スーナク氏、英首相としてどんなことをするのか

Rishi Sunak

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イギリスでリシ・スーナク元財務相が与党・保守党の党首選で勝利し、リズ・トラス首相の後任の首相になることが決まった。どんな政策を進めていくことになるのか。

スーナク氏は4日間という短期の党首選の期間中、政策公約を一切明らかにせず、演説をすることも、メディアのインタビューにも応じることもなかった。

そのため、今年夏にあった前回の党首選で語ったことが、同氏の政策を最もよく表していることになる。当時はボリス・ジョンソン氏の後任が争われ、スーナク氏はトラス氏に敗れた。

トラス氏が首相に就任して波乱に満ちた6週間が過ぎた現在、スーナク氏が掲げていた政策には大きな疑問符もつけられている。それらのいくつかを以下にみていく。

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減税や政府の借金をめぐる発言

Pound notes and coins

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スーナク氏は夏の党首選で、トラス氏が主張した即時の減税を「おとぎ話」の経済学だと一刀両断にし、インフレを押し上げるとした。

スーナク氏は当時、トラス氏の政策では政府の借り入れコストが上昇すると警告。この警告は、トラス政権が9月に減税策など「ミニ・バジェット」(小さな予算)を打ち出し、金融市場が混乱すると、再び発せられるようになった。

スーナク氏は、長期的には減税が望ましいと述べたが、まずはインフレの抑制を優先すべきだとした。

財務相だった時には、国民保険料を1.25%引き上げた。医療費の財源確保に必要なことだったと、夏の党首選では主張した。

この引き上げは、トラス政権のミニ・バジェットにより、来月6日に撤回される予定。スーナク氏は、このまま撤回するのか明言していない。

スーナク氏はまた、法人税を来年4月に19%から25%に引き上げると、財務相として約束した。これは、トラス氏が減税策のほとんどを撤回したことを受け、現在も予定されている。

スーナク氏は、所得税については唯一、減税を約束。基本税率を4%引き下げる方針を掲げていた。

これには2024年4月の1%の引き下げが含まれていた。トラス氏はこれを1年前倒しして実施しようとしたが、ミニ・バジェットを撤回させたことで、前倒し計画は消滅した。

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エネルギーや気候変動に関する公約

Electricity pylons

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夏の党首選の後半の数週間は、高騰するエネルギー料金から家庭や企業をどう守るかが議論の中心となった。

スーナク氏は、国内のエネルギー料金にかかる付加価値税を1年間廃止するとした。これは財務相時代に反対した政策だった。同氏はまた、弱者救済のために巨額を投じると述べた。

しかし、政権を握ったトラス氏は、家庭と企業の両方にエネルギー料金の上限を設定する制度を導入した。この政策には毎月100億ポンドのコストがかかると予測されている。

同制度は当初2年間実施される予定だった。だが、ミニ・バジェットがUターンとなり、来年4月に見直されることになった。

この制度を縮小するか、完全に別のものに替えるかは、スーナク氏が首相として決断を迫られる最大の問題の1つだ。

スーナク氏は夏の間、エネルギー節約のために今冬のエネルギー配給制は実施しないとしたトラス氏には同調しなかった。

しかし、「私たちの最良の農地」にソーラーパネルを設置することをめぐっては、トラス氏と同じく反対の立場を取った。シェールガス採掘のフラッキング(水圧破砕法)については、地元住民が賛成なら支持すると述べた。

2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするというイギリスの目標については、スーナク氏は達成を目指すと述べた。

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NHSや医療についての見解

Ambulances

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夏の党首選では、医療政策は重要な争点にはならなかった。ただ、スーナク氏は重要な公約をいくつか発表した。

その1つに、病院での受診まで1年待ちの状態を2024年9月までに解消するというものがあった。イングランドでは来年までに、緊急でない治療を待つ人の数を減少させるとした。

大通りの空き店舗を利用するなどして、病院外の「診断拠点」を増やすことで、これを実現すると約束した。

また、無駄を減らすためとして、一般開業医(GP)や病院の予約をすっぽかした人には10ポンドの罰金を科すとした。

さらに、歯科医のNHS契約を改革し、年間30億ポンドのNHS歯科予算を確保すると公約した。

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その他の公約

夏の党首選でスーナク氏は、移民問題に関しても多くの公約を発表した。イギリスへの亡命者の一部をルワンダに送るという、物議を醸している政策については、維持するとした。

また、イギリスの難民受け入れに年間の上限を設けることや、亡命の資格基準の厳格化、イギリスに渡った人の帰国を認めない国への援助の停止も公約に掲げた。

スーナク氏はトラス氏と異なり、国防費を2030年までに国内総生産(GDP)比3%に引き上げるとは約束していない。これまで、現在の目標の2%を下限としたい考えを示している。

もう1つの重要事項である、イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)については、北アイルランド議定書によって生じた貿易問題を「修正」したいとした。また、イギリスの法律に残っているすべてのEU法を次の総選挙までに改革したいと述べた。