イスラエル映画賞、パレスチナ少年描いた作品に 文化相は助成金打ち切ると脅す

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イスラエルの米アカデミー賞と呼ばれる「オフィール賞」の最優秀作品賞に、海に行きたいと願う12歳のパレスチナ人少年を描いた「ザ・シー(The Sea)」が選ばれた。この結果を受けて、イスラエルの文化相は、同賞への助成金を打ち切ると脅している。
「ザ・シー」は、イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の少年ハレドが、初めて海を見るためにイスラエル・テルアヴィヴへと旅する姿を追った作品。
ハレドは、学校の旅行でテルアヴィヴへ向かうが、イスラエル国防軍(IDF)の検問所でイスラエルへの入国を拒まれる。
その後、ハレドはイスラエルに忍び込むことに成功し、海を目指す。一方、イスラエルで正式な許可なく働いている父親は、ハレドを探す。
16日夜のオフィール賞の授賞式では、この作品でハレドを演じたムハンマド・ガザウィさん(13)が史上最年少で最優秀主演男優賞を受賞した。他の出演者らも主要な賞を受けた。
授賞式で、プロデューサーのバヘル・アグバリヤさんは、この映画は「すべての子どもの平和に生きる権利、私たちが諦めてはならない基本的な権利」をテーマにしていると語った。
オフィール賞の最優秀作品賞を受けたことで、「ザ・シー」は来年のアカデミー賞の国際映画部門のイスラエル出品作品となった。
「国民を侮辱」と文化相
同賞の選考結果に、イスラエルのミキ・ゾハール文化相が強く反発した。
ゾハール氏は17日、ソーシャルメディア「X」に投稿で、「オフィール賞の授賞式は恥ずかしいもので、一般の感覚からかけ離れている。これほどイスラエル国民を侮辱するものはない」と批判した。
さらに、「私が今の職責にある限り、この国の英雄的な兵士らの顔につばを吐きかけるような式典に、イスラエル国民の金を使わせることはさせない」とした。
現地メディアは、ゾハール文化相にオフィール賞への助成金を打ち切る権限があるかは不明だと伝えている。
映画関係者は「他者見る力が希望もたらす」
ゾハール文化相のコメントに対し、イスラエル映画テレビ・アカデミーのアッサフ・アミール会長は、「ガザでの終わりのない戦争が、死と破壊という恐ろしい犠牲をもたらす中で、『他者』を見る力は(中略)小さな希望を与えてくれる」と述べた。
そして、「イスラエル政府がイスラエルの映画と文化を攻撃し、世界の映画界の一部が私たちを排斥する声を上げている状況で、『ザ・シー』を選んだことは、力強く断固とした対応だ」とした。
映画界では最近、米ハリウッドの関係者ら数千人が、「ジェノサイド(集団虐殺)と関係があるとされる」イスラエルの映画機関とは仕事をしないとする誓約書に署名している。
ハマス主導の武装集団は2023年10月7日、イスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取った。それを受け、イスラエルはガザでの戦争を開始した。
ハマスが運営するガザ保健当局によると、それ以来、イスラエルの攻撃で少なくとも6万5062人がガザで死亡している。ほぼ半数は女性と子どもだという。
国連の調査委員会は16日に公表した報告書で、イスラエルがガザのパレスチナ人に対してジェノサイドを犯したと認定した。
イスラエル外務省は、この報告書の内容を真っ向から否定。「わい曲され、虚偽だ」と非難している。











