環境重視の10代に企業を任せたら? ビジネスから世界を変えようとする若者たち
キャサリン・ラザム、ビジネス記者

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世界を10代の若者が動かしたらどうなるだろうか? ある企業が、それを確かめることにした。
イギリスの再生可能エネルギー会社「グッド・エナジー」は今年3月、新たな顧問として12~17歳の未成年6人を任命した。顧問の会議に大人の参加は許されていない。
この「グッド・フューチャー・ボード(良い将来の役員会)」は定期的に会議を開き、同社の経営陣にアイデアを提示したり、経営上の決定に疑問を投げかけたりすることができるという。
顧問の1人に選ばれたシャイナ・シャーさん(14)はロンドン在住。環境問題に熱心に取り組み、将来の世代のために世界を守りたいと考えている。
「大人はまずお金のことを考えると思う。常に一番持続可能な選択肢を選ぶとは限らない」とシャーさんは話した。

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「(一方で)若者は、気候変動の影響がはっきりとわかる世界で育ってきた」
シャーさんはまた、自分を含む6人の顧問は、大人たちが間違っていると思ったら遠慮なく指摘していると語る。
シャーさんたちは、環境保護団体「エコ・スクールズ」がイングランドで主催した選考で、1000人以上の生徒たちの中から選ばれた。応募者は、以下の3つの質問について自分の考えを500字以内でまとめて提出した。
- 地球の環境を心配するようになったきっかけは?
- どんなスキルや経験を生かせる?
- 再生可能エネルギー会社が地球を守るためにできると思うアイデアが1つある?
選ばれた6人は、「非常に熱心で、洞察力に富み、強い印象を与える」と評された。
ジャック・ソリーさん(13)は、まだ12歳だった頃に顧問に選ばれた。ビジネスやエネルギー市場について知りたかったのでこの機会に飛びついたという。
また、このプロジェクトが「自然が残っている地域を守る」ことにつながることを望んでいると話した。
「地球は貴重な惑星。心配して手をかけなければ、私たちは住むところがなくなってしまう」

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ソリーさんは、若い人々は大人よりも未来に注目していると語る。
「大人は今現在や、仕事をこなすことに注目している。上司の機嫌は良いかとか、昇進できるかとか。先のことや、自分たちの行動が長期的に与える影響よりも、そういうことを考えている」
「若者にはそういったプレッシャーやストレスがあまりないから、自由に未来について考えられる」
顧問の仕事は無給だが、グッド・エナジーの年次株主総会に出席する際の費用はまかなわれる。2週間前には同社の費用負担で、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に先駆けて英グラスゴーで開催された「国連ユース気候会議」にも出席した。
グッド・エナジーのナイジェル・ポックリントン最高経営責任者(CEO)は、「大人の世代よりも気候危機の影響を受ける多様な若者グループに、声を上げてほしい。経験豊かな企業の経営陣からは得られないような新しいアイデアや視点を与えてくれる」と話した。
シャーさんとソリーさんは共に、1990年代半ばから2010年代初頭に生まれた「Z世代」に属する。
さまざな調査で、Z世代が現在、地球上で最も人口の多い世代であることが明らかになっている。ある調査では、世界人口の32%に当たる25億人がZ世代だという。2番目に多い、1981~1995年生まれのミレニアル世代の22%を大きく上回っている。
大手会計事務所デロイトが全世界で行った調査によると、Z世代が最も関心を寄せているのが環境問題で、これに失業、保健医療、教育が続いている。

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米サンフランシスコでマキシーン・マーカスさん(21)が創業した「ジ・アンバサダーズ・カンパニー」は、企業が10代について行う調査を手伝っている。
マーカスさんは、このビジネスのアイデアは「たまたま自分に舞い込んできたものだ」と話す。
「中学生の時、ベンチャー・キャピタリストの父が私を教室から連れ出して、初めてプレゼンを受ける側の体験をさせてくれた」
「でもプレゼンに来た企業は私に気を取られて、私の生活や習慣について質問を投げ続けた。そこで、自分の考えが重要だということに気づいた」
マーカスさんは17歳の時の2017年に、学校の友人を誘って起業した。
「私の後にも続くような、意味のあるビジネスを築きたい。私はスタートアップの世界で育ったので、ユニコーン企業(評価額が10億ドル以上で、未上場のベンチャー企業)を設立したいという考えがある」

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食品廃棄も、多くのZ世代が懸念する問題のひとつだ。世界自然保護基金(WWF)によると、世界では食べられる状態の食品の3分の1が廃棄されているという。全ての世代が議論すべき問題なのかもしれない。
米コロラド州在住のソフィー・ウォレンさん(17)は子供の頃、養蜂を始めた両親がハチミツを採取した後に蜜ろうを捨てるのが耐えられなかったと話す。
「姉のクローイとリリー、そして私は、大量の蜜ろうが残ることに気づいた。ハチが一生懸命働いて作ったものを捨てたくなかった。なので廃棄せずにリップクリームを作ることにした」
2009年、ソフィーさんが5歳、クローイさんが7歳、リリーさんが9歳の時のことだ。3姉妹は両親の力を借りて「スウィート・ビー・シスターズ」を起業し、リップクリームを販売した。
スウィート・ビー・シスターズは現在では、さまざまな化粧用品を販売している。ウォレン姉妹は、自分たちの事例が他の子どもたちや若者にとって、環境に配慮した起業家になるきっかけになればと話す。
「私たちと共に、力強いリーダーが現れてほしい。私たちの世代は世界を変えられると信じている」

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グッド・エナジーに話を戻そう。英ストーク・オン・トレント在住の顧問マフヌール・カムランさん(17)は、顧問らの会議では「ビジネスや環境にまつわる方針や倫理規定が協議されている」と話す。
「私たち(顧問)にとって、これは短期的な利益の問題ではない。若い人たちにとっては未来のこと、誰が生き延びて、誰が苦しむのかという問題だ。私たちはあらゆる状況で、利益よりも地球を優先すると思う」








