、英政府の制裁対象となっている。

抗議者らは、国外に逃れたウクライナ難民のために建物を回収していると主張した。

英首相報道官によると、制裁の対象となったオリガルヒ(新興財閥)の所有物を難民収容に利用できるか、政府で検討しているという。ただ、利用には新たな法律が必要だとみられている。

Met Police watch protesters occupying a building in Belgravia

画像提供, Jennifer McKiernan

画像説明, ロシアの富豪オレグ・デリパスカ氏の所有とみられるロンドンの豪邸のバルコニーに、抗議者たちがよじ登った

ロシア国営テレビのスタジオで抗議

ロシア国営テレビで14日夜、ニュース番組の生放送中、テレビ局の関係者が「戦争反対」のプラカードを掲げた

国営テレビ「チャンネル1」の夜のニュース番組の生放送中、原稿を読むアナウンサーの後ろで、女性が「戦争反対。戦争止めろ。プロパガンダを信じないで。ここの人たちは皆さんにうそをついている」と書かれたプラカードを掲げ、「戦争反対! 戦争を止めて!」と声を上げた。

この女性は、「チャンネル1」の編集者、マリナ・オフシャニコワさんだとされている。現在は、警察に拘束されているとみられている。

オフシャニコワさんが反戦メッセージを掲げて間もなく、番組の映像はスタジオ内から、録画映像に切り替わった。

ロシアのテレビニュースは政府に厳しく統制されており、ウクライナ侵攻については「特別軍事作戦」と呼ぶ公式見解しか報道していない。

この抗議行動の前に、オフシャニコワさんは動画メッセージを録画その中で、ウクライナで起きていることは「犯罪」で、侵略者はロシア、責任はウラジーミル・プーチン大統領1人にあると発言。

「テレビ画面からうそをつくことを、自分に許していたのが恥ずかしい。ロシア人をゾンビにしてしまった自分が、恥ずかしい」と、オフシャニコワさんは言い、「この狂気を止められる」のはロシア国民だけだとして、戦争に反対するよう呼びかけた。