EU、対イスラエルの貿易制限や制裁措置を提案 ガザでの戦争めぐり

ベージュのブレザーを着た、白髪のフォン・デア・ライエン欧州委員長が、マイクに向かって話をしている。背後には、青地に金色の星が並ぶEUの旗がある

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画像説明, 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長

欧州委員会は17日、イスラエルとの貿易を制限し、イスラエル政府の極右閣僚に制裁を科す計画を提案した。採択されれば、パレスチナ・ガザでの戦争をめぐる欧州連合(EU)の最も厳しい対応となる。

この計画は、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が先週、方針を示していたもので、EU・イスラエル連合協定の貿易関連条項の停止を含んでいる。

これが実行されると、イスラエルの製品は欧州市場への特権的アクセスを失い、特にデーツやかんきつ類などの農産物をはじめとする数十億ユーロの輸出品に関税がかけられることになる。

ただ、EU側は今回の計画に強い表現を用いているものの、これが採択される可能性は低い。イスラエルは、「道徳的にも政治的にもゆがんでいる」と一蹴している。

貿易制限を実現するには、加盟国の過半数の承認が必要となる。一方で、個人に対する制裁措置には全会一致の承認が求められる。

ドイツやイタリアなど主要加盟国は、こうした措置に反対している。他方、アイルランドやスペインは、もっと厳しい措置を求めている。そのため、今回の提案が採択される可能性は低い。

EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は欧州理事会で、制裁をめぐり課題があることを認めつつ、「政治的な立場はこれまでとほぼ変わっていない」と記者団に語った。

そして、この制裁パッケージは「(イスラム組織)ハマスのテロリスト」やイスラエル政府内の「強硬派の閣僚」、および「(パレスチナ)ヨルダン川西岸地区で横行する不処罰状態を助長する暴力的な入植者や組織」も対象としていると説明した。

EUはイスラエルにとって最大の貿易相手。2024年にはイスラエルの商品取引の32%をEUが占め、総額は426億ユーロ(約7兆4000億円)に上っている。それでも、関税優遇措置の停止による経済的影響は限定的とされる。欧州委員会のマロシュ・シェフチョビッチ貿易担当委員はその影響を、年間で2億2700万ユーロにとどまると試算している。

即時に発効されるEUの唯一の措置は、イスラエル政府への二国間支援の停止だ。ただし、これも象徴的な意味合いが強く、2020~2024年に割り当てられた1400万ユーロのうち、対象となるのは940万ユーロに過ぎない。加盟国の承認は不要だ。

同委員会のドゥブラフカ・シュイツァ地中海担当委員は、反ユダヤ主義対策や市民社会支援のためのプログラム資金は影響を受けないと強調した。

イスラエルのギデオン・サール外相は、欧州委員会の提案を「道徳的にも政治的にもゆがんでいる」と一蹴。イスラエルに対する措置は、欧州の利益を損なうだろうと警告する内容をソーシャルメディアに投稿した。また、イスラエルに対するいかなる措置にも「同様の」対応を取るとした。

今回提案された計画の採決がいつ行われるかは、現時点では明らかになっていない。