ウィンブルドン、2年ぶり開催で何が違う? 観客、試合、チケット入手…

Centre court crowd and Novak Djokovic

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画像説明, 今年のウィンブルドンはこれまでと違うところがいくつかあるが、大観衆を集めての決勝は例年どおりとなりそうだ

テニスのウィンブルドンが28日に英ロンドン郊外のオール・イングランド・クラブで開幕する。新型コロナウイルスの影響で開催は2年ぶり。最後の2019年大会から変わった点がいくつかある。

観客上限とヘンマン・ヒル

ウィンブルドンは、英政府の「イベント・リサーチ・プログラム」の対象イベントだ。そのため、収容人数の50%まで観客を入れることができる。その後、上限を徐々に増やし、センターコートで開かれる決勝には満員の1万5000人を入れる

観客は入場にあたり、ワクチンの接種証明、迅速検査の陰性結果、過去6カ月以内の感染による抗体保有の証拠などを示す必要がある。

では、1番コートの前の芝生広場はどうなのか。「ヘンマン・ヒル」と呼ばれるこの場所では、友人らと並んで腰を下ろし、飲み物を片手に目の前の大スクリーンで試合を観戦できる。晴れた日はたいてい、身動きが取れないほど混雑する。

「ヘンマン・ヒルはオープンする」と、ウィンブルドンのサリー・ボルトン最高経営責任者は表明している。

ただ、マスク着用や社会的距離の確保、一方通行、人数の削減などが必要になる可能性はある。

今年の大会は、時間もわずかに変更される。開場はこれまでより30分早くなり午前10時に。試合開始は、屋外コートが午前11時、1番コートは午後1時、センターコートは同1時半になる。

選手はバブルの中に

地下鉄やバスでオール・イングランド・クラブに向かうファンたちは、途中の美しい家並みに目を奪われることだろう。そして、ロジャー・フェデラーやセリーナ・ウィリアムズらが大会期間中、そうした家を借り上げていて、いまにも玄関から出てくるのではないかと想像するかもしれない。

しかし今年は、そうしたことはありえない。

出場全選手はロンドン中心部の指定ホテルに滞在し、外部との接触を絶つ「バブル」を形成しなければならない。オール・イングランド・クラブ近くに自宅があるアンディ・マリーも例外ではない。大会会場とホテル以外を訪れることは認められず、両地点の移動には公共交通機関を使ってはならない。

パンデミックが続く中、選手の一部はバブルの中で過ごすことへの不満を口にし、精神的な負担の大きさについても訴えてきた。決勝は観客を最大限入れ、センターコート内では社会的距離やマスクの規制がないことと比べると、選手に課せられる制限の厳しさが際立つ。

マリーがシングルス復帰

Andy Murray with Wimbledon trophy

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画像説明, マリーは2013年と2016年のウィンブルドン男子シングルスで優勝した

元世界ランキング1位のイギリスのアンディ・マリー(34)は、2017年以来となるウィンブルドンのシングルスを戦う。

スコットランド出身のマリーは、2018年のウィンブルドンを欠場。股関節手術を受け回復中だった2019年は、セリーナ・ウィリアムズと組んで混合ダブルスに出場した。昨年は大会が中止された。

今月、前哨戦の芝コートのクイーンズクラブでの大会に出場したマリーは、コートで涙を見せた。ウィンブルドンへの復帰でも、同様に感極まる場面があるかもしれない。

出場選手リストには、残念ながらラファエル・ナダルや大坂なおみの名前がない。しかし、フェデラーは最多記録更新となる9回目の優勝を目指してエントリーしている。ノヴァク・ジョコヴィッチも出場予定だ。4大大会の男子シングルス優勝回数を20に伸ばし、フェデラーやナダルと肩を並べることを狙う。

線審、賞金、プラスチック

今年の大会は初めて「ショット・クロック」を導入する。ポイントが決まってから25秒以内に次のポイントのサーブを打つよう求めるもので、他の4大大会はすでに採用している。

テニス界では線審を電子判定に入れ替える動きが広がっているが、ウィンブルドンは今大会も審判員による判定にこだわる。補助的に、電子判定「ホーク・アイ」を利用したチャレンジ制度を併用する。今年の全豪オープンは線審をなくした。全米オープンも同じ方針を表明している。

線審は減らさない一方で、賞金は減らす。全体で約5%カットする。

主催者はまた、使い捨てプラスチック容器の使用をやめると発表した。冷えた飲み物には回収可能なカップを、有名なミルクかけイチゴには再利用可能な新容器を使う。

列はどこに

Wimbledon Queue

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画像説明, 風物詩となっていたテントの列は今年は見られない

例年は当日入場のチケットを手に入れようとする人たちが、ウィンブルドン・パークに前夜からテントを張り、整然と長蛇の列をつくった。

しかし今年は、新型ウイルス対策で、オンラインでの販売となった。列はヴァーチャルな世界だけのものとなった。テント泊でくたくたになる人もいなくなった。世界各地から来たファンたちが並んでいる間に会話する光景も見られなくなった。

感染対策の規制、チケット抽選の中止、スマートフォンのみでチケットを購入できる制度の導入などにより、これまでと違ったタイプの観客が増えるかもしれない。

サッカーが何か?

今年のウィンブルドンは、サッカーの欧州選手権(ユーロ2020)が盛り上がっている時期に開かれる。男子シングルス決勝は、ユーロ2020の決勝と同じ日に重なる。ただ、テニスは午後2時、サッカーは同8時に試合開始なので、両方を見ることは可能だ。

それでも、試合が重なる日はいくつもある。例年どおりなら、ウィンブルドンがテレビ放送を独占することになる。

2018年には、サッカーのワールドカップでイングランド男子が準決勝に勝ち進んだ。同時期に開催されていたウィンブルドンのセンターコートでは、ファンらが片目でテニスを見て、片目でスマートフォンのサッカー情報を追った。今年も似たような光景が見られるかもしれない。